From the Dying Skyはイタリアのヴィーガン・ストレートエッジ・ハードコアバンド。1999年に結成されこの音源だけを発表し、2003年には解散。メンバーはその後The Secretを結成。音楽的にはArkangelのようなフューリー・エッジに属するバンドでこのジャンルを調べると必ずと行っていいほど目にするバンドだったので、再発と言うことですぐさま購入した次第。(私が買ったところではもう売り切れているので結構な人気が伺える。)
人間の愚かさを揶揄するような独白調のSEがもはや完全に様式美という感じで1曲めからテンション上がる。よく言われるように「Slayer直系」の単音リフを効果的にリフの中に組み込んだ完全にフューリーな音楽だ。激しい音楽といえば低音に慣れた耳に高い音で鳴らされる単音リフが気持ち良い。ハードコアを感じさせるのは単音だろうが高音だろうが、やはりミュートで歯切れよく区切っていくところ。音の鳴らし方はあれど愚直なまでも刻んで行くその先に意識されるのはあくまでも肉感的なリズム感だ。どうしても類型的になりがちなこの手の音楽で個性を出してきている。一つは徹底的に単音リフにこだわっている訳ではないところ。ここら辺は最近やはり聞いたReprisalを思わせる。きっちり低音パートも使ってくる。いわゆる”落とし”、つまり曲中で速度を落とすブレイクダウン・パートでの低音リフは非常に効果的だ。このバンドは展開がかなり複雑でリフも多彩だ。単に単音リフが特徴的という言葉では勿体無いくらいの引き出しがある。単音リフにしてもフレーズといよりはその一歩先メロディを獲得するくらいのキャッチーさがあるし、流石にブラックメタルとまでは言わないが、トレモロを披露したりしている。私が購入したお店では「メロデスニュースクール」という言葉で説明されていた。なるほど、確かにタフでいながら同時にメロディアスさをボーカル以外の演奏陣で表現している。そういった意味では叙情派ニュースクールに通じるところにあるよ、という一文もしっくりくる。
もはやイーヴィルといっていいくらいしゃがれたボーカルも良い。ニュースクール・ハードコア/メタルコアの中でも異端と言えるような行き過ぎた攻撃性というものが良くよく表現されていると思う。並みの考えで肉食をたち、社会的な快楽をあえて避けている訳ではなく、人間の社会に対する強い批判の精神が見て取れる。ブックレットには「メッセージがないと私たちの音楽は空っぽになってしまう」とはっきり書かれている。動物を食料として消費することに対して強い嫌悪感を持っているようだ。肉食で歌詞も理解できない私が偉そうにいうの甚だ恥ずかしところだが、人間を主体的に考えた時の強烈な自己批判的な攻撃性(自傷性)が彼らの音楽をハードコアの中でも特別攻撃的なものにしているのかもしれない。個人的には最後のボーナストラックはキャッチーさが尋常ではなく、間違いなく次のステージを予見させるものだっただけに、その後音源の発表がなく解散してしまったのは非常に残念。
このジャンルを語る時に必ず名前が上がるのも納得の出来だ。強烈なメッセージに単に音楽として消費してしまう自分が情けなくなってしまう。今回のリリースも数量限定のようなので、もしきになる人は早めにどうぞ。非常に格好いいです。
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