日本のグレイトハードコアバンドの1stアルバム。
2014年に日本のKeep And Walk Recordsからリリースされた。
isolateは5人組のバンドでこのアルバムは結成7年目(だから2016年は結成9年目ということになるはず)にしてリリースされたもの。
リリース当時色々なブログで取り上げられていたもののなんとなく買わずに過ごしていたが、この間ライブでisolateの音楽を目の当たりにし、これは買わねばと思って物販には知ったのだった。残念ながらその時は既に売り切れており買うことが出来なかったが(なのでEPの方を買いました)、その後無事Amazonでゲットすることが出来て嬉しい限り。
まずは「ヒビノコト」というタイトルそして暗くも色彩豊かなアートワークに心奪われる。音の方はライブの方で1回体験済みなので、嵐の様な会場で聴いたあの興奮がまざまざと蘇るとともに冷静に曲を楽しむことが出来た。ライブで聴いてから音源聴くのも大変良いものですね。
カオティックハードコア、激情ハードコアという文脈で語られることが多いようだし、実際出自に関しては確か似そうなのだろうと思うが、個人的にはブラッケンドハードコアだなと思った。それも欧米のそれらとがっぷり四つで渡り合って有り余るクオリティであることは間違いないのではなかろうか。この荒廃した凄まじさはちょっとストレートが信条のハードコア、さらに感情を剥き出しにする激情(激情であることは間違いないのだが)のさらに一歩先を行っている感じがある。とはいえ反キリスト的精神に代表されるブラックメタルの美学や禍々しさは皆無なので、生真面目過ぎて考えに考えたあげくに真っ黒いブラックホール(巨大な憂鬱や絶望感、無力感)にとらわれたハードコアというのが私の印象。完全にダークサイドに落ちきらないisolateの音楽にはだから常にギリギリ境界線状にいる必死さと迷いがあって、それが凄まじい感情と音の氾濫となって渦を巻いている。
壁の様なギターは新世代のブラック感を感じさせるし、主張の強いベースは確かにハードコア由来のもの。速くぶっ叩く以外にも饒舌なドラム、そして終始叫ぶボーカル。
「ヒビノコト」というタイトル、そしてパッチワークの様なアートワークは改めて極めて素晴らしく彼らの音楽を表している。歌詞を読めば”日々の事”を歌っている事が分かる。生真面目で正気でしかいられない(=安易な狂気に落ちこめない)、悩める人たちの平穏で不条理に満ちた毎日を結晶させたのがこのアルバムなのだと思った。だからたしかに激烈であってもこれは”日々の事”なのだ。
激しい攻撃性、そして徹底的な内省性、荒廃しつつ、公開しつつ、前進するという悩める人の悩める人たちに向けてのアルバムだととらえました。劇的な説得力。悩めるあなた、是非手に取ってどうぞ。
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