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2019年2月17日日曜日

leave them all behind 2019@渋谷O-east

CONVERGEとNEUROSISが来日。これは行くだろう。
私なんて妙に焦って会社から抽選申し込んだくらい。そしてあっという間に当日が来るのだ。
開演後、ロッカーに荷物を入れるのももどかしいくらい逸る気持ちでステージ前に。

Self Deconstruction
久しぶりに見たが他に類を観ないバンドだなと改めて思った。
グラインドコア、パワーバイオレンス、似たようにうるさくて早い音を出すバンドはたくさんいるけど、よくよくこのバンドを目前にするとその特異さがすぐに分かる。
大きい特徴はほぼリフレインがない。メタル(ハードコア)はリフの音楽だというが、ほとんどはいくつかのリフによって楽曲が組まれている。いくつかの(多すぎない)コードがポピュラー音楽の楽曲を形作っているように。
ところがSelf Deconstructionは違う。リフを惜しみなく使い捨てていく。一回使ったリフはもう出てこない。(ように聞こえた。)まさに究極の贅沢。これって特にエクストリーム・ミュージック界隈ではかなり難易度が高いことに思える。尖れば尖るほどバリエーションを出しにくくなる界隈でお約束的なリフを使い回すことができないのだから。つまり弾き手の引き出しの多さが試されている。Self Deconstructionの楽曲をそういう観点で聴いてみると、ギターは確かに低音を貴重としながらも指板を文字通り縦横に行き来する相当フリーでフリーキーな弾き方をしている。すごい。グラインドコア、パワーバイオレンスに仕上げている、といってもその中身は相当異次元だよ。途中で「Concubine」のカバーを披露していたと思うけど、あのぶっきらぼうな曲ですらリフレインがあり、あきらかにセットリストで浮いていたもの。(もちろんとてもかっこよかった。)単に弾きまくるわけではなく、しっかりキャッチーなリフも挟んでいく。
3つのバラバラの個性がかっちりあっているからまた格好良い。お互いほぼ見ることないのに、決めるところはきっちり合わせてくる。

ENDON
昨年後半にリリースされた最新作「Boy Meets Girl」は明らかにそれまでの文脈とは異なる問題作だったと思う。そういった意味でも最新の形のライブを見たかった。
のっけからCONVERGEのKurt Ballouがプロデュースそた「Through the Mirror」のキラーチューン「Your Ghost is Dead」でぶっ飛ばす。いつものENDONだ。ところがライブが進むとどうも様子がおかしい。特に新曲群が異常だ。表面上はメンバー2人が垂れ流す激音ノイズがうるさいエクストリーム・ミュージックなのだが、なんだか…あれ?楽しい?すごく楽しい。なんじゃこれと思ったら、ドラムだ。豪腕だがリズムが明確ではっきりしたロックドラムだ。ミニマルなリズムがむしろロックを通り越してダンス・ミュージックに聞こえ始める。言語外のボーカルの存在感は一旦おいておく。そうなるとその他の音の出し方が非常に巧みだ。程よく重たくないギターは言わずもがな。しかしなんといってもこのバンドの主役ノイズの使い方だ。たしかにうるさい。でもいつもハーシュノイズが爆音で流れているわけではない。ときには音を小さく。時には完全に止め。また時にはハーシュノイズではなく、鍵盤から流れ出るような美麗な音も出てくる。これらの音のON/OFF。つまりビートを基調にそこに音を重ねていくやり方は確かにテクノ、ダンス・ミュージックのやり口ではないか?
「Boy Meets Girl」は単に逆に切った奇をてらうだけの飛び道具ではなかった。彼らはとっくに新しい未知を模索し、そして大胆に舵をとっている。かっこいいぜ〜。
初めてこんな広い会場で見たが、この広さの似合うこと。汚く狭い地下室(大好きだ)とは違う高い天井、その余白がなんだか異常にENDONにあっていた。

CONVERGE
続いてはいよいよ今日の主役の片方。ハードコアの街ボストンでジャンルを更新し続けるバンド。もはやその影響は語るまでもないでしょう。観客の期待度も半端なく、前に前にの圧がすごい。ドラマーのBen Kollerが肘の怪我でお休みのためRough Francisというバンドでドラムを担当するUrian Hackneyが急遽代役に。MCによるとほとんど練習する時間もなかったらしい。重たいカーテンがいよいよ開けられるとそこにいたのはCONVERGEだった。
初めて目前で見るとCONVERGEの異様さに気がつく。なんだろうこのハードコアは。完全にハードコアだけどエモーションが溢れすぎている。それはハードコアにしては複雑な楽曲(とくにKurtのギターは低音から高音まで隔てなく用いるリフはもちろんタッピング、ギターソロなど技巧的にも複雑だ。)、そこに内包される特に新作では顕著な(クリーンで歌われることもある)メロディライン。これらの要素は個別ではあるいでは複合でももはやハードコアのシーンでは珍しくない。ただこれらは諸刃の剣で、これらを多用すると音のヘヴィさとは別の「重たさ」が生じて、ハードコアから距離が離れてしまう。とたえばDeathwishならCult LeaderやOathbreaker、日本なら独自の激情系など。ところがCONVERGEに関して言えば表現力が他の追随を許さないくらい豊富なのに、どこまでいってもハードコアなのだ。どうなってんだ。
様々な楽曲の随所に仕込まれているシンガロングパート。乗車率200%のギュウギュウのおしくらまんじゅう状態で拳を振り上げ叫んだ。
Jacob Bannonはとにかく華があるシンガーで、特徴的な歌い方も初めて見るとちゃんと歌っているし(これはセットリストの関係もあるかもしれない)、細身で長身な体をよく動かす。マイクをぶん回してキャッチする、マイクに覆いかぶさるようにシャウトする、水を頭にぶっかける、両手を大きく広げて観客を煽る、どれもすごく画になる。MCは暖かく、またリラックスもしている。
その他のメンバーもさすがのベテランなので落ち着いているが、決して弛緩することはなく、ただ勢いだけではない楽曲、というよりは勢いがありつつ複雑な曲をがっちり合わせてくる。
クラウドサーフが結構発生していて、ステージと客席に隙間があるのでJacobはちょうどサーフ後に落ちた観客にマイクで歌わせていた。みんなすごい笑顔だった!
本当に時間がすぎるのがあっという間でラストの「Concubine」。なんとSelf Deconstructionのボーカリストの方と共演。すごかったなあ。

NEUROSIS
ラストはいよいよNEUROSIS。結成34年。様々なバンドに影響を与えたバンド。私が初めて知ったのはTVKのビデオ星人で流れたライブ動画。さっぱり何がなんだかわからなかったです。あれから20年位経っていまライブをようやく見れるのは感慨深い。
中核メンバー3人は全員髪の毛やひげに白いものが混じり(というかほぼ白い)ロマンスグレーな感じ。Scott Kellyは体格もよく、アメリカの田舎の偏屈おじさんのようで見た目からして怖い。(ギターよりチェーンソーなどが似合いそうだな…とちょっと思った。)
大阪名古屋の感想を見ると絶賛する人が多数。いざ目の当たりにするとたしかにすごい。どのくらいすごいかというと結構ずっと鳥肌立っていた。いやもう「神だな」って終わりにしたいのだが、なんとかそ(れらの音楽や本)の凄さを言語化したくて始めたのがこのブログなのだった。
分厚い音で静と動を大胆に取り入れた楽曲を演奏。実はそんな奇をてらったことはしていない。音はたしかにでかい、轟音と言っても良い。ただし音量やバランスはきちんとコントロールされていて耳に痛いということはまったくない。そして音もどこまで行ってもオーガニック。経年によって水分が抜けた頑丈の木材のような音だ。分厚いが温かみがある。
またスラッジといっても不吉なフィードバックノイズを必要以上に撒き散らすことはしない。むしろたっぷりと空間系のエフェクターを繋いで出した浮遊感のある音を曲中や曲間のつなぎに使っている。特にベースは結構曲中でも独特の音を出していたようだ。
かといって強面の大人がやっているゆるふわ系ポストメタルではまったくない。楽曲から見えるのは30年以上に及ぶ試行錯誤の歴史である。
たっぷりと時間と間をとった楽曲だが、引きずるようなドゥームさはなく、明快に区切られた音はやはりハードコア由来のスラッジだろうと思う。そこにアタックが強いが非常に明確にリズミカルでよく回転する、つまり重量感がありつつも跳ねるドラムが加わる。
原始的と言っていいようなシンプルで強靭なリズム、弦楽器のときにアンビエント、ときにラウドなアンサンブル、立体的なサウンドで時間をかけて楽曲を織り上げていく。トライバルだ。トライバルな呪文のようだ。
「Times of Grace」の「The Last You'll Know」。セットリストに入っていることは知っていたが、ライブで聞くのはやはり別格だ。私はこの楽曲が好きなんだ。厚みのある轟音が私の体にじんわり染み込んでいく。涙が出そうに。


終演後「Times of Grace」のパッチ、(オタクだから)2つ買ってこ!と思ってたら見事に売り切れだった。前の方に行きたかったから開演前に物販に並べなかったのだ。仕方ない。
個人的にとても思い入れのある2つのバンド、いっぺんに見れて幸せ。やっぱり別格だなと思いつつも、日本から迎え撃った2つのバンドも只者ではなかった。楽しかった。

2017年5月22日月曜日

Rolling Stoned#8 VVORLD『Highway Shits』Release Party@新代田Fever

日本は東京吉祥寺のハードコアバンドVVORLDが2017年に2ndアルバム「Highway Shits」をリリース。リリースパーティをやるよ、というので行って来た。というのもVVORLD自体がかっこいいのに加えて出演陣がとても豪華なもので。全部で15のバンドが出演。ほとんどがハードコアという大きなジャンルで括られるバンドばかりだけど、中には大阪のスラッジBirushanahや同じく大阪のストーナー・ロックバンドSleepcityなどハードコア以外のバンドも名を連ねていてとても面白いメンツなのだ。
なるべく全部のバンドを見たい派なので私は開演前に行くことにした。会場はFeverでこの日は14時会場だったのだけど、ちょうど一番雨がひどかった時間帯かも。傘をさすけどなぜかいつもびしょ濡れになる男である私はこの日もびしょ濡れで会場に到着。フロアに入るとフロアの左にセットが設けられている。つまりこの日はステージとフロアの2ステージ制で交互にバンドが演奏する。こうすると転換の時間を節約してたくさんのバンドを消化できるというわけ。Feverは広くて綺麗なので物販もバンドぶん対応できていてよかった。
以下感想なんですけどバンドの出演順番間違っている気がしています…。記憶力がなさすぎて違ったら申し訳ないです。

①Self Deconstruction@ステージ
見るのは2回目かな?美少女ボーカル、美人ゴスロリギタリスト、細マッチョドラムとキャッチーかつ情報量が多い見た目と裏腹にステージングと音楽はハード。曲がかなり独特で耳と頭がおかしいので間違っているかもしれないが、あまり反復の要素がない。普通のバンドは激烈でも反復性があるから円を描いて走るんだけどこのバンドの場合は直線で走り抜ける。だから常に今がすごいスピードで過ぎ去って行く。通過している新幹線を呆然と眺めているみたい。グラインドコア/パワーバイオレンスと名乗っているだけあって、たまにくる低速パートがかっこよかった。

②Super Structure@フロア
こちらも2回目。元ネタのFall Silentも聞いたんだけどあまり共通項が見出せない。パワーバイオレンスバンドなのだが、ステージングが凶悪。ただ激しいというか怖い。「パワー”バイオレンス”なんだよ、ふざけんな」という覚悟が滲み出る凶暴性。目出し帽かぶったボーカルもさることながら他のメンバーの動きも切れている。ギター振り回して当たったら危ない、とハラハラするんだけどびっくりするくらいかっこいい。ただただ低速パートのみにフォーカスするようなバンドではなくきっちり速いパートもかっこいいという清く正しい(つまり濁っていて悪い)パワーバイオレンスバンド。

③Enslave@ステージ
見るのは初めて。男女混成ツインボーカルのハードコア/クラストコアバンド。ギタリストも二人なのでメンバーが多い。激しいハードコアを基調に叙情性を取り入れていて、またメッセージ性も強い。日本のハードコアバンドの系譜を感じさせる。男性ボーカルも強いのだが、どちらかというと女性ボーカルの方が鋭く、逆に男性ボーカルは激しい中にも丸みがあってそれが良い対比になっているなと思う。演奏は非常にかっちりしてまっすぐ。見え隠れするメロディラインが高揚感あってかっこよかった。

④Sleepcity@フロア
大阪のストーナーバンド。見るのも聞くのも初めてでドラマーはBirsuhanahでもドラムを担当している。立ち居振る舞いからハードコアとは一線を画す感じでワクワクする。音を出して見ると果たしてかっこいいオルタナティブ・ロックだった。もっと煙たくて怪しげなものかと思っていたのだけど、かなりかっちりしたロック。ファズなのかはわからないけどグシャとした中にもざらついた温かみのある中域が分厚いギターに歌が乗る。歌も歌うと叫ぶの中間で全体的にはかなりエネルギッシュで激しいのだが、どこか気だるい(音楽がとい意味ではないですよ)雰囲気があって、あの頃のオルタナティブを感じさせる。初めて聞いたのになんか胸を締め付けるようなノスタルジーを感じてしまう。モダンなアップデートでオリジナリティのある、単なるリバイバルにならないオルタナティブをプレイするという意味ではSunday Bloody Sundayに通じるものがあると思う。音源が欲しかったけどなかったみたい。

⑤Band of Accuse@ステージ
見るのも聞くのも初めて。福島の4人組のバンドでメッセージ性の強い音楽をやっているとのこと。音楽的にはハードコア/クラストコアという感じ。スラッシーナリフで組み立てられたシンプルながらも力強いコーラスがよく映える男らしい音楽をプレイ。飾らないシンプルなハードコアなんだけど演奏は非常にカッチしていてよかった。やはりソロも入れてくるギターがハードな曲にキャッチーさを付与していると思う。個人的にはドラマーの人がすごくてちょっと独自の癖があるのかわからないけど妙に耳に残る。ヅタヅタ刻むD-ビートも力強くかっこよかった。

⑥System Fucker@フロア
続いてはSystem Fuckerなんだけど個人的にはこのバンドが結構楽しみで。というのもいでたちがすごい。正しいクラストコア(パンク)という感じでボーカルの人は細くそして高いモヒカン頭である。他の人もなんともクラストないでたち。パンクというと一般的なイメージはこうなのかな?この日は異彩を放っていた。メタリックに武装したあくまでもクラストコアという音楽性で、D-ビートに生き急ぐような前のめりの演奏が乗っかる。思っていた通り華のあるボーカリストで、Dis系の男臭いがなり声とはちょっと違うんだけど、無愛想ながなりがかっこいい。この人がフロアを動き回る。上背があり、蹴り上げる踵の高さ!イメージとしてはサメみたい。突進したり、突き飛ばしたりと暴力的なんだけど陽性のエネルギーがあって、(怖いのは怖いけど)なんだか楽しい。フロアにいる人もきっとそう思っていたはず。とても盛り上がっていた。

⑦Fight it Out@ステージ
このバンドも見るのは2回目。今年リリースされた新作がとても良かったのでライブをまた見たかった。ストップ&ゴーを繰り返すショートな楽曲を繰り出すパワーバイオレンスバンドだが、HIp-Hopアーティストをアルバムのゲストに迎えたりと生々しいストリート感を演出した独特の楽曲をプレイする。この日おそらく一番フロアが湧いたバンドだったのではなかろうか。ボーカルの方がフロアに降りてきてからは特に危ないダンスフロアになっていた。ライブで聴く楽曲は改めて肉体的で速度を落とすタイミングが絶妙でみんなが暴れるわけだと思う。鬱屈しているというよりは、断然鬱憤を晴らすかのような爽快感がある。

⑧LAST@フロア
続いては岡山県から車で8時間かけてやってきたLAST。1時間ないステージのために16時間とさらに色々な準備の時間使うのだから本当にすごい。本当ならこっちから行かないと見れないんだもの。ありがたい。専任ボーカルにギター二人の5人組のバンド。日本の伝統を感じさせるメタリックなハードコアをやっている。コーラスワークを大胆に取り入れているという意味ではBand of Accuseに通じるところもあるのだけど、こちらのバンドはもっと曲を凝ったものにしている。装飾性はないのだけど、速度の変更や展開などがあって面白い。最終的にあくまでも肉体的なハードコアであり続けているところにかっこよさがある。ボーカルの人は暑くて前のめりなMCもそうだし、フロアを所狭しと動き回る。ジャンプ力がすごかった。ハードコアの持っている激しくもポジティブな部分が前面に出ていて強いなと思った。(ポジティブでいる方が難しいと思っているので。)

⑨Birushanah@ステージ
続いては大阪の和製トライバル・サイケデリック・スラッジ。Birushanahは大好きなのでこのイベントに名を連ねているのにびっくりしつつも嬉しい。音的には明らかにこの日一番異質でメタルの、それも相当独特なメタルを鳴らしている。この日も特に迎合することなく最新作を中心に毘盧遮那世界を展開していた。メタルパーカッションはさらに楽器が増えて要塞のようになっていた。このバンドは打楽器が二人にギター一人という一見するとアンバランスさなのだけど、ギターが鉄塊のような低音を担当する反面、様々な工業的な廃材で組み上げられたメタルパーカッションがキンキン響く高音でメロディというかその名残のようなフレーズを担当。おまけに最近はボーカルの歌の度合いが強いので見た目よりとっても聴きやすい。やはり最後にプレイした「鏡」にBirushanahの魅力が詰まっていると思う。現実に立脚するのがハードコアならメタルは異世界に連れて行く。この日も短い中でもトリップ感満載だった。
そしてすごいどうでもいいけどボーカル/ギターのIsoさんはとてもお痩せになったのではと思います。

⑩ELMO@フロア
続いて東京のハードコアバンドELMO。もうずっと前になぜか1枚だけCD「Still Remains...」を買って持っている。この日多分一番尖っていたのがこのバンド。低音に特化した極悪なハードコアを鳴らしている。テンポチェンジも多用しているが、基本的には速度は遅め。ボーカルの方はシュッとした人で高い声で絞り出すように叫ぶのが基本だが、たまに這いずり回るような低音も出してくる。この人はひょっとしたらラッパーもやっているのかも。ハードコアでは客に暴れろと煽るバンドは多いのでは。このバンドも煽るのだが、それが変わっていて普通は演者と客の間に共通の連帯感がある場合が多いのだけどこのバンドは観客すら敵くらいのヘイトをぶちまけてくる。非常にヒリついた空気で緊張感が半端ない。ほんのちょこっと見ただけなのでなんとも言えないのだが、そもそもライブってなんでしたっけ?という問題提起にも思えた。

⑪Saigan Terror@ステージ
続いては東京の高円寺のハードコア。見るのは2回目。年季を感じさせるいぶし銀のメタリックなオールドスクール・ハードコアをやっているのだが、とにかく怖い。ボーカルの方の見た目もあるだろうけど音の方も超いかつい。そういった意味では日本のハードコアらしい叙情性というのはそこまでなくて、代わりに攻撃性と速さと重さがある感じ。コーラスワークもシンプルで恐ろしげ。スラッシーなギターはかなり動きの激しいギターソロにも反映されているが、やはり刻みまくるリフがかっこいい。良い感じに音が抜けているのでメタルの重苦しさがほとんどない。どちらかというとロックンロール的だ。このバンドはそのままだと相当怖いのだけど、ギタリストの方のMCでバランスが取れている。よくもあんなに言葉がポンポン飛び出してきて、どれもが面白いものだな〜と思う。

⑫Shut Your Mouth@フロア
続いては昨年1stアルバムをリリースしたShut Your Mouth。こちらも見るのは2回目。こちらも現行型のハードコアを鳴らすバンドで、一気に速度を落とすパートを取り入れた楽曲はハードコア的な踊れるものなのだろうが、それだけではない深みのある独自のセンスがあると思う。叙情的というのは何も装飾的であることでも、わかりやすいメロディがあるわけでもない。このバンドはニュースクールっぽいなと思う。ニュースクールというと激しいハードコアにプラスオンで情報を追加するイメージなんだけど、そこを通過してきているイメージ。2本のギターがリフに加えて奥行きのある要素を曲に持ち込んでいるし、ちょっとFall Silentっぽくもある若さのあるボーカルはとてもエモーショナル。ラストの「Grey World」はかっこよかった!この日一番良かったかも。

⑬SLIGHT SLAPPERS@ステージ
続いてTokyo PowerViolenceスラスラ。今日ボーカリストの方はメガネではなくきらきらひかる眼帯をつけていた。(あとで外してお客さんに優しく(?)かけてあげていた。)前回見たときと同じく妙にポップな前半から後半一気に加速する曲でスタート。このバンドは今風の低速パートをほとんどやらない。音的にもギターは中域を分厚くしたハードコア〜パンクを感じさせるあえて肉抜きした生々しいもの。ショートカットな超特急で突き抜ける。そういった意味ではある種乗りやすいわけではないのだけど、そこをコーラスワークだったり、フリーキーなポップセンスだったりで速いだけでなく曲にフックをつけることで魅力的でステージで映えるもにしている。またボーカリストの人の動きやその他のメンバーのステージング(みんな楽しそう)で明るくて、楽しいものにしている。

⑭Friendship@フロア
フロアのトリはこの夏1stアルバムのリリースがアナウンスされているFriendship。期待値の高さと自分たちの大量の機材を使うことからとりなのだと思う。縦横に2✖️2に積まれたOrangeアンプからとんでもない轟音を鳴らすバンド。(豊富な物販でもSunn O)))のモチーフを拝借したりしている。)超高速と超低速を行き来する楽曲は現行のパワーバイオレンスに括られるバンドだと思う。ひたすら低音に特化した様はELMOに似ているが、あちらはざらついた低音だったのに対してこちらはもっと密度の濃い壁のような低音。また積極的に煽るELMOに対して、こちらはMCなしの楽曲没入型。(要するにもっと無愛想とも言える。)ひたすらブルータルな楽曲を繰り出していく。あえて楽曲に隙間を開けない、また開けても全開でフィードバックノイズを鳴らすやり方で客に拍手や歓声をあげる暇すら与えない無慈悲なストイックさ。ある意味客を置いてけぼりにするようなイメージで、客の方もただ圧倒されて首だけ降っているみたいな状況になっていた。個人的にはやっぱりこのバンドはドラムがすごい。シンプルなセットででかいドラムのパートをでかい音で”一定”のペースで鳴らし続けるのは結構異常事態ではと思う。そういったところも含めて潜行というか窒息感があってすごくかっこいい。

⑮VVORLD@ステージ
イベントのラストはもちろんVVORLD。ライブを見るのは初めて。今年新作された「Highway Shits」のリリースパーティな訳だけどその新作のかっこいいこと。期待度も非常に高かった。改めて生で楽曲を聴くとだいぶ独自の音を鳴らしている。根っこがハードコアだとしても、出ている音はメタルを通過したブルータルなもの。強くデス声めいたボーカルもそうだが、動きの激しいギターもそう。煙たく充満するフィードバックノイズもそうだし、高い音も使ったりしていて相当不穏である。ソリッドというよりはざらついた質感でハードコアのフォーマットでかなり先鋭的で独特な音を鳴らしている。メッセージ性もいわゆるストレートなハードコアのそれとは微妙に異なり毒気のある個性がある。ラストを飾る「Living Hemp」は長丁場のイベントの大団円ということで感動的ですらあった。

全15バンドというとでちょっとしたお祭り状態。ハードコアを基本にしながらも幅広いアーティストを全国津々浦々から一堂に集めるというのは贅沢で非常に楽しかった。こんな機会はそうそうない。まだ知らないかっこいい音楽に出会えたという意味でも非常に良い場所だった。
VVORLDのパーカーとFRIENSHIPのT-シャツを購入。もっと色々欲しかったな〜といつも帰宅してから思う不思議。ライブハウスの外に出てたら豪雨はとっくにやんでいた。雨上がりの濡れた道を気持ちよく帰った。

2016年8月7日日曜日

Self Deconstruction/Wounds

日本は東京のパワーバイオレンス/グラインドコアバンドの2ndアルバム。
2016年にBreak The Recordsからリリースされた。
ボーカル、ギター、ドラムという3人編成のバンド。(以前は男性のボーカルがいたそうな。)2010年に結成され、今までに1個のアルバムと複数個のデモやスプリット音源をリリースしている。私は2016年にリリースされたでも音源「Triad」を持っていて、ライブも1回だけ見た事がある。すごいけど何がなんだか分からないという呆然とした時間だったので、音源で聴けば何がすごいのか分かるだろうなと言う期待もあって購入。

23曲で16分弱という収録時間。平均1曲1分以下!ほぼほぼ全編突っ走るタイプでパワーバイオレンスといっても流行の低速織り交ぜた音像とは一線を画す、まさに独自のスタイルを極めて行く音楽性。
再生するとライブと同じで「うおお…」となっていて良く見ると4曲目位になっている。なんてことだ…。なんといっても曲と曲のつなぎ目がわからないのだ。この手のジャンルに関しては速すぎるとか曲の区別がつかない、とか割とありがちなのだが、言ってもまあ大抵のバンドでは次の曲だな〜と分かるものだが、このバンドに関しては(まだ聴く回数が足りないのだろうが)やっぱり曲のつなぎ目が分からない。意図的に曲間をあまりとらないように録音しているのもあるのではと思うんだけど。一通り聴いて思ったのは「一筆書きグラインドだ!」ということ。新しいのジャンルが一つ誕生しましたね。
一筆書きグラインドは一旦おいておいて、なんで曲のつなぎ目が分かりにくいのかというと、音楽、少なくとも私が好んで聴くメタルとかハードコアとかテクノとか、たまにヒップホップとかはだいたい曲構成がある程度決まっており、反復によってそれらが構成されていると言っても良いのではなかろうか。良く出る(私も知った様な顔で使っている言葉である)リフというのも実際は「リフレイン」という言葉をさす。リフレインとは言うまでもなく反復である。あるテーマみたいなのがあって(これがフレーズだったりコード進行だったりするみたいだけど)それを繰り返しながら、微妙に形を変えつつもAメロ、Bメロ、サビみたいに曲が進んでいく訳。とんでもなく激しいデスメタル、なんかもじつはこういったルールに則って進行するので聴きやすいというかはっきりしている。ところがこのバンドだと曲の法則の中心にある事が多い(べつにこの法則で進行しないと逮捕されるという法律がある訳ではない。)そのルールが非常に希薄なのでは。
リフ(というかフレーズなのか)はあるのだが
①曲に対してリフが非常に多い
②それらが目まぐるしくきりかわる
③同じリフ(テーマ?)があまり繰り返されない(これはあまり自信ない)
という感じになっており、そもそもリフ(レイン)ってるのか?という音楽性であり、同じ事を2度と繰り返さないとしたらこれはもうすげーってことになる。そういった意味の「一筆書きグラインド」な訳です。
weeprayなど様々なバンドでプレイしているあたけさんという方がいらっしゃるのですが、その方が
というツイートをしていてなるほどなと思ったのですが、確かに激しく五月蝿い音楽の断片的に拾って来て(一から作る場合もアリ)1個の新しい曲として再構築するというブレイクコアの一つの手法(全部がそういう訳でもないので)に通じるところがあるなと。他にもジャズじゃないか?という意見もあったりして、ここら辺がフリースタイルグラインドと呼ばれる由縁で、そういった意味でかなり変わったそしてこだわりのある手法で曲が制作されているようだ。

という訳であまりに衝撃に曲に対しての考察みたいなものがほとんどになってしまったが、もう後は聴いてくれ!(丸投げ)ちなみに実際に目の前にすると同じリフが…とか考えなくても「あわわ」となっているうちに楽しい時間が過ぎるので大丈夫です。音源も色々考えなくてもかっこ良いです。

2016年5月5日木曜日

20Years Chaos@新大久保アースダム

日本のカオティックグラインドSwarrrmが活動20周年ライブを催すということで行って参りました。Swarrmは目下の最新作「FLOWER」がグラインドコアにメランコリックなメロディを持ち込んだヤバい出来になっており、これはという訳で行って来たのです。実は前にもライブのチケット買ったのに仕事で行けなかったこともあり、なんとなくリベンジ感もあったという。
新大久保は不思議な町でオシャレな若い娘さんが沢山いる。ほっぺたに何かの文字列をはっ付けている子がチラホラいて、あれは推してる韓国のグループのなんかなんですかね?もうちょっと人が少なければ良い町だと思う。(廃墟になれという意味ではない。)

珍しく一番手に間に合う。アースダムは久しぶりに来たんですけど相変わらず独特のスメルがしますね。きっとアレがアンダーグラウンド臭ってやつなんだね。「Welcome to underground」と耳元でささやくアレでしょうか。タバコOKのライブハウスなんで最終的には転換時は喫煙室の様相を呈していてヤバかったです。

Self Deconstruction
「自らの脱構築」という名前の3人組のグラインドバンド。ボーカルが女性が特徴的でしかも魅力的。私はこういう時も生まれながらに身に付いたモテなさを発揮し、「よしボーカルの女性は見ないようにするんだ、音に集中するぞ、俺は音でバンドを判断する男なんだ」と自分に言い聞かせて、音に集中することでなんとかコトを収めた。とにかくギターが面白いバンドで、リフが完全にデスメタル的。もう一人のボーカルかってくらい饒舌に歌いまくる。変幻自在のその様は極めて流動的であとからあとから複雑かつカッコいいフレーズがボコボコわき出してくる。なんならちょっとオーストラリアの巨大な暗黒Portalみたいなぎゅわぎょわしたリフもあって良かった。曲の切れ目が全然分からない。つまりグラインドコアってことなんだ。最高だ。終演後もボーカルの女性を見かけたが天性のセンスであまり見ないようにした。見なければどうということはない。

Super Structure
Coffinsのベースの人がやっている別バンド。こちらは完全にハードコアなバンドでフロアも直情的にこの日一番盛り上がっていたのではなかろうか。ほんとチャッカマン的なあれであっという間に燃え上がったからね。ドラムの人がもうすごく煽ってくるもんね。怖いぜ。演奏陣もすごいテンションでやるもんだからこっちも盛り上がるんだな…と思った。とにかく高揚感を煽って来て前に行かないと〜と思わせるすごさ。といっても分かりやすいモッシュパートがある流行のものってより、もっとざらついて荒々しいハードコアだと思う。これはと思ってデモを買おうと思ったら売り切れていた。残念。

Sekien
この間もKhmerの来日公演でみた姫路の赤い煙。2回目見て思ったけどやっぱり不良っぽい。ヤンキーというのではなく不良。悪そう怖そうというのが音と見た目からそのまま出ている感じ。だから基本的に無骨で無愛想(メンバーの人個人がってわけでない。特にギターの方は色んな人と話しているのを御見かけして優しそうでした)。曲もはっきり言ってとにかくわかりやすくキャッチーって訳ではないんだけど、その見かけと中身でもって人を惹き付ける魅力がある。背中で魅せるタイプと言うか。今回は音源を聴いていたので曲もすっと入ってくる。個人的にはアルバムの中で異彩を放っているインストの「開花」をやってくれて胸が熱くなったよね。無骨なsekienの表面剥いだ裏側のその激情が一番ストレートに表現されていると思う。勿論その他の曲でも豪腕でフロアを盛り上げていくその様にはかっけえなあとため息が出てしまう。
思ったんだがこのバンドまでMCらしいMCはなくてハードコアすぎるな。

Twolow
主催の3LAの水谷さんがギターボーカルの”オルタナティブ”メタルバンド。見るのは初めてだったので超楽しみだった。HELMETを聴いたばかりだからか思ったのは、なんというかアメリカっぽい。Sekienとは違った無骨さ。こちらは前身これしなやかな筋肉とリズムの塊、という感じでひたすらリズミカルに迫ってくる。反復的でぶっといリフがひたすらカッコいい。上背のあるフロントマンも良く映える。音源に比べると圧倒的にドラムの迫力が増していて、手数が多い訳ではないけど一撃一撃が非常に重たく迫力がある。このドラムあってのリズミカルなリフなのかもしれない。いわゆるHELMETなんかに比べるとボーカルパートが少ないし(リフで魅せるパートが多い)、キャッチーな歌メロもない訳だからやはり中々挑戦的なバンドだと思う。沁みてくる何かがある。とても良かった。Swarrrmへの祝辞を水谷さんが述べる。

isolate
続いて東京ブラッケンドハードコアisolate。厳ついボーカルの人がSwarrmへの祝辞を非常に丁寧な物腰でしゃべるな〜と思っていたら、一気にぶち切れたボーカルからの曲になだれ込み私驚愕。ヤバい感がヤバい。だいたい普段平静な人が切れだす方がヤバいと相場が決まっている。フロアから身を乗り出してわめきまくる。まるで手話のように声だけでなくこちらに語りかけてくる。こうなると俄然一体このバンドが何を伝えたいのか興味が出て来てしまう。曲は激情ハードコアをさらに押し進めたものなのだが、トレモロリフも美麗なポスト感というよりはイーヴィルなブラックメタルのそれである。どの曲も速く、そして展開が複雑。なんというか個人的には絶望的な負の感情を感じ取り鳥肌。フロアも盛り上がる。
終演後物販でCDを買おうと思ったらアルバムは既に売り切れ。EPを購入。

Swarrrm
やはり今日の主役ということでフロアの密度が一番濃かった。
この日出演したバンドでは唯一始める時にSEを使った。盛り上がる。個人的にはこの時のステージとフロアの緊張感がマックスすぎて本当ワクワクして楽しかった。
曲が始まってしまえばカオス&グラインドの奔流だった。とくにボーカルの司さん(フロアでお見かけしたんだがおっかなすぎた…)は神がかっており、あの「ヴォオオオオオオオイヤアアアアア」という低音から高音に一気にオクターブあげていくシャウトはCDそのままどころか威力マシマシで殺気に満ち満ちていた。膝が崩れるかと思った。
おっそろしいボーカルをグイグイ押す、ギターの美しいこと。ポスト感とは明らかに一線を画す。ただグラインドしながらも最高速ではなく、べつのもっと陰鬱な美しさを志向するこのバンドの一角をになうのがこの饒舌なギターだと思う。この日もその魅力を堪能できた。個人的に大好きな「幸あれ」この曲は速度はどちらかというと速くないのだが、Swarrrmのもつメランコリーが結実した様な曲で、私の体が透明になり、物理的な力持つ音の塊が身体の水分を揺らしている様な感覚に陥り、ちょっと感動で涙ぐんだ。
アンコールが起こるくらいかっこよく、そして短かった。でもSwarrrm見れて良かった。圧倒的だった。もちろんこの日一番。

Stubborn Father
大阪のバンド。「頑固親父」というバンド名が気になっていたバンド。(ユーモアのあるハードコアバンドかなと思ってた。)
まずライブハウスの証明は全部切って自前の青白く光量の多い証明を使っていた。これをステージの真ん中あたり(だと思う)におく。するとバンドメンバーは陰影濃く浮かび上がり、ライトの前にいるボーカルのみ逆光で影法師のようになる。うーん。これは面白い。たしかweeprayもにた様なことやってなかったかな。ボーカルの人は長身で良く動くから見ていてすごい面白かった。
音の方はこちらも激情ハードコアを基調にした激烈なもので、ただし前のisolateと違ってこちらは澱みを速度に昇華せず、そのまま荒れるに任せたスラッジーなイメージ。ギターのアルペジオというか、妙に壊れた感じのつま弾かれるそのコード感が曲の速度にばっちりあってどうかしている感じの美しさがある。相当人気のあるバンドらしく、フロアもとても盛り上がっていた。1曲も結構長いんではないかな。ボーカルの声質は同じ大阪のBirushanahのIsoさんにちょっと似ていてとても良かった。音源、かえば良かったな〜。

念願のSwarrrmはやっぱりすごかった。どのバンドも激烈だったがSwarrrmは一体どこを見ているんだろうな。ちょっとやはり別格的な感じがしました。20年の重みなのかも。20周年おめでとうございます。
GWということもあってSwarrrmもそうだけど、大阪だったり姫路だったり全国色んなところからバンドが集ってきてすごいイベントでした。主催の水谷さん、お疲れさまでした。とても楽しかった。