アメリカはカリフォルニア州レッドウッドシティのパワーバイオレンスバンドのコンピレーションアルバム。
オリジナルは2001年に今は亡きSlap a Ham Recordsからリリースされた。2016年にTankcrimsからサイドリリースされた。私が買ったのはこっち。元々気になっていたバンドなのでこのタイミングで買ってみた。CD盤。
バンドは1992年に結成され2000年に解散した。フルアルバムのリリースは3枚のみだが、その他のリリースは膨大でwikiによるとどれも今となっては希少価値の高い音源になっているようだ。この音源はそんなあまたのスプリットやコンピレーションに収録された曲を集めたもの。「Sweatin'3」というタイトル通りこの前に1と2がリリースされている。
全67曲収録されている。ほとんどの曲は1分に満たないからだいたいの音楽性も想像できると思う。速度の速い短い曲で圧倒今に駆け抜けるのはまさにパワーバイオレンス。
また遊び心も満載で内輪のジョークめいた長い曲名や、タダでさえ短いのに映画の一部やヒップホップのトラックを貼付けたようなSEなんかも結構ふんだんに盛り込まれていてユーモアのセンスが常になる。ここら辺は同じパワーバイオレンスバンドのCharles Bronsonに通じるところもある。
ふざけているのは確かにそうなのだろうが、曲の方はくすくす笑いが次第に消えていく様な緊張感に満ちたもの。3人組が織りなすシンプルなアンサンブルはとにかく飾らない。弦楽隊はそれなりに音の重さはあるけど過剰な装飾は一切無しのハードコアなもの。ボーカルは3人全員で担当したとのこと。基本は野太いハードコアパンクスタイルがメインで、中音スクリームに、ギャーギャーわめく高音シャウト、まれにデスメタルいぐろごろボーカルも顔を出す。とにかくベースの存在感が際立っていて、ハードコアらしく以上に研ぎすまされた硬質かつソリッドなもので、こいつがガロンガロンいう。頭に思い浮かぶのはパワーバイオレンスの黎明期のバンドMan is the Bastardだった。こちらはツインではないし、もっと分かりやすいけど音質と雰囲気は結構似ていると思う。ブラストというよりはスタスタ良く回るリズムを高速で軽快にぶっ叩くドラムと相まって大変気持ちがよい。ギターは昨今のこの手のジャンルにしたらやや主張が弱いかもしれない。技術というのでなくてむしろカッコいいんだが、単純にもう少しボリューム挙げても良いかなと思った。個人的には底までスラッシュ成分は感じられない。ざらついた音はさすがに当時からこの手のジャンルの手法をしっかり確立している感じなのだが…もっともここは好みの問題かもしれない。
短い曲で終始叫びっ放しなので当然わかりやすいメロディなんてものは望むべくもないわけで。そうなると断然ストレートに気持ちを高揚させる勢いの気持ちよさに焦点が合わさってくるがここは抜群。また2分台以上の曲は2つ収録されているのだが両方ともカッコいいのは面白い。パワーバイオレンスは速さと重さ、同一ベクトルの両極端を押さえている(中間という意味ではなく先端同士を両立させているという意味で)興味深いジャンルだと思う。SPAZZは速さ2結構な比重を裂いているが、スラッジーなパートもカッコいい。一気にバンドの持つ不気味な部分が音になってのったり出てくるような、そんな意外性にしびれる。特に「Gummo Lobe Theme」の方はそんな不穏さが顕著。
という訳でパワーバイオレンスの歴史を学ぶぞ!という以上に普通にというか普通より大分カッコいいですよ。未だの人はどうぞ。なんせ67曲も入っているんだし、なんか得な気分になりませんでしょうか。
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