アメリカはロードアイランド州プロビデンスのドゥーム/スラッジデュオThe Bodyと同じくアメリカはメリーランド州オーシャンシティのグラインディングノイズハードコアバンドFull of Hellのコラボレーションアルバム。2016年にNeurosisが主催するNeurot Recordingsからリリースされた。私がかったのはデジタル版。
「死体」と「地獄いっぱい」がコラボしてできたのが「いつかおまえらも俺のように痛むだろうよ」という底意地の悪さ。のっけから悪い予感しかしない極悪アルバム。
ノイズへの接近という共通項はあるものの、地獄を這い回るドゥームとグラインドコア顔負けの激速ハードコアということで地獄の様な激音になるものの、その足し算というよりは掛け算は一体どんな解を出すのだろうかというのが気になるところ。
The Bodyは今までThou、それからKreigとのコラボレーションアルバムを聴いているが(実は未だ単独のアルバムは聴いたことないんだ…)、今回は個人的には一番気に入っているかもしれない。というのも両者が混じり合っているのだが、互いの良いところは完全に分離している。つまりだな、お湯と冷水を混ぜてぬるい液体ができた!というのではなく、あっつい、そして冷たーいが見事に同居した見事なアルバムなのだ。共通項であるノイズが強烈な個性を見事に一本の太いパイプでつないでいる印象。
アルバムタイトルを冠した1曲目がこのアルバムを見事に表現していて、ドラムマシンの低音から一気にブラストになだれ込むハードコアから一点、後半いっきに停滞し淀んで行く退廃ドゥームが両立している。まさにノイズが彩る地獄のパワーバイオレンス。
またこれはThe Bodyの趣味だろうが直情径行で突っ走るだけでなく不穏な女性ボーカルを取り入れたりする小技も聴いていて気持ち悪さの中にも幅と広がりがあって面白い。完全に悪夢めいた廃墟の遊園地で、実体を持った化け物が殺しにかかる凶暴さと、廃墟にこだまする幽霊めいたこだまの二つが一挙に楽しめるこのエンターテインメント性の高さ。素晴らしい。後者に属する2曲、9曲目は荘厳さとそれにクソをぶっかける様な冒涜性。そして爆発する生とその後の硬直を経て、弛緩しきった退廃的な美しさがノイズに込めれていて大変美しい。
という訳で繰り返しになってしまうがThe Bodyのコラボ作では一番好みかもしれない。とにかく二つのバンドの良いところがそのまま活かされ、共作することで長所が倍加されているコラボのお手本の様なアルバム。両者好きな人はまず間違いなく楽しめること請け合い。是非是非どうぞ。大変オススメ。
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