日本のカオティックグラインドSwarrrmが活動20周年ライブを催すということで行って参りました。Swarrmは目下の最新作「FLOWER」がグラインドコアにメランコリックなメロディを持ち込んだヤバい出来になっており、これはという訳で行って来たのです。実は前にもライブのチケット買ったのに仕事で行けなかったこともあり、なんとなくリベンジ感もあったという。
新大久保は不思議な町でオシャレな若い娘さんが沢山いる。ほっぺたに何かの文字列をはっ付けている子がチラホラいて、あれは推してる韓国のグループのなんかなんですかね?もうちょっと人が少なければ良い町だと思う。(廃墟になれという意味ではない。)
珍しく一番手に間に合う。アースダムは久しぶりに来たんですけど相変わらず独特のスメルがしますね。きっとアレがアンダーグラウンド臭ってやつなんだね。「Welcome to underground」と耳元でささやくアレでしょうか。タバコOKのライブハウスなんで最終的には転換時は喫煙室の様相を呈していてヤバかったです。
Self Deconstruction
「自らの脱構築」という名前の3人組のグラインドバンド。ボーカルが女性が特徴的でしかも魅力的。私はこういう時も生まれながらに身に付いたモテなさを発揮し、「よしボーカルの女性は見ないようにするんだ、音に集中するぞ、俺は音でバンドを判断する男なんだ」と自分に言い聞かせて、音に集中することでなんとかコトを収めた。とにかくギターが面白いバンドで、リフが完全にデスメタル的。もう一人のボーカルかってくらい饒舌に歌いまくる。変幻自在のその様は極めて流動的であとからあとから複雑かつカッコいいフレーズがボコボコわき出してくる。なんならちょっとオーストラリアの巨大な暗黒Portalみたいなぎゅわぎょわしたリフもあって良かった。曲の切れ目が全然分からない。つまりグラインドコアってことなんだ。最高だ。終演後もボーカルの女性を見かけたが天性のセンスであまり見ないようにした。見なければどうということはない。
Super Structure
Coffinsのベースの人がやっている別バンド。こちらは完全にハードコアなバンドでフロアも直情的にこの日一番盛り上がっていたのではなかろうか。ほんとチャッカマン的なあれであっという間に燃え上がったからね。ドラムの人がもうすごく煽ってくるもんね。怖いぜ。演奏陣もすごいテンションでやるもんだからこっちも盛り上がるんだな…と思った。とにかく高揚感を煽って来て前に行かないと〜と思わせるすごさ。といっても分かりやすいモッシュパートがある流行のものってより、もっとざらついて荒々しいハードコアだと思う。これはと思ってデモを買おうと思ったら売り切れていた。残念。
Sekien
この間もKhmerの来日公演でみた姫路の赤い煙。2回目見て思ったけどやっぱり不良っぽい。ヤンキーというのではなく不良。悪そう怖そうというのが音と見た目からそのまま出ている感じ。だから基本的に無骨で無愛想(メンバーの人個人がってわけでない。特にギターの方は色んな人と話しているのを御見かけして優しそうでした)。曲もはっきり言ってとにかくわかりやすくキャッチーって訳ではないんだけど、その見かけと中身でもって人を惹き付ける魅力がある。背中で魅せるタイプと言うか。今回は音源を聴いていたので曲もすっと入ってくる。個人的にはアルバムの中で異彩を放っているインストの「開花」をやってくれて胸が熱くなったよね。無骨なsekienの表面剥いだ裏側のその激情が一番ストレートに表現されていると思う。勿論その他の曲でも豪腕でフロアを盛り上げていくその様にはかっけえなあとため息が出てしまう。
思ったんだがこのバンドまでMCらしいMCはなくてハードコアすぎるな。
Twolow
主催の3LAの水谷さんがギターボーカルの”オルタナティブ”メタルバンド。見るのは初めてだったので超楽しみだった。HELMETを聴いたばかりだからか思ったのは、なんというかアメリカっぽい。Sekienとは違った無骨さ。こちらは前身これしなやかな筋肉とリズムの塊、という感じでひたすらリズミカルに迫ってくる。反復的でぶっといリフがひたすらカッコいい。上背のあるフロントマンも良く映える。音源に比べると圧倒的にドラムの迫力が増していて、手数が多い訳ではないけど一撃一撃が非常に重たく迫力がある。このドラムあってのリズミカルなリフなのかもしれない。いわゆるHELMETなんかに比べるとボーカルパートが少ないし(リフで魅せるパートが多い)、キャッチーな歌メロもない訳だからやはり中々挑戦的なバンドだと思う。沁みてくる何かがある。とても良かった。Swarrrmへの祝辞を水谷さんが述べる。
isolate
続いて東京ブラッケンドハードコアisolate。厳ついボーカルの人がSwarrmへの祝辞を非常に丁寧な物腰でしゃべるな〜と思っていたら、一気にぶち切れたボーカルからの曲になだれ込み私驚愕。ヤバい感がヤバい。だいたい普段平静な人が切れだす方がヤバいと相場が決まっている。フロアから身を乗り出してわめきまくる。まるで手話のように声だけでなくこちらに語りかけてくる。こうなると俄然一体このバンドが何を伝えたいのか興味が出て来てしまう。曲は激情ハードコアをさらに押し進めたものなのだが、トレモロリフも美麗なポスト感というよりはイーヴィルなブラックメタルのそれである。どの曲も速く、そして展開が複雑。なんというか個人的には絶望的な負の感情を感じ取り鳥肌。フロアも盛り上がる。
終演後物販でCDを買おうと思ったらアルバムは既に売り切れ。EPを購入。
Swarrrm
やはり今日の主役ということでフロアの密度が一番濃かった。
この日出演したバンドでは唯一始める時にSEを使った。盛り上がる。個人的にはこの時のステージとフロアの緊張感がマックスすぎて本当ワクワクして楽しかった。
曲が始まってしまえばカオス&グラインドの奔流だった。とくにボーカルの司さん(フロアでお見かけしたんだがおっかなすぎた…)は神がかっており、あの「ヴォオオオオオオオイヤアアアアア」という低音から高音に一気にオクターブあげていくシャウトはCDそのままどころか威力マシマシで殺気に満ち満ちていた。膝が崩れるかと思った。
おっそろしいボーカルをグイグイ押す、ギターの美しいこと。ポスト感とは明らかに一線を画す。ただグラインドしながらも最高速ではなく、べつのもっと陰鬱な美しさを志向するこのバンドの一角をになうのがこの饒舌なギターだと思う。この日もその魅力を堪能できた。個人的に大好きな「幸あれ」この曲は速度はどちらかというと速くないのだが、Swarrrmのもつメランコリーが結実した様な曲で、私の体が透明になり、物理的な力持つ音の塊が身体の水分を揺らしている様な感覚に陥り、ちょっと感動で涙ぐんだ。
アンコールが起こるくらいかっこよく、そして短かった。でもSwarrrm見れて良かった。圧倒的だった。もちろんこの日一番。
Stubborn Father
大阪のバンド。「頑固親父」というバンド名が気になっていたバンド。(ユーモアのあるハードコアバンドかなと思ってた。)
まずライブハウスの証明は全部切って自前の青白く光量の多い証明を使っていた。これをステージの真ん中あたり(だと思う)におく。するとバンドメンバーは陰影濃く浮かび上がり、ライトの前にいるボーカルのみ逆光で影法師のようになる。うーん。これは面白い。たしかweeprayもにた様なことやってなかったかな。ボーカルの人は長身で良く動くから見ていてすごい面白かった。
音の方はこちらも激情ハードコアを基調にした激烈なもので、ただし前のisolateと違ってこちらは澱みを速度に昇華せず、そのまま荒れるに任せたスラッジーなイメージ。ギターのアルペジオというか、妙に壊れた感じのつま弾かれるそのコード感が曲の速度にばっちりあってどうかしている感じの美しさがある。相当人気のあるバンドらしく、フロアもとても盛り上がっていた。1曲も結構長いんではないかな。ボーカルの声質は同じ大阪のBirushanahのIsoさんにちょっと似ていてとても良かった。音源、かえば良かったな〜。
念願のSwarrrmはやっぱりすごかった。どのバンドも激烈だったがSwarrrmは一体どこを見ているんだろうな。ちょっとやはり別格的な感じがしました。20年の重みなのかも。20周年おめでとうございます。
GWということもあってSwarrrmもそうだけど、大阪だったり姫路だったり全国色んなところからバンドが集ってきてすごいイベントでした。主催の水谷さん、お疲れさまでした。とても楽しかった。
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