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2017年7月17日月曜日

LOSTTRIP@新宿ロフト

日本のハードコアバンドVVORLDのドラマーチンウィルさんの企画。
真夏の新宿ロフトで全17バンドが出演するハードコアパンクのお祭り。
見たいバンドがいくつかあったのとの興味のあるけどほとんど聞いたことがないジャパニーズ・ハードコアを1日でいくつも聴けるのは良いな!と思っていってきた。
このあいだのVVORLDのリリースパーティ@新代田Feverと同じようにステージとバースペースで二つの舞台を作って交互にバンドが演奏してくスタイル。このやり方だと転換の間の待ち時間がなくなるわけです。最終的にはちょっと両方のステージが被りだしたけどほぼ押さなくて時間通りだったと思う。
新宿ロフトは広いし、トイレにも余裕があるので良いなと思いましたよ。

本当は12時開場の13時開演なのだが、私は余裕の重役出勤をかましついたらちょうどWrenchが終わるところ。Wrenchはいろんなイベントに呼ばれている気がする。当時はミクスチャーバンドという文脈だったと思うけど、いろんな音楽のイベントにハマるというのはミクスチャーなんだな〜と。

Fuck You Heroes@バースペース
とりあえずじゃあというわけでバースペースの方に移動すると超満員でかなり後ろの方から見る。メンバーが何人かもわからない。若さが何かは知らないが、サウンドを聞く限りは若い!という感じの音で、基本早めのビートにコーラスワークの爽やかなパンクという印象。場面によっては非常にメロディアスだった。

Black Ganion@ステージ
続いては愛知県名古屋のハードコア/グラインドコアバンドBlack Ganion!お目当の一つ。ハードコアというにはひねりすぎている凝った悪夢的なアートワーク(2ndその名も「Second」は非常に凝った装丁の特殊ジャケット仕様。)が象徴するように誰にも似ていいない音を鳴らすバンドなので一度ライブを見たかった。メンバーの立ち居振る舞いは完全にハードコアで、特にギタリストの方の顔というか表情が尋常じゃなくて恐ろしい。ジャニーズのライブに行く女の子じゃないんだけどライブ中に目があったような気がしたんだけど怖すぎました。
まず思ったのがスネアの音が徹底的にカラカラに乾いていてグラインドコア、ゴアグラインドっぽい。そしてブラストしまくり。指弾きベースはあくまでも不穏なのに対してギターのとは金属質であえて重量をある程度削ぎ落としたカミソリサウンド。そこに不明瞭に呻くボーカルが乗っかるという地獄仕様。ただ激しい一辺倒ではなく例えばアルペジオも入れてくるような起伏を曲に持ち込んでいるが、美麗なポスト感皆無でひたすら不気味。ソリッドなギターもともするとエフェクターのつまみをいじって異常なノイズを発生させていた。耳が慣れてくると楽器の音がそれぞれバランスよく聞こえてまさに音を浴びている状態。気持ちよかった。

ELMO@バースペース
お次はおそらく東京?のハードコアバンドELMOで前回のVVORLDのリリースパーティの時には異常に尖りまくっていたのでまた見たかった。こちらのバンドもお目当の一つ。
前回同様VVORLDのギタリストの方がギターのヘルプ。高音のノイズを異常に放出しまくる一目で危ないサウンドでワクワクが止まらない。前回見たときは異常に怒りまくっている感じだったが、今回は他のアーティストに対するリスペクトを言葉にしていた。とはいえ音の方はというと非常に凶悪な耳を痛める系でエフェクト過剰でほぼノイズになったリフの中を高音ボーカルが絶叫。高速パートもさることながら、ノイズがひゅんひゅん飛びまくる低速パートが個人的にはたまらん。怒りの感情をストレートでない歪んだ形で表現しているところがかっこいい。ただあくまでも感情的でちょっとメランコリック。もっと長いこと見たいものだと思ってしまう。
「Still Remains...」しか持ってなかったので「Change But True」とT-シャツ付きのThirty Joyとのスプリットもゲット!音に反してメンバーの人は丁寧な方でした。

Warhead@ステージ
古都京都の1990年結成のハードコアバンド。ボーカルの人は刺青びっしりに真っ赤なモヒカン頭という清く正しいジャパニーズ・ハードコバンンド。
「Fuck Off!」という絶叫から幕開けるステージは正しく反抗するという意味でパンクだった。しゃがれ声でシャウトするボーカルは一体何回「Fuck Off!」と叫んだのやらわからない。声質がジョニー・ロットンに似ている。円熟味もあるんだけどやんちゃな感じがしてよかった。曲はシンプルなハードコア・パンク様式だが相当速いスピードで駆け抜ける。コーラスはあるんだけどメロディアスさはあまりなく、本当掛け声という感じで高揚感はあるが曲自体はかなりハードコアだと思う。
曲が終わるたびに次やる曲の名前をコールし、一体どういったメッセージが込められているか(概ね曲名がそのメッセージを代表するワードで構成されているみたい)をぶっきらぼうな言葉で語って行く。これが全くもって自分たちの言葉という感じでまさにパンクスだった。ステージの強烈なライトの逆光に生えるモヒカンがかっこよかった。

kamomekamome@パースペース
Warheadを最後まで見終えてさては次はkamomekamomeだな〜と思ってバースペースに向かうとすでに人がパンパンでした…。完全に油断していた。新代田Feverで見たライブがとてもよかったので前の方で見たいなと思っていたのだが、そういえばあのときもすごく前の方はぎゅうぎゅうだったのだった。それでは!という感じで後ろで見たのだけど、もはやこの界隈のアイドルかってくらいの人気というか愛されようで、人が暴れる暴れる。ハードコア的な殺伐さではなくて笑顔で人がポンポン飛んでいる感じ。kamomekamomeは複雑な楽曲にメロディアスなパートがある曲が多いんだけど、メロディアスなところはみんな歌う。本当に後ろから見てそれと分かるくらい合唱。激しいだけだともっと殺伐とするし、メロディアスすぎたらもっとしっとりしてしまうし、両極端の要素を楽曲に融合させている本当にすごいバンドなんだな…と後ろの方から思ったりした。当たり前にかっこよかった。

EX-C@ステージ
続いては大阪のハードコアバンド。みるのも聞くのも初めてで名前も知らなかった。メンバーの方の様子から見てオールドスクールなハードコアバンドかなと思ったら全然違った。明らかにタフなバンドだった。基本的にボーカルの方がぎゅっと結んだバンダナが勇ましいレイジングなハードコアなのだが、曲にボーカルの入らないモッシュパートがあって、曲の速度がガクッと落ちる。するとフロアでは運動会が開催されるといった激しさ。一個前のkamomekamomeとはまた違った激しさでこちらはとにかく肉体的で拳やら足が振り回さられる剣呑なもの。といっても曲自体はストレートで勇ましいもので負の要素は皆無。もちろん前の方に行かなければ暴れなくてもライブを楽しめる。よく聞いてみると楽曲自体はただ暴れるための、というよりはツインのギターが叙情的なメロディを奏でたりとよくよく練られているものだったのが面白い。

Forward@バースペース
続いては東京のハードコアバンド。Death Sideという大変有名なハードコアバンドのボーカリストのIshiyaさんという方が今やっているバンドで、私はForwardもどちらも聞いたことがなかったのだが、Ishiyaさんのコラムを面白く読んでいたりしたので是非一度見たかった。見事に立ったモヒカンもあっていかついバンドかと思っていたし、実際相当いかついのだけど楽曲はちょっと思ってたのと違ってもっと温かみのあるものだった。メロディアスさはあまりない掛け声コーラスが雄々しいオールドスクールなハードコアなんだけど、Motorheadのようなロックなギターソロが結構入るのと、日本語歌詞を噛み含めるように独特の節でシャウトすると歌うの中間くらいで発生するボーカルで思ってたのよりもっと親しみやすい。速度もそんなに速くないのでギリギリ歌詞の短編が聞き取れるくらい。
お酒が飲めなくなったMCもそうだけどタイトな楽曲とシリアスさの中に柔和な一面があって、それがすごくよかった。個人的にはこの日とてもよかったバンドの一つ。また見たいです。

ENDON@ステージ
この日Wrenchとともに異色なバンドだったのではなかろうか。この日は結果的に出している音は違ってもハードコアバンドが集う日だったけど、ENDONの場合はバンドフォーマットを取っているけど出自がノイズで憧れからハードコアに接近した経緯があるから、そういった意味では明確に異色の人選だったのではと。
さすがの貫禄で全く動じずマイペースに最新アルバムの冒頭「Nerve Rain」からスタート。プロジェクターから放射される強烈な光が印象的で、チカチカ点滅するとメンバーの動きがコマ送りのように飛び飛びのように見える。ENDONの音楽は抽象的だが実際には物語性が明確にある。アルバムと同時に展開されたメンバーによる小説作品はオフィシャルでありながら、解釈でもあると思う。無数の解釈はあるのだが詳らかにされることを拒否しているようでもある。パンクスがやるハードコアは物語というよりはメッセージ(という物語である、ということもできるが。)だから、単に音楽以上の隔たりがあるかもしれない。そんなことを明滅するライトの白さに思ったりした。かっこよかった。

KiM@バースペース
続いて京都のバンド。このバンドはウッドベースがいるというのはなんとなく知っていたので一体どんな音になるのか気になっていた。さすがにウッドベースの存在感は半端ない。バーのステージは決して広くないのだが、くるっと回したり、掲げたりしていた。(重くないのだろうか。)
パンクスはメッセージだと思ったけどこのバンドはそのメッセージが強烈だった。そして音的には非常にタフ。不良を通り越して怖いです。”男らしさ”というのが強烈に意識されていて、それを曲に落とし込んでいる。わかりやすいモッシュパートがあるわけではないが、全編フロアが危険なことになっていた。バチバチ、カチカチなるウッドベースはさすがのかっこよさ。ロカビリー感というのはそこまでなかったけどシンプルかつ力強いハードコアサウンドに独自な音を追加していてかっこよかった。とにかくタフな男のハードコア、怖かった。

九狼吽@ステージ
続いて名古屋のハードコアバンド九狼吽。「クラウン」とよむ。ボーカルの人は巨躯でモヒカン頭、両目を横断するように黒い線を引いている。ベースの人は金髪リーゼントに鋲を打ちまくった革ジャンを着込んでいた。この日革ジャンを着込んでいたのはこの人だけかな?冷房効いているとはいえ暑かろうに。とてもかっこよかった。
ジャパニーズ・ハードコアスタイルだが、ボーカルがダミ声。曲の速度はWarheadよりは遅いかな?Forwardと同じくらいでおそらく日本語の歌詞が聞き取れるかな?くらい。コーラスワークが「お〜お〜」とメロディをなぞるように入ったりするから見た目に圧倒されるけど楽曲自体は結構聴きやすく、ライブハウスでは一体感が出る。あくまでもハードコアの音で中域をブーストしたどっしりとした温かみのある音で、Motorheadのようなロックンロールなリフや一点刻みまくるようなリフなど、ギタリストの方は豊かな表現力で曲に多彩な表情があるのが印象的。Warheadのようにメッセージを自分の言葉で(借りてきた言葉感ないのが良い)不器用ながらにもきちんと語ってそこから曲に流れ込むスタイル。まずはメッセージありきのパンクバンドだと思う。

ここでちょっとお休み。バーステージではMeaningが演奏中だが漏れてくる音を聴きつつ休憩。

Fight it Out@ステージ
トリは横浜のパワーバイオレンスバンドFight it Out。休憩中はステージの方にいたんだけ
ど出している音が凶悪でこの日見たどのバンドにも似ていない。
幕が上がってボーカルのYoungさんがフロアから柵に手をついてヒョイっと乗り越える様がかっこよかった。(結構高さがあるのを軽々飛び越えた。)
Black Ganionに似たソリッドな音だけどもっと厚みがある強烈な音で音質だけならかなりメタリック。ベースもガッチガチした音で、バンド全体で音響のせいか分離が良く、フロアに向けて放射される音に埋もれる感じ。始まってみればフロアではでかいピットが出来上がり。ボーカルの人はほぼステージから降りてフロアに。タフなんだけどKiMの盛り上がりとはちょっと違う感じ。こちらの方がもっと混沌としているのはパワーバイオレンスというジャンル故だろうか。高速と低速を行ったり来たりするめまぐるしい楽曲が次々と繰り出されていく。激烈な曲の中にもちゃんと決めどころがあって結構場所によってはみんな歌う(というか叫ぶ)。 例えば速すぎたりして曲が激烈だとなかなか乗りにくかったりするのだけど、Fight it Outはとても乗りやすいからすごい。最後にふさわしい盛り上がりだった。

ハードコアといってもやはり色々な種類があるな、と当たり前ながら思った次第。そういった意味でハードコアというところを共通点に全国のバンドを1日で見れてしまうとても良いイベントだった。ライブハウスの音響も良かったと思う。特にステージの方は。気になっていたバンドを見ることができたし、実際に見てみると色々自分の好みについても言語化できたりして面白い。
ありがとうございました。

2017年2月26日日曜日

kamomekamome/BEDSIDE DONORS

日本は千葉県柏市のハードコアバンドの4thアルバム。
2013年にIkki Not Deadからリリースされた。
ヌンチャクのボーカリスト向さんがヌンチャク解散後の2002年に結成したバンド。かなりテクニカルなハードコアと聞いてなんとなくビビっていた印象がある。2ndアルバム「ルガーシーガル」のみいつどこで買ってのか覚えていないが持っている。非常に叙情的な「クワイエットが呼んでいる」という曲が好き。それくらいの関わり方だったのだがこの間新代田Feverで見たライブがとても楽しく、私ほほとんど曲を知らないにもかかわらず盛り上がったので、恥ずかしながらライブ終演後物販で買ったのがこのCD。

とにかくライブが楽しかった。激しいんだけどみんな楽しそうだった。印象的だったのはとにかく客が向さんと一緒に声を張り上げて歌う。当たらめて目下の最新作であるこのアルバムを聴くと歌が強調されたバンドだと思う。ライブでもそうだったが、向さんの野太い咆哮とそれを補う様なベースの中瀬さんの甲高いスクリームが掛け合う激しいハードコアパートと、一転してメロディアスなクリーンパート。エモというのは簡単だが、この隠しようもない叙情的な完成と激しさと歌メロのくっきりさはどちらかというとPoison the Wellにちょっと似ている。感情が高ぶってきて叫んでしまう激情やスクリーモとは一線を隠している様に思える。クリーンパートはキャッチーで思わず歌ってしまう気持ちがよくわかる。これは基本全て日本語で書かれた歌詞もあるだろうし(向さんの書く歌詞はどこか変わっていて妙に具体的に一部の場面を切り取った様だが、言葉は抽象的で顔が具体的に思い浮かばない匿名性がある非常に面白いもの)、何より日本語ロックの影響が強くてよく日本人に馴染むのではなかろうか。クリーンパートには時間を割いて撮ってつけたメロディアスさだったり、激しさが落ち込む先としてのみ機能するサビ(つまり激しいパートがつまらない)としてのみ使っていないところが面白い。曲によってはかなりクリーン主体で進行することもある。
演奏の方は流石に凝っていてツインギターをこれでもかというくらい活かした重低音を効かした重厚なリフに、運指の激しいテクニカルな中音リフが重なってくる。後者に関しては単音でメロディをなぞるといったよくある”エモさ”を超越した複雑さを持っており、なるほど昨今のテクニカルなメタルのそれの影響が色濃くあるだろうと思う。
kamomekamomeの凄さは何かというと本当にこの間のライブを見ていてよかったのだが、そのテクニカルさに対する潔い姿勢だと思う。kamomekamomeバンドはハードコアバンドだ。これは間違いない。超絶技巧を棒立ちで眺めるバンド(こういうバンドが悪いといってるわけではないです、念のため。)とは明らかに一線を隠す。体を動かし、時にはモッシュし、時にはダイブし、拳を振り上げて一緒に歌うのがこのバンド。テクニカルさはクオリティ(not技巧)を高める手段でしかない。あくまでもそれらで作り上げる曲が生命線。だから非常に直感的で肉感的でタフ。そして聞き手にとってはこの上なく楽しい。メロディが欲しいなら全編メロディアスな曲を聴けば良いので、激しさを追求するバンドがなぜクリーンパートを導入するのか、という問題に対しての一個の回答の様な音楽性だと思う。つまり激しさもメロディアスさも手段であって目的地とは微妙に異なるのかもしれない。激しさとメロディが渾然一体となったこれらの楽曲が何を志向しているのか、というのは非常に面白い問題だ。

今まで聞かなかったのがもったいなかったな、と思わせる素晴らしい内容。まだ聞いていない人は是非どうぞ。

2017年2月12日日曜日

RESET/REBUILD@新代田Fever

結構前になんとなしに買ったチケット。買った後で同日にswarrrmのライブがあって「げ〜〜」となったんだけどもちろんチケットを購入したこちらにいくことにした。特にどれがお目当てということでもないくらいの軽い気持ちで遊びに行った。ところがこれがとんでもなく面白かったんだな。
新代田Feverは本当に駅から近い綺麗なライブハウス。物販のスペースも結構広い。フロアも縦横に広くて多分200人くらい入るのかな?開演ちょい前に到着したら既に人が7割がた入っていました。

bilo'u
一番手はbilo'u。バンド名からなんとなくアングラなドゥームかな?とか思っていたのだが、蓋を開けてみたら全然違った。非常にテクニカルなプログレッシブなハードコア(デスコアというのだろうか?)を演奏するバンドだった。5人組のバンドで3人の弦楽隊は全員楽器の位置が高く、ネックが太かったのでおそらく弦の多い楽器を操っているのだろう。とにかく音がよく動く。モダンな作風でMeshuggah(とそこから続くDjentの系譜か)を彷彿とさせる同じ低音をマシーンのようにズガガガと奏でる一方、もう一方のギターがテクデスばりの高温フレーズを弾いていくめまぐるしいスタイル。ウヒョーと思ったが、よく聞いているとThe Dillinger Escape Planにも通じるところがある。向こうはしたいにハードコアにポップさを曲と特に歌に溶け込ませていったが、このバンドはメロディアス性をギターの音に託しているのが違うかな。あとは音の数が多い。結構変わった音(琴みたいな)をSEに使ったりもしている。個人的にはピロピロフレーズより、メロデスみたいにある程度キャッチーな単音を低音に被せていくようなパートの方が好きだな。格好良かったけどボーカルの変態ちっくな高音パートが演奏に埋もれがちだったのがちょっと勿体無いと思った。

Tomy Wealth
続いてはTomy Wealth。この人はちょっと前から企画で名前を目にしていたのだが、一体どんな音楽をやるのかちっともわからない。どうもドラマーの方だという。客の密度がぐっと上がっていたのでおそらくすごい人気がある人なのだろうと思う。
この日はTomyさんがドラム、サポートにベース、キーボード、バイオリンというバンド編成。始まってみるとぶっといドラムビートにずしりベースが入って、その上にキーボードとバイオリンが非常に美麗なフレーズ、メロディを乗せていく。これは人力ブレイクビーツかもしれないと思う。nujabes以降のピアノを使ったエレクトロニカにも通じるところがある。とにかく綺麗でお洒落だ。しかし力が強すぎる。ドラムは流石にメタルとは全く違って音をもっとソリッドに音を作っているけど、やはりブレイクビーツ/インストヒップホップに比べると音が強すぎるし、音の数も多い。(Tomyさんは結構おかずを入れてくる。)聞いている途中に思ったのだが、前述のジャンルの要素もありつつ、ポストロックにも片足を突っ込んでいるのでは?と思った。美麗、お洒落の要素では意識されがちな儚げさはあまりなくて、かなり力強くてライブで見ると高揚感を煽ってくる。ポストロックから頭でっかちな要素を配して、美麗さに特化するとこういう音になるのかもしれない。面白かった。

palm
続いては大阪のハードコアバンドpalm。ConvergeのJacobがアルバムのアートワークを担当したことも有名。ライブを見るのは2回目でその激しさを目にしていたから「これから暴力の始まりだ、グフフ」とかおたくくさいことを考えていたのだが、いざ始まって前より前で見ているとその考えは半分外れていた。カオティックを巻き込んだフックのあるハードコアを演奏するが、曲の速度は速くありつつ暴れられる低音パートを同居させていて直感的に楽しめるハードコアを演奏するバンド。激しい曲もそうだが、ボーカルの高橋さんがその激しいステージアクションでフロアを混沌とさせていく。左右に落ち着きなく動き回る。フロアからそれとわかるくらい勢い強く足を振り下ろす。マイクを頭にぶつける(赤くなっていた)。などなど曲はほとんど全部叫びっぱなし。演奏が始まってすぐにフロアではピットが発声。マイクをフロアに向けると熱心なファンが叫びに飛び込んでくる。高橋さんはおっかないがその顔は笑っている。暴力性というとこのバンドの魅力の半分も伝えられていない。palmの音楽はライブで聴くと伝染性がある。palmの音楽はライブハウスという空間に対する強制的なエネルギーの充填である。過激なパフォーマンスが見ているものに伝染していって客も暴れ出す。エネルギーがどんどん消費されていく。なんかすごいものを「熱い」と例えるのは少なくともこの場ではとてもあっている。熱いものはご存知の通り分子の動きが激しいということだ。ぶつかり合う客は熱さの象徴に他ならない。高橋さんは喋るととっても人懐っこい人で「ありがとうございました!」という言葉が印象的。大人になって思うのはきちんとお礼を言える人は本当にかっこいい。めっちゃ良かった。

Vampillia
続いてはやはり大阪の音楽集団Vampillia。ステージに姿を現さないリーダーのもと、ブラックメタルを基盤とした独自の音楽性を展開している。音楽以外のところでも結構目立つので話題性に富んでいるバンド。ライブを見るのは結構久しぶり。今日はゲストのギタリストを迎えた編成で、全部で10人(ギター3人、ベース、ドラム2人、キーボード、ノイズ、バイオリン、ボーカル)でステージにはほとんど余裕なし。
ベースのミッチーが最初に宣言した通り笑いの要素はほとんどなしでシリアスかつタイトな内容だった。過去のアルバムから結構満遍なく演奏していたと思う。個人的には大好きな「Circle」をモンゴロイドさん一人バージョンでやってくれたのが嬉しかった。ツインドラムが轟音を叩き出し、トリプルギターが絡みつくトレモロリフを奏で、ピアノとバイオリンが別世界のように美しくも胸をかきむしるくらい悲しい音色を奏で、ノイズをまぶした中ボーカルが絶叫スタイル。今回見てわかったのはそれは美への挑戦だ。もともとほとんど楽器を弾けない素人を集めて作ったのがこのVampilliaだという。そんな音楽的なブサイク集団が時に大言を吹きつつも、こんなイマジネーションで作るゲートのような曲を演奏するなんてこんな物語はちょっと痛快である。Vampilliaは美麗な曲を演奏しつつ、醜い自分たちを隠さない(むしろ茶化して前面に押し出したりする)、それは既存の美に対する挑戦だ。モンゴロイドさんの不敵なえみにもその話題性の背後にある強い強い不屈の闘志を感じた。既存の美をぶっ壊して新しい世界を作る、という試み。というよりは企てだろうか。
本日の企画名は「Reset/Rebuild」だ。palmの現状を突破しようとする動き、Vampilliaの新しいものへの渇望めいた推進力を目の当たりにしてこの企画名に対して感嘆の念を感じた。すごい。

kamomekamome
興奮冷めやらぬ私が呆然としているとトリのkamomekamomeが始まる。元ヌンチャクの向さんのバンドで今までで4枚のアルバムをリリースしている。ハードコアをベースにかなりテクニカルな要素を持ち込んだバンドで、さらにそこにメロディアスな日本語ロックの哀愁を持ち込んだオリジナリティを持っている。といっても私は2nd「ルガーシーガル」(回文である)しか持っていない。どんな感じかな?くらいの気持ちだったが、フロアの密度が半端ない。ぎゅうぎゅうだ。演奏が始まり向さんが出てくるとすごい声援。そしてあっという間にダイバーが頻出するハードコアなフロアに。Vampilliaは異界に連れていく異次元だとすると、kamomekamomeは徹頭徹尾現実的なハードコアだ。テクニカルな要素は隠しようがないが、それを包括するハードコアのストレートな勢いはどうしたことだろう。明らかに曲が中心にあり、テクニカルさはその道具でしかない。技巧に走って曲の区別がつかなくなるなんてことは皆無である。ベースと向さんの掛け合うようなボーカルに客が手を振り上げ、そして一緒に歌う。ダイバーは絶え間ない。向さんは格闘家のような動きと多彩なボーカル(クリーンで歌う、ハードコアに叫ぶ、メタリックに咆哮する)で一挙手一投足から目を離せない求心力がある。MCではまた仕事が始まる毎日があるのだから土日は楽しもう(というかぶちかませ!と最終的には煽りまくっていたのだが)という生活に根ざした、明確な哲学を感じさせる。桃源郷的な別世界に対して、こちらは疲れる日常にあるエアポケットのような祭りの場のようなイメージだろうか。気づけば曲も知らないのにむやみに腕を振り上げる自分がいて面白かった。汗だくだった。ライブ、ライブの楽しさはいろいろあるだろうが、この日のkamomekamomeはめちゃくちゃ楽しかった。

本当何の気なしに遊びに行ったライブだったが行って良かった。超楽しかった。巨大な音で脳が活性化するのだと思う。いろいろ考えがわいてくるし、高揚感で体が動いた。ライブは楽しい。いくまで知らなかったのだがこの日はLauraさんという異国の女性が企画したもの。凄まじいバンドの選択眼と、そしてそれを象徴する素晴らしい企画名だと思った。それは現状に満足しないで、うちこわして新しいものを作ろうとする企てであると思った。本当に規格名がストーンと理解できた気がしたもの。どうもありとうございました。