ラベル Vampillia の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Vampillia の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年2月12日日曜日

RESET/REBUILD@新代田Fever

結構前になんとなしに買ったチケット。買った後で同日にswarrrmのライブがあって「げ〜〜」となったんだけどもちろんチケットを購入したこちらにいくことにした。特にどれがお目当てということでもないくらいの軽い気持ちで遊びに行った。ところがこれがとんでもなく面白かったんだな。
新代田Feverは本当に駅から近い綺麗なライブハウス。物販のスペースも結構広い。フロアも縦横に広くて多分200人くらい入るのかな?開演ちょい前に到着したら既に人が7割がた入っていました。

bilo'u
一番手はbilo'u。バンド名からなんとなくアングラなドゥームかな?とか思っていたのだが、蓋を開けてみたら全然違った。非常にテクニカルなプログレッシブなハードコア(デスコアというのだろうか?)を演奏するバンドだった。5人組のバンドで3人の弦楽隊は全員楽器の位置が高く、ネックが太かったのでおそらく弦の多い楽器を操っているのだろう。とにかく音がよく動く。モダンな作風でMeshuggah(とそこから続くDjentの系譜か)を彷彿とさせる同じ低音をマシーンのようにズガガガと奏でる一方、もう一方のギターがテクデスばりの高温フレーズを弾いていくめまぐるしいスタイル。ウヒョーと思ったが、よく聞いているとThe Dillinger Escape Planにも通じるところがある。向こうはしたいにハードコアにポップさを曲と特に歌に溶け込ませていったが、このバンドはメロディアス性をギターの音に託しているのが違うかな。あとは音の数が多い。結構変わった音(琴みたいな)をSEに使ったりもしている。個人的にはピロピロフレーズより、メロデスみたいにある程度キャッチーな単音を低音に被せていくようなパートの方が好きだな。格好良かったけどボーカルの変態ちっくな高音パートが演奏に埋もれがちだったのがちょっと勿体無いと思った。

Tomy Wealth
続いてはTomy Wealth。この人はちょっと前から企画で名前を目にしていたのだが、一体どんな音楽をやるのかちっともわからない。どうもドラマーの方だという。客の密度がぐっと上がっていたのでおそらくすごい人気がある人なのだろうと思う。
この日はTomyさんがドラム、サポートにベース、キーボード、バイオリンというバンド編成。始まってみるとぶっといドラムビートにずしりベースが入って、その上にキーボードとバイオリンが非常に美麗なフレーズ、メロディを乗せていく。これは人力ブレイクビーツかもしれないと思う。nujabes以降のピアノを使ったエレクトロニカにも通じるところがある。とにかく綺麗でお洒落だ。しかし力が強すぎる。ドラムは流石にメタルとは全く違って音をもっとソリッドに音を作っているけど、やはりブレイクビーツ/インストヒップホップに比べると音が強すぎるし、音の数も多い。(Tomyさんは結構おかずを入れてくる。)聞いている途中に思ったのだが、前述のジャンルの要素もありつつ、ポストロックにも片足を突っ込んでいるのでは?と思った。美麗、お洒落の要素では意識されがちな儚げさはあまりなくて、かなり力強くてライブで見ると高揚感を煽ってくる。ポストロックから頭でっかちな要素を配して、美麗さに特化するとこういう音になるのかもしれない。面白かった。

palm
続いては大阪のハードコアバンドpalm。ConvergeのJacobがアルバムのアートワークを担当したことも有名。ライブを見るのは2回目でその激しさを目にしていたから「これから暴力の始まりだ、グフフ」とかおたくくさいことを考えていたのだが、いざ始まって前より前で見ているとその考えは半分外れていた。カオティックを巻き込んだフックのあるハードコアを演奏するが、曲の速度は速くありつつ暴れられる低音パートを同居させていて直感的に楽しめるハードコアを演奏するバンド。激しい曲もそうだが、ボーカルの高橋さんがその激しいステージアクションでフロアを混沌とさせていく。左右に落ち着きなく動き回る。フロアからそれとわかるくらい勢い強く足を振り下ろす。マイクを頭にぶつける(赤くなっていた)。などなど曲はほとんど全部叫びっぱなし。演奏が始まってすぐにフロアではピットが発声。マイクをフロアに向けると熱心なファンが叫びに飛び込んでくる。高橋さんはおっかないがその顔は笑っている。暴力性というとこのバンドの魅力の半分も伝えられていない。palmの音楽はライブで聴くと伝染性がある。palmの音楽はライブハウスという空間に対する強制的なエネルギーの充填である。過激なパフォーマンスが見ているものに伝染していって客も暴れ出す。エネルギーがどんどん消費されていく。なんかすごいものを「熱い」と例えるのは少なくともこの場ではとてもあっている。熱いものはご存知の通り分子の動きが激しいということだ。ぶつかり合う客は熱さの象徴に他ならない。高橋さんは喋るととっても人懐っこい人で「ありがとうございました!」という言葉が印象的。大人になって思うのはきちんとお礼を言える人は本当にかっこいい。めっちゃ良かった。

Vampillia
続いてはやはり大阪の音楽集団Vampillia。ステージに姿を現さないリーダーのもと、ブラックメタルを基盤とした独自の音楽性を展開している。音楽以外のところでも結構目立つので話題性に富んでいるバンド。ライブを見るのは結構久しぶり。今日はゲストのギタリストを迎えた編成で、全部で10人(ギター3人、ベース、ドラム2人、キーボード、ノイズ、バイオリン、ボーカル)でステージにはほとんど余裕なし。
ベースのミッチーが最初に宣言した通り笑いの要素はほとんどなしでシリアスかつタイトな内容だった。過去のアルバムから結構満遍なく演奏していたと思う。個人的には大好きな「Circle」をモンゴロイドさん一人バージョンでやってくれたのが嬉しかった。ツインドラムが轟音を叩き出し、トリプルギターが絡みつくトレモロリフを奏で、ピアノとバイオリンが別世界のように美しくも胸をかきむしるくらい悲しい音色を奏で、ノイズをまぶした中ボーカルが絶叫スタイル。今回見てわかったのはそれは美への挑戦だ。もともとほとんど楽器を弾けない素人を集めて作ったのがこのVampilliaだという。そんな音楽的なブサイク集団が時に大言を吹きつつも、こんなイマジネーションで作るゲートのような曲を演奏するなんてこんな物語はちょっと痛快である。Vampilliaは美麗な曲を演奏しつつ、醜い自分たちを隠さない(むしろ茶化して前面に押し出したりする)、それは既存の美に対する挑戦だ。モンゴロイドさんの不敵なえみにもその話題性の背後にある強い強い不屈の闘志を感じた。既存の美をぶっ壊して新しい世界を作る、という試み。というよりは企てだろうか。
本日の企画名は「Reset/Rebuild」だ。palmの現状を突破しようとする動き、Vampilliaの新しいものへの渇望めいた推進力を目の当たりにしてこの企画名に対して感嘆の念を感じた。すごい。

kamomekamome
興奮冷めやらぬ私が呆然としているとトリのkamomekamomeが始まる。元ヌンチャクの向さんのバンドで今までで4枚のアルバムをリリースしている。ハードコアをベースにかなりテクニカルな要素を持ち込んだバンドで、さらにそこにメロディアスな日本語ロックの哀愁を持ち込んだオリジナリティを持っている。といっても私は2nd「ルガーシーガル」(回文である)しか持っていない。どんな感じかな?くらいの気持ちだったが、フロアの密度が半端ない。ぎゅうぎゅうだ。演奏が始まり向さんが出てくるとすごい声援。そしてあっという間にダイバーが頻出するハードコアなフロアに。Vampilliaは異界に連れていく異次元だとすると、kamomekamomeは徹頭徹尾現実的なハードコアだ。テクニカルな要素は隠しようがないが、それを包括するハードコアのストレートな勢いはどうしたことだろう。明らかに曲が中心にあり、テクニカルさはその道具でしかない。技巧に走って曲の区別がつかなくなるなんてことは皆無である。ベースと向さんの掛け合うようなボーカルに客が手を振り上げ、そして一緒に歌う。ダイバーは絶え間ない。向さんは格闘家のような動きと多彩なボーカル(クリーンで歌う、ハードコアに叫ぶ、メタリックに咆哮する)で一挙手一投足から目を離せない求心力がある。MCではまた仕事が始まる毎日があるのだから土日は楽しもう(というかぶちかませ!と最終的には煽りまくっていたのだが)という生活に根ざした、明確な哲学を感じさせる。桃源郷的な別世界に対して、こちらは疲れる日常にあるエアポケットのような祭りの場のようなイメージだろうか。気づけば曲も知らないのにむやみに腕を振り上げる自分がいて面白かった。汗だくだった。ライブ、ライブの楽しさはいろいろあるだろうが、この日のkamomekamomeはめちゃくちゃ楽しかった。

本当何の気なしに遊びに行ったライブだったが行って良かった。超楽しかった。巨大な音で脳が活性化するのだと思う。いろいろ考えがわいてくるし、高揚感で体が動いた。ライブは楽しい。いくまで知らなかったのだがこの日はLauraさんという異国の女性が企画したもの。凄まじいバンドの選択眼と、そしてそれを象徴する素晴らしい企画名だと思った。それは現状に満足しないで、うちこわして新しいものを作ろうとする企てであると思った。本当に規格名がストーンと理解できた気がしたもの。どうもありとうございました。

2016年11月17日木曜日

VMO/Catastrophic Anonymous

日本は大阪を中心に活動するブラックメタルバンドの1stアルバム。
2016年に日本のVirgin Babylon Recordsからリリースされた。
私はオフィシャルでカセットとCDがバンドルされたセットを購入。
VMOとはViolent Magic Orchestraの略。大阪の音楽集団Vampilliaのメンバーを中心に、
エレクトロニクス担当としてPete Swanson、MIX、シンセ、ビート担当としてExtreme Precautionsを迎え、さらにライブヴィジュアル担当のkezzardrixで構成されたバンド。
もともとVampilliaのリーダーであるStartracks for Streetdreamsさん(ちなみに楽器は全然弾けないんだそうだ、本当面白いしすごい)はブラックメタルに強い思い入れがあってそれがVampilliaの音にも色濃く現れていた。Vampilliaはブラックメタルプラスポストロックトいうコンセプトだが、VMOはブラックメタルは同じでもそこにテクノ・インダストリアルの要素を加えているそうだ。アートもコンセプトの一つであってそれゆえライブでのビジュアル担当や3台のストロボライトを用いているのだと思う。

なんとなくブラックメタル成分が濃いVampilliaかと思っていたのだが、実際の音を聞いてみると結構印象が違う。本当にVampilliaからポスト感を引いて、代わりにインダストリアル成分を足したというのがうまい説明だと思う。ポスト感にも色々あると思うが例えばブラックメタルだったらAlcest、激情ハードコアならenvyみたいにある種の(芸術的な)美しさみたいなのが自分のイメージ。確かにおふざけもするVampilliaだが「Endless Summer」に代表されるように激しさと切ない美しさが同居する曲をいくつも作っている。VMOではある種の余裕すら感じさせる贅沢なポスト感はなりを潜めている。全10曲で34分、コンパクトにまとめられた曲はどれも割れるような轟音で埋め尽くされている。嵐のようなトレモロリフはまさしくブラックメタルからの影響色濃いがプリミティブな儚さを感じさせるそれではなく、強靭で硬質な金属を生成したような主張の強い重たい存在感を放っている。そもそも空隙など見当たらないところに重たいドラムがさらに隙間なく並べられ、モコモコしたベースがみっちりと空間を黒く埋めていく。そこに金属質な高温のパーカッションが加わる。エレクトロニックと言わずに、テクノもしくはインダストリアルというのも、またなるほどと思わせる。力技である。
結果的に出来上がった音はAlcestなどに代表されるポストブラックメタル達に比べるとあからさまに主張が強すぎるしうるさすぎるし、かといってブルータルかつモダンなブラックメタルに比べると今度はやはりキラキラしている。バランス感覚が絶妙というのもあるだろうが、ありそうでなかったこの音の秘密はやはり”アート”なのかもしれない。というのも結構音を聴いていると面白いことに気づく。まず2曲目「Acts of Charity」に代表されるように轟音インダストリアルに半ば塗りつぶされているが、それでもやはりトレモロリフの言いようもないメロディアスさは隠しきれない。このメロディセンスはVampilliaで培った経験が活かされていると思う。そういった意味ではピアノの使用頻度もそれなりにあり、またそれらが硬質で容赦のない轟音に程よくセンチメンタリズムを持ちむことに一役買っている。またボーカルの登場頻度が実はあまり多くない。ボーカルはThe BodyのChip KingやMayhemのAttilaという強烈なゲストに加え、Vampilliaの面々が強烈な叫び声を披露している。クリーンはほぼ皆無でのどの枯れるような絶叫のオンパレードだが、実は終始それらが登場しているわけではない。むしろ結構演奏に力を入れていて、それを効果的に披露することを念頭に置いているような印象がある。ピアノだったり、演奏を前面に押し出すのはポスト感なんじゃねえの?という意見もあるだろうが、やはり個人的にはポスト感というにはそれらに特有の美しさが顧みられていない。美しさを凶暴さに無理やり覆い被せたような趣があって、所々不器用なアンドロイドのようになっているのだが、はっきり言えばそれが魅力なのだ。その言いようのない不恰好さがVMOの”アート”ではなかろうか。まだ名前のつかない不恰好さ、私はこの音源がかなり気に入っている。ひょっとして広く受け入れられたこのスタイルに名前をつけられ、新しいかっこよさになったらとても面白いなと思う。

コンパクトだが非常に挑戦的な音楽だと思う。軸になるブラックメタルに期待しているところがぶれていないからだろうと思うが、凶暴かつメロディアスでVampilliaが好きな人ならこのプロジェクトも楽しく聴けると思う。おすすめ。

2014年4月29日火曜日

Vampillia/my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness

日本は大阪のブルータルオーケストラ待望の1stアルバム。
この間リリースされた色々なアーティストとのコラボレーション企画版「The Divine Move」と同じくWorld's End Girlfriendの主催するレーベルVirgine Babylon Recordsから2014年にリリースされた。
Vampilliaは2005年に大阪で結成されたバンドだから、だいたい1stアルバムが出るまで9年かかったことになる。すごく長いがその間にもコラボ含めたかなりの音源をリリースしているから、大分いろいろやってますけど、あれまだ出てなかったの?という感じだろうか。私は彼らの音源をすべて網羅してる訳ではないからあれだけど、そうやって思い返してみるとどれも尖った音源だが、なるほどフルアルバムというのとはちょっと違うのかとも思う。コラボはコラボだし、単独音源なんかも企画版じゃないけど結構コンセプチュアルな作りになっているようだから。
インタビューなどを読むと実は結構前にAnimal Collectiveの人なんかと作っていたらしいけど、諸般の事情でお蔵入りになったからそういった事情もあって、待望のという形でリリースされたのが今作。タイトルが長いけど「オーロラの虹の暗闇の中の私の美しく歪んだ悪夢達」とでも訳すか。(調べたらカニエ・ウェストのアルバムのもじりっぽい。)全編アイスランドのレイキャビックのグリーンハウススタジオで収録されてWorld's End Girlfriendがリミックスを手がけている。マスタリングはKashiwa Daisuke(気になっているけどまだちゃんと聴いたことない)。ゲストミュージシャンとしてツジコノリコとJarboeがそれぞれボーカルで参加しているほか、アイスランド地元のストリング隊と聖歌隊がレコーディングに参加している。

基本は今までの流れを汲む静と動を意識したプログレッシブなメタルで、ピアノとストリングスを入れることでその音楽性の裾を広げているが、決して大仰になりすぎず、あくまでもバンドサウンド。
突っ走るところはツインドラムを活かしたグラインドコアはだしの轟音スタイルで、なんといってもブラックメタルからの影響がありそうな(特に今作は要素はありつつも全体の音像は全くブラックメタルっぽくなない。)、トレモロいギターがグイグイ引っ張りまくる。モンゴロイドのデス声はいつもにましてデス声でかなーりドスの利いたスタイル。
オペラ声も非常に堂々としたもので荘厳かつ歪んだバロックとでも例えれば良いのか。
ドラムやギター、ベースなどのバンドサウンドがその音のでかさでもって曲を派手なものにしているところ、曲の完成度を上げるのに一役買っているピアノがとにかくすばらしい。ピアノという楽器はとにかくすごい存在感があって、印象的なフレーズ一つで曲の雰囲気ががらりと変わってくる。特に静と動を強く打ち出すこのバンドではあっという間に静謐な空気を作るには不可欠な存在ではなかろうか。
曲の展開はめまぐるしく変わり、メタルや独特のアンビエンス、ハーシュノイズ、クラシック様々な要素をアルバム単位、曲単位で矢継ぎ早に繰り出してくるそのスタイルは、例えば四季だったり喜怒哀楽の感情を早回しで再現しようとする試みのように難解かつ普遍的なもので、個人的にはとても好きだ。すべての数ある要素がその雑多さ故に曖昧にならず、強い個性でもって共存しているこのバランス感覚がVampilliaというバンドの一番優れているところかもしれないと思った。
初めてのフルアルバムということで今まで積み上げて来た経験でもって直球勝負する様な、意外にも真面目この上ない内容である。一歩も引かない気迫でもってすっと差し出された名刺のようにいさぎが良いものである。全編奇を衒っている様なバンドなのにこのアルバムを聴くと意外にも衒ってない感があってちょっと驚いたものである。

やっぱりVampilliaはすごいなあ、と素直に感心してしまったアルバム。
いやー本当こういう人たちが日本にいてくれて嬉しいす。
文句なしにとてもオススメ。是非聴いてほしい
(このバンドが初めての人は前作「the divine move」のが良いかもしれない。)
ちなみにレーベル直販特典はendless summer の8bitバージョン。意外に味があるね…なんとなくROM=PARIっぽくて私は好きです。



一つ気になるのはブックレットに「R.I.P. Psychic Yamanashi」と書かれていること。サイキック山梨とはVampilliaのボーカルで白塗りピエロのゲス声担当の人(多分ベースのミッチさんとは別人だと思うのだけど。)で「Heyoah」のMVでその姿を見ることが出来る。最近姿が見えないので抜けたのかなあと思っていたけど、亡くなってしまったのだろうか…だとしたたら非常に残念なことだ。

2014年4月14日月曜日

Vampillia/the divine move

日本は大阪のブルータルオーケストラの音源。
今まで結構な音源をリリースしてきた彼らだが、実は今までフルアルバムをリリースしたことはない。以前作っていたらしいが、とある事情でお蔵入りになったそうだ。そんな紆余曲折があった彼らだが、日本のWorld's End Girlfriendの前田さんが主催するVirgin Babylon Recordsと契約し、待望の1stアルバムをリリースすることになったそうな。
そのフルアルバムに先駆けて上記Virgin Babylon Recordsから2014年にリリースしたのがこの音源。

全9曲でどの曲もゲストを迎えて共作したもの。
ゲストの面々は伝説的な女性歌手戸川純、色々と世間を騒がせているらしいアイドルグループBiS、過去何度か共演しているツジコノリコ、あぶらだこの長谷川裕倫、激テクニカルブラックメタルバンドKralliceのMcik Barrと中々豪華。チョイスのセンスがなんというか彼ららしいといえば彼ららしいのだろうか。
戸川純とBiSに関してはbombsというプロジェクト発になっていて、これが何かというとVampilliaのギタリストの真部脩一(元相対性理論)が歌メロと歌詞を担当しJ-POP産業に挑戦するというものらしい。
元々このバンドは強烈なマニアックさとそれと同じ位強烈なポップなメロディを同居させていたバンドだと思うので、あらためてプロジェクトとすることで指向性を明確にしたという感じでそこまでは違和感はないのではないかと。
Mick Barrをのぞけばゲストの面々は全部ボーカルを担当しているので上記bombs以外も結構このバンドのもつポップな面を強調している様な曲が並んでいる。
女性ボーカルが目立つが、元々オリジナルメンバーのVelladonはオペラボーカルなので、普通に歌うスタイルの女性声が入ると結構それだけで楽曲の幅が広がるものだと思う。
演奏は相変わらず人数の多さを武器に嵐の様な轟音でぶっ飛ばすようなスタイルは変わらずだが、いつも以上に間を意識してゲストのバーカルにしっかり歌わせている印象。なるほどJ-POP産業に挑む様なポップなメロディラインだが、演奏が後ろに引っ込まないどころかグイグイ弾きまくるところは大変良い。これで真面目に「J-POP産業に挑む!」というところがすごい。別に皮肉でいっているのではない。自分達の流儀で勝負を挑むそのスタイル、格好いいじゃないかと思うのである。接近しつつも迎合しない感じがすばらしい。
繰り返しになるが元々メロディアスな部分を明確に持っていたバンドなので、今回のやり方もとてもしっくり来る。

戸川純コラボの曲は、うわなんか歌い方が不安定で恐い!と思った。実は最後二収録されている別バージョンの方が好きです。
BiSは彼女達の曲はちゃんと聴いたことがないのだけど(Madのタケシさんが曲を提供してたりするのは知っている。)「mirror mirror」はすごく良かった。アイドルは声が若過ぎて聴いているとなんか照れくさくなってしまって苦手なのだけど、この曲では変にアイドルアイドルしていないけど声は若い。わかりにくいのだけど、高校生の合唱を聴く様なピュアかつナチュラルな感じがしてさわやかで良い。一点「いやーーー」っという悲鳴も良い。突き放したようにつぶやいて終わるラストもすばらしく、とても気に入りました。
あぶらだこ好きとしてはヒロトモさんコラボの曲は期待値が一番高く、実際すばらしいと思うが、個人的には後半が少し明るすぎるかな〜。前半のボソボソつぶやく感じを後半でもうちょっと絡めてほしかった。
Mick Barrコラボの曲は一番Vampilliaっぽい。元々ブラックメタルの要素があるバンドなので、その魅力が倍加されたように強調されてストレートに格好よい。
去年夏にリリースされたツジコノリコボーカルの「endless summer」は激しい演奏と胸を打つ切ないメロディを融合させた名曲でやはり今聴いてもすばらしい。ちなみに真部脩一ボーカルの「真っ逆さまー」の方も収録されているので安心してほしい。しかし個人的にはもう1曲のツジコノリコボーカルの「diziness of the sun」を強力に推したい。ゆったりと始まった曲が歌詞をミニマルに反復しながら螺旋状に旋回するように徐々に盛り上がり、大団円を迎える様なラストのカタルシスが半端無い。桜が舞い散る様な恐ろしく感動的な情景が目に浮かぶ超名曲。

という訳でどのコラボレーションもすばらしかったっすね。
彼らのオリジナリティがきちんとありつつ、バリエーション豊かなので、初めてVampilliaを聴く人にも超オススメ。
俄然1stアルバムに期待が高まる!

ちなみにまだ買ってない人は是非レーベル直販で買っていただきたい。
というのも特典の音源「freezekjemplama」という曲がダウンロードできるのだが、これが17分弱のノイズまみれのフューネラルドゥームを思わせる様な地獄曲で、本体収録曲とまさに対極にありつつもなるほどコレも確かにVampilliaの一面であるな、と納得させられる様なクソ名曲なので、聴かない人は確実にもったいなすぎる。


2013年9月22日日曜日

Nadja+Vampillia/The perfect World

カナダのヘヴィ・ドローン/シューゲイズデュオNadjaと日本は大阪の何でもありヘヴィ・オーケストラバンドVampilliaのコラボ作品。
2013年にImportant Recordsから。CDとLPがそれぞれ限定500枚のはず。
さて知っている方もいると思うが、両者は以前にもコラボ作品をリリースしたことがある。2012年にリリースされた「The Primitive World」がそれである。そのタイミングでNadjaが来日しVampilliaとツアーを回った。私はその中の一公演を見に行って、その時「The Primitive World」を買いました。「エイダーン!」と呼ばれてはにかむNadjaのAidan Bakerがなんか可愛かったのを覚えている。(ライブはそれはそれはすげかった。)

さて今作はその「The Primitive World」収録の2曲を再リミックスし、さらに新曲を4曲追加した盤。
基本的にNadjaがギター、ベース、ドラムマシーン、フルートを演奏し、Vampilliaがギター、ボーカル、ピアノ、オルガンとストリングスを演奏しているようだ。
まるで無機質なマシンドラムが重々しくビートを刻み、実体を持った壁のような音の固まりがギュワーと迫ってくる。(Nadjaパート。)そこにピアノやストリングスが絡んできて獣の咆哮のようなデス声が乗っかる(Vampilliaパート)というのが基本形かな。
Nadjaは単体で聴いても勿論かっこいいのだが、人によってはちょっとマニアックすぎるかもしれない。しかしここにVampilliaのピアノを始め色々な音が追加されることで、いい意味でとてもキャッチーになっており、さらに両バンドのもつかっこよさがちっとも損なわれていない。いわばかけ算のように高め合っている素晴らしいコラボ音楽である。この親和性はちょっとないんじゃないのというくらいピッタリ。
特に24分ある大作「Icelight」のドラマチック感が半端なす。分かりやすいメロディがある訳でもないのにこの展開はどうだ。
ギターの音の密度が偉いことになっている。音の粒がでかいのゴロゴロ、その間を細かい粒子がザーっと埋めているようなイメージ。それがわき上がってくるように徐々に競り上がってくる。よく聴くとベースがグルグールと唸りつつ、しっかりとベースの役割を果たしている。轟音パート、尾を引くようなフィードバックノイズをまき散らしつつ、静のパートへと移行する。
兎に角やかましい印象のあるVampilliaだが、この作品でのドラマチックかつ余韻のある演奏はさすが。もうずるいくらい琴線にギュンギュンくるストリングス、絶妙な間のあるピアノ。素晴らしいですね。ころころ色を変えるくせに全部Vampilliaなのがすごい。

文句なしの名盤ですね。
どちらかのバンドのファンである人は絶対気に入ると思いますよ。
両方好きな人は確保マストだ!

「The Primitive World」の音源しかなかった…

2013年9月14日土曜日

Vampillia/Endless Summer

何かと世間を騒がせている日本は大阪のブルータルオーケストラのEP。
2013年の夏の終わりにリリース。

タイトル曲は久しぶりに(1stEPであるSppears以来だと思うのだ。)ツジコノリコさんをボーカルにフィーチャリングした曲。

実は2種類の音源が存在する。
オリジナルバージョンと元相対性理論の真部さんのボーカルが大胆に加えられたバージョン。(どうでも良い自慢だが、私は相対性理論がまだ有名になる前に下北沢でライブをみたことがあります!)前者がCD+7インチレコード(ドーナツ盤)で、後者がiTunesでダウンロード販売。
私はリリースがアナウンスされてから、Amazonで予約注文をかけた。Facebookの彼らのページで2つのバージョンが公開されてテンションはマックスである。で、発売日の9月4日(3日の深夜)にiTunesで購入した。
すげーー!オリジナル版はよ!!と思っていたのだが、Amazonから全然発送されないので慌てて他のレコード屋のオンラインショップで購入した。ところがメール便がなかなか来なくてさ…。1週間くらいすげーもやもやしておりました。

さて曲の方はというとまあ凄まじいことになっているので、こんなところをみている場合ではない。速く買いにいってくれ、といいたいところなのだが、まあ解説するよ。
まずは、ツジコノリコさんと子供さんのウィスパーボイスでスタート。ピアノが入ってきて「おや?結構まじめだな?」と思っている間に、バンドアンサンブルあくまでもすっと入ってきて、エコーのかかったツジコノリコのしっとりかつ儚さ全開の歌声が(文字通り)重ねられる。歌声が止んで溜めた感想ののち、グラインドパートに突入。ドラムブラスト全開。ギタートレモロ全開。ボーカルデス声全開。そこにストリングスのすっげえ切ないメロディラインが入ってくる。悶死。そこにツジコノリコのボーカルが戻ってくる。切ねえ、まるで燃えながら超高速で落下し続ける彗星のようじゃねえか。感動にうち震えていると、燃え尽きたように静寂が支配してスタート同様ピアノとウィスパーボイスでもってしっとり余韻を残したまま終わる。
4分と半の天国。やりよった、Vampilliaがやりよったとしか言いようがない。奴ら今回は最初っから最後まで完全にこちらを殺しにきてる感があって、いつもの道化っぷりは完全になりを潜めています。
また歌詞が本当に切ない。永遠に終わらない17歳の夏、というのがテーマらしいのだが、これはずるいからくりがある。歌詞の内容は哀切に満ちた夏の終わりが羅列されている。終わらない夏といっているのにである。これはずるい。終わらない夏なんてないのに、「終わらないよ!」といっているのだ。強情に言い張っているのだ。夏の終わりに。もうすぐ秋が来るというのに。切ない。これを夏の終わりにリリースするなんてずるすぎる。

兎に角、四の五の言わずに聴いてほしい。


さてもうひとつの真部さんの別バージョンは曲名が「endless (massaka)summer」となっている。

オリジナルでは「ザマーーー(多分summerといっている)」とデス声が入るパートにやけにすかしたような「なつはまさかのまっさかさまー」と入るのである。(massaka)summerって何だろうな?って思ってたけど「真っ逆さま」とはね。
完全にふざけているな〜。とおもってにやにや聴いていたら、や、普通に格好よくてちょっと吃驚した。演奏が格好いいのもあるんだけど、気づいたら「まっさかさま〜」と口ずさんでいる自分がいたりして面白い。

またそれぞれの音源には蝉の声と、子供のパタパタとした足音が入ったこらまた切ないピアノのインストが入っていてこちらも格好いい。

夏の終わりにとんでもない曲が出てきたもので、嬉しいったらないです。
劇的にオススメ!

2013年9月8日日曜日

Vampillia/Hefner Trombones Vol.1

日本は大阪の10人+αのブルータルオーケストラの21013年発表のEP。
iscollagecollectiveというレーベルからのリリース。
妙に安いなと思ったら3曲しか入っていなかった。

Vampilliaというとデス声、ゲス声、オペラ声というトリプルボーカルに、ギター、ベース、ドラム(なんとRuinsの吉田達也も参加している。)というバンドアンサンブルに加えて、バイオリンやピアノなどの楽器陣が脇を固めて唯一無二の音をならしている不思議なバンドで、活動当初から海外の様々なアーティストからラブコールを贈られ、実際Nadjaだったり元Mayhemのアッティラなどなどとコラボしたりといろいろ話題のバンドだ。
私が初めて彼らのことを知ったのは何時だったか、恐らく田代まさしさんが出演しているミュージックビデオが話題になった1stEPの頃だっただろうか。

それから何枚か音源をリリーシスしてきた彼らだが、初めて上のビデオを見たときからこいつらは根底に悪ふざけがあるなと思ってきた。
諧謔といえば聞こえがいいが、ともするとちょっと人を食ったような悪ノリがあるのだ。ちょっとこっちを煙に巻くような。彼らは人をむかつかせるバンドだろうか。人によっては添うかもしれない。では彼らは心底人を馬鹿にしたバンドだろうか。それは否であると思う。彼らの馬鹿にする人でも彼らの音源を一聴すれば、彼らが100%マジで音楽を作っていることは分かるのではなかろうか。
ゲス声のボーカルの人は頭のおかしいピエロのようなメイクを施しているが、彼が象徴しているように基本的にこのバンドは道化的であると思う。不気味な面をして奇矯な振る舞いをするが、本質的に彼らというのは私たちを笑わそうとしているのだと思う。

さて、久方ぶりの彼らの音源だが、レーベルの説明をみるとhefner trombonesという架空のバンドになりきって録音したというコンセプトがあるらしい。なんのこっちゃと思うがまず曲名をみていただきたい。
1 , My father was hugh hefner,mother was crystal harris.
私の父はヒュー・ヘフナー、母親はクリスタル・ハリス。
前者はプレイボーイの創始者で後者は彼がおじいさんになってから結婚したセクシーなモデルさんである。
2 , Toshi’s Beautiful Thug Life,Only God Could Judge Him
トシの美しいギャングスターライフ、誰も彼をさばけない。
トシというのは多分X japanのボーカルではなかろうか。
3 , 15years Ago,I Ate Mogwai As Dinner.
15年前、夕飯にモグワイを食った。
なんだかアナルカントのむちゃくちゃなタイトルを彷彿とさせる。
モグワイは映画グレムリンに出てくる可愛いモンスターで、同名のポストロックバンドも有名。

うーん、これは大分ふざけている。
さて曲の方はというとこれもかなりふざけている。
全編にわたって赤ちゃんの声、女性の鳴き声、妙にいい声の男声ナレーション、気持ち悪い笑い声、気持ち悪い男たちの歌声と変な声がふんだんにフィーチャーされている。
1曲目は妙に雰囲気のあるピアノ、バイオリンがなったかと思うと、突然妙にチープなリコーダーが入ったりする。そしてまた突然始まる絶叫しまくりの混沌としたグラインドパート。ちーんというベルの音で区切られている妙な反復性。締めはアンビエントなピアノだし???となっているうちに曲が終わる。
2曲目は終始突っ張りまくるグラインドコアスタイルだが、パイプオルガンがかぶってくるため妙に怪しい雰囲気で、ブラックメタルっぽく聴こえないこともない…かも。いい声のナレーションが入って小休止、また爆走再開という流れ。
3曲目は手拍子とくぐもった男性の気持ち悪い合唱からナチ的なアジテーションを絡め、不穏なギターがリフを反復する不穏なスタート。後ろでぐうぐう唸る獣めいたデス声がグッド。今度は聖歌で区切る。曲の前半分は執拗な反復。むむむ、と思っていると後半妙にメロディアスなギターがトレモロの効いたブラックメタル然としたフレーズを奏で、ピアノが鳴りだしデス声とゲス声がわめきだす。余韻を残して終了。
3曲に共通して小休止と反復を取り入れてます。テーマなのかな?

まあふざけてますね、完全に。狐につままれたような感じです。しかし3曲目後半の美しさといったらどうだ。素直にやられた〜という感じ。Vampilliaはこうなのである。彼らはこっちがぽかーんとするくらいにふざけるくせに、要所要所にびっくりするような美しさをちらっと見せて私たちを感動させ、混乱させるのである。ふざけるなよー、と睨みつけたその顔ははっとするほど真剣なのである。
ずるい。
なんというたちの悪い奴らであろうか。私はもう完全に虜である。
さっさとフルアルバムを作りなさいよ、といいたい。
この夏は結構リリースがある彼ら、可能な限りついていきたい所存。

いつもにまして悪ノリだが、彼らのファンならマストでしょう。おすすめ。