先週の激務でまさかの昼寝で寝坊してしまい、一番手Blindsideに間に合わず…。
Coffins
東京オールドスクールデスメタルバンド。
MCでも言っていたが今回のラインナップでは異質なバンドで、流れでみるとやはり異彩を放っていた。モダンなハードコアがミュートでザクザク刻んでいくとすると、デスメタルは余韻を引きずるスタイル。重たい一撃がグワングワンする残響を残していく。これが速いバンドならまた話は違うだろうが、Coffinsは相当にDoomなので割合的に一音一音の比重(インパクト)がでかい。デスメタルのリフに極悪ハードコアを見出す動きもあり、結果ハードコアバンドとは別のアプローチでフロアにアクセスするイメージ。
個人的には来年から録音に入るという新曲群がとにかく良かった。キャッチーというと語弊があるかもしれないが、元々Coffinsはドゥームな割には曲の中で変化があるバンドだったと思う。ゆったり(もったり)その姿を変えていく、というスタイルが新曲ではかなり激烈になっていてその強引な感じがまた格好いいのだ。テンポチェンジも露骨でテンション上がってしまう感じ。
「Raw Stench Death Metal」と刻まれたパーカが新作で物販に並んでいてライブ良かったのでこれは!と思っていたのだが、終演後には売り切れていた。みんな考えることは同じみたい。
NUMB
続いては1995年から活動しているNUMB。とても有名だしいろんな場所でライブをやっているが見るのは初めて。
この日どのバンドも素晴らしかったが、一番衝撃を受けたのはNUMBだったと思う。色々なバンドが自分たちをライブバンドと称する。特にこのジャンルではライブがすべて、と言い切るバンドもいたと思う。たしかに音源で聞くのとライブで体感するのはぜんぜん違う。(そもそも使っている感覚が5倍(味覚はなかなか使わないが)になるからライブのほうがすごいのは仕方がない。)でもNUMBみてライブバンドってこういうバンドかと思った。まずは圧倒的なショウ感。これは演劇的という意味ではなくて、全部がつながっているということ。曲の合間にチューニングがてらMCというのではない。曲名をコールするMCが全部計算されていて流れるように曲に移行する。劇的にスムーズでこちらはライブ中にスマホ見ている暇なんてないんだよね。(そもそもライブ中に見ないと思うけど。)途切れないライブで集中させる。でも威圧的な感じが全く、本当にまったくなくてむしろ笑顔が多い。これは衝撃的だった。
曲はモダンにアップデートされているけど、随所にオールドスクールを感じさせるもの。音の作りも数もいい感じに引かれている感じ。ラフ、というのとはちがう。おそらくライブの運びもそうだけど、相当考え研究しているのだろうなと思った。重鎮というのは老獪で力が抜けているなんてとんでもない。むしろ知見をたゆまずアップデートすることなんだなあと感動したけど、ライブ中は何も考えずにただただ楽しかった。
Loyal to the Grave
続いても大変有名なバンド。(1998年結成。Bolodaxeの仕掛け人でもあります。)やはり見たことがなくて楽しみだった。
音楽的にはNUMBと共通項がかなりあるけど、よくよく聴いてみると違いがわかって面白い。まず音の数が多い。また音も重たい。ようするもっとヘヴィだ。こちらもルーツは様々だと思うけど、出音としては明確にニュースクールといった趣。それも硬派なやつ。メロディ性は皆無でほぼほぼグルーヴで引っ張っていくタイプ。ただモッシュに特化したモダンなブルータルさとはまた違う。落とす、というからには高さ(つまり速さ)が必要なわけで、ニュースクールは技術でもってそれらを演出する。ミリタントもそうだけど、ただ単に落とすためのその他ではなくて、落とし所以外も格好いいという。言うのは簡単だけれどそれを実行するのは難しい。それを難なくやってのけるのがこのバンド。とはいえミリタントほど装飾性がない。ドラムの音の抜き方に何かしら格好良さの秘密がありそうな…。
とにかくボーカルの方のMCが良かった。ハードコアはとにかくタフだけど殺伐としているかというと、少なくともライブの雰囲気は違うと思う。暴れるにしてもポジティブなモチベーションがあってそれを体現しているかのような語りがとにかく良かった。
PALM
このラインナップで見るとCoffinsほどではないが結構浮いているなと思ったのがこのPALM。マイクの取り合い合戦も確か始めてみたのがこのバンドだったので恐ろしいハードコアだぜ…と思っていたし、実際そうなのだが、いわゆるUSスタイルのハードコアとは結構趣が異なる。わかりやすいのはドラムで結構バチバチ存在感のあるブラストを入れてくる。突進力は確かに、だからといってトータルでグラインドコアかというとそうではない。ギターに関してもミュートで刻んでくるというよりはデスメタルっぽいトレモロを噛ましてきたり、短いソロを弾いたりもする。ただ音の肉抜きがされていて重苦しいメタルには聞こえない。いわば絶妙なバランス感覚でハードコアの綱渡りをしているようなイメージで、これがまたフロアを沸かせる。いい意味でのごった煮感は今はあまり聞かなくなった「カオティック」を彷彿とさせる。
何回か見たライブではユーモアに富んだMCが印象的だったがこの日は少なめ。ベーシストの外国の方がビザの関係で不在、というくらいの簡潔さ。あとはもうほぼほぼ演奏に振り切っていた。ボーカリストはマイクで体を叩くのだがその「ッゴ」という音がよく考えるとなんとも猟奇的。演奏もあって何するかわからんぞって雰囲気でもやっぱりこの日明らかに尖っていた。
Jesus Piece
いよいよ最後はモダン・ブルータル・ハードコアの雄、合衆国はフィラデルフィア州からやってきた5人組。
出音一発で思った「遅え〜」。地獄は速いのかと聞かれたら遅いんじゃなかろうかと思うのだが、この日はまさに地獄。浮かれているフロアに鉄槌を下すがごとおく容赦がない。フロアに居るみなさんも一発でこれは尋常じゃないな、と思ったのではないでしょうか。ギターがベースかってくらい音が重たい。そして遅い。叩きつけるというかもう押さえつけるくらい。これが良い。豪腕でズンとくるから、押さえつけられた反動でこっちは跳ねるじゃん?というわけで結果的にフロアも更に湧くのだ。わけがわからないがこんな感じ。(まともな人間はハードコアなんて聞かないそうだ。)
これ前編モッシュパートじゃんというくらいのえげつなさだが、耳と体がなれてくるとしかしよく練られた曲に込められた技工がわかってくる。2本いるギターで役割分担があって、片方はもうズンズン刻んでくるのだが、間を縫ってもう一本がかなりですメタリックなリフを奏でたりしている。踊らせるにしてもテンポチェンジはもちろん、結構拍子も変えてきて、3拍子は思った以上にハードコアに合うな!なんて地獄のようなフロアで思ったりもした。ボーカリストもデスメタルバンド顔負けの低音咆哮を見せる。長身でシャツを脱いだ体はとにかくしなやか。音の方もそうで、ハードだけど有機的なしなやかさがある。意外にライブで見るとガッチガチに固めたハードコア、という印象でもなかった。
フルアルバム「Only Self」はもちろん素晴らしいのだけど個人的に一番好きなのはデモの「Lost Control」。まさかと思っていたけど果たしてやってくれてテンション上がった!!横から上から人がどんどん飛んでくるのでじっくりなんて見れたもんではないのだが、これがまさに触覚を使ったライブなのだ。
この日は一番手からフロアが沸きに沸き、それこそ一番手からけが人が出たりもした。hate5sixに日本のハードコアを見せてやろうという気概があってか、演者もそうだしそれに答えるようにオーディエンスも非常に高いテンションで盛り上がっていたと思う。
Jesus Pieceのメンバーは根っからの音楽好きなのだろう。どのバンドでもほぼ最前に陣取り、誰よりもモッシュしていた。特にフロントマンのアーロンはCoffinsのときにすごく楽しそうだった。(Jesus Pieceもはじめはデスメタルやりたいねって集まったらしい。)
良いライブってどんなライブかというとフロアに居る人が笑顔のライブだと思うし、そういう意味では非常に素晴らしいライブでした。
Jesus Pieceはこれからツアーが本番なので迷っている人はこの機会に是非どうぞ。
それとこれは日記なんだけど、やはり私は耳栓が合わないみたい。現在のライブハウスでは耳栓の着用が推奨されている。安いやつを買ってみて好きじゃなかったので、ライブ用のちょっと良いやつを買ってつけてみた。音はちゃんと聞こえる(どの楽器ももバランスよく音を減らしてくれる)のだけど、どうしても迫力が足りない。早々にテンション上がって外してしまった。ある程度つけてれば慣れるんだろうかね〜。
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