2018年12月23日日曜日

Emma Ruth Rundle/On Dark Horses

アメリカ合衆国はカリフォルニア州ロサンゼルス出身のシンガーソングライターの4枚目のアルバム。
2018年にSargent Houseからリリースされた。
Emma Ruth RundleはISISのメンバーがやっているポストロックバンドRed SparrowsやMarriagesにシンガーとして参加している。

私は彼女のソロ作品は初めて聞いたのだが、内容的には生音を大胆に活かしたフォーク、それがロックの流儀というよりは手法をパーツとして取り入れた、という形に聞こえた。
というのも曲が凝っているのだけど明らかに歌が中心にある。バンドだとどうしてもみんな目立ちたがるからこうは行かないような気もする。(特にロックのジャンルでは。)
フォークと言っても辛気臭いそれではなく、太鼓が原始的なリズムを叩き、妙に浮遊感のあるギターが乗っかる奥行きのある全方位型。芯がしっかりしていて陽性だがどこかしらドゥームの雰囲気があるのが良い。エコーが掛かったギターと土臭い雰囲気はフォークと言うよりはカントリーなのかもしれない。アメリカーナってやつなのだろうか。

歌の雰囲気や作り方(仕上げ方)もそうだし、同じSargent HouseということでどうしてもChelsea Wolfeを連想してしまう。女性だからというのはいささか乱暴だが、両方共魔法的である、もっというと呪術的であるという共通項はあると思う。Wolfeの方は露骨に見た目もブラックメタルを通過した黒さ、ゴスさがあり音の方もどこかしら退廃的な雰囲気がある。一方Rundleの方は見た目も音もよりナチュラル。曲調は明るく、歌声は力強く伸びやかに。ただし個人的にはむしろ呪術的な雰囲気が強いのはRundleの方だなと思った。Wolfeさん方はなるほど王道とは言い難いけど、人間味があってつまり懊悩の果に邪道にというストーリーがある。特に見た目だけだとインパクトが強いけど歌に関してはその正道から邪道というブレが主役的に表現されていると思う。
一方でRundleさんはもっと野性的で奔放。わかりやすい病みはなくて明るいところは明るい。また健康的というのは明るいというよりはエネルギーに富んでいることで彼女の場合はこれが当てはまる。ようするによりプリミティブなわけで、なるほどこちらから見れば異質だが向こうからしたら何らおかしくはない。つまり生粋の魔女であって、これはもう文化が違う。呪術が当たり前の世界での歌なのであって、人間が歌う恨み節の呪文というのとは異なる。
ブレがないぶんRundleの歌は真っ直ぐなわけで、でもフリーキーだ。StrangeというかWeirdなのか?明るく力強いがヒットチャートの歌とはやはり一線を画すマニアックさがある。

Sargent Houseというのは面白いレーベルで、同じ女性シンガーでも毛色の違う人達を揃えている。全く違うがやはり異端という意味で共通している。
出音はもちろん何かしらの判断基準があるのだろうと思うのは楽しい。要するに一本筋が通っているように見えるから。

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