2016年5月1日日曜日

HELMET/Unsung:The Best of Helmet(1991-1997)

アメリカはニューヨーク州ニューヨークのオルタナティブメタルバンドのベストアルバム。
2004年にInterscope Recordsよりリリースされた。
後続に多大な影響を与えたという意味でアメリカの音楽史上に残る有名なバンドだが私は聴いたことが無かった。この間のKhmerのライブで転換時に流れていたのが気になりCDを購入した次第。どうも2ndか3rdが最高傑作らしいのだが、自分は4thに収録されていた「Pure」という曲(つまり会場で耳にしたのがこの曲)が気になったので、この曲を押さえつつ最高傑作も聴けるベスト盤を選んでみた。なんとなくベスト盤を買うというといかにもミーハーなファンて感じでちょっと恥ずかしい気持ちもある。

音楽学校でジャズを学んだというPage Hamiltonを中心に1989年に結成された。その後メンバーチェンジもありつつ4枚のアルバムを発表し、解散。2004年にはHamilton以外のメンバーを一新し再結成。何枚かアルバムも発表しているようだ。
このベストはタイトル通り解散する前の音源をコンパイルしたもの。
オルタナティブというのは色々な意味のある言葉だが、音楽史ではメインストリームに対しての、という意味で用いられているようだ。だから一言でオルタナティブといってもその音楽性は幅広い。個人的にはオルタナティブ、オルタナというと真っ先に浮かぶのはNIrvanaやThe Smashing Pumpkinsなどのグランジ勢でこれらはメタルというよりは、オルタナティブロックではないかと。
このHELMETの場合はまさにオルタナティブ”メタル”という言葉がぴったりで演奏はがっつり重たく、明るくない雰囲気もあってグランジ勢との共通点も多いけどもっと鈍く重たいイメージである。
中音から低音を強調したリフはスラッシュメタルっぽいが、速さやテクニカルさに磨きをかけた大多数とは明らかに一線を画す。もっとシンプルで良くも悪くも低音に徹している。速さが無い代わりに非常にリズミカルである。非常に肉感的でタフな音楽性はハードコアに通じるところがある。またボーカルも野太い吐き捨てタイプでこれもその時代のメタル界隈とは全く異なった粗野なものだ。こう書くとかなりハードコアな音が想像されるが、ジャズを本格的に学んだというHamiltonの個性もあってか実は変拍子などが導入された曲はフックに富んでいる。ただ基本的にはバンドアンサンブルのみで構成された曲は何回という趣はほぼ無い。インテリヤクザという訳ではないが、噛めば噛むほど味のある曲だと思う。また重たく、リズミカルでシンプルな音、それからハードな中にもキャッチーさがあるという曲に関してはこの後のモダンへヴィネス、ニューメタルなどにもかなり多大な影響を与えた、というところは非常にしっかり来る。私はばっちりニューメタル世代なのでなるほど〜〜という感じ。ちなみにHouse of Painとの共演でラップとの取り組みも先行して取り組んでいたりもする。
次第に艶やかさを増していくボーカルが無骨のバンドの持つ独特のメランコリーさを際立ていている。もっとハードなバンドにもなれたのだろうが(勿論結果的にはそうならなかったのが良かったのだと思う)、なんともいえない愁いを帯びたボーカルがごりごりした音に良く映える。

というわけで私が知らないだけかもしれないが、日本ではそこまで知名度がないばんどなのかも。名前だけ知っている30代前後の方は恐らくこのサウンドから何かしらを感じ取れることは間違いないと思う。未聴の人は是非に。非常にカッコいいです。


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