2018年7月8日日曜日

vein/errorzone

アメリカ合衆国はマサチューセッツ州ボストンのハードコアバンドの1stアルバム。
2018年にClose Casket Recordsからリリースされた。
veinは専任ボーカルにギター二人の5人組。結成がいつなのかはわからないが2015年には音源をリリースしている。
私はyoutubeのライブ動画(hate5sixのどれか)から知ってEPを購入。たぶん同時期には日本の人たちも含めて話題になり出し、いいタイミングで初めてのフルレングスがリリースされた感じだろうか。

同郷の巨人Convergeに強く影響を受けていたEPとは結構趣が異なって面白い。元々ニューメタルに影響を受けた、という評判であったが強くそれを押し出してきたという形だろうか。ただよくよく聞いてみると単に全編ニューメタルをハードコアで再現したというのとは違うような気もしてきた。元々かなり個性的な音をしていたが、それらの個性を強く打ち出してきた感じ。そういう意味ではおそらく意識的に特徴付けており、キャッチーである。この時キャッチーというのはメロディアスなパートが多いからそうであるというのではなく、確固たる特徴があるので外部からがこれについて語る時、とっかかり(わかりやすいのはニューメタル的、という表現)があってわかりやすいということだ。マイナーなジャンルでも数多くのバンドがひしめき合っている中で、わかりやすい特徴があるというのは良い選択かもしれない。(私はveinが有名になるためにその音楽性を柔軟に変えていると言いたいわけではないし、例えそうでも別に悪いことだと思わない。)
そもそも何を持ってニューメタルとするかというところなのだけど、個人的にはリフかなあと思う。一番わかりやすいのははっきりとサビめいたメロディアスなクリーンボーカルパートを導入することだ。でも私はバッチリニューメタル世でしっかりはまった人間だけど当時のバンド達はキャッチーであったけどそもそも音楽的には激しい演奏での歌、だったわけでスクリームとクリーンサビというのはどちらかというとその後隆盛したオーバーグランドのメタルコアじゃないか?と思う。初期のSlipknotにしてもはっきりとしたその対比があるのは「My Plague」くらいじゃないだろうか?メロディが重要なジャンルであったが表現方法はちょっとが違う気がする。(メロディアスという意味ではニューメタル的だが表現方法はちょっと違うのではと。)
veinに戻って一方で1曲めのイントロのリフ、低音でミュートを使わない結構動きのあるフレーズを弾いていくあたりの方が個人的にはニューメタル感がある。ここら辺はkornの1stからの伝統、という感じ。ずっとこの手のリフが続くのかと思いきや同じ曲の後半ではもうミュートを使ったハードコアなリフに移行している。アルバムを通して聞けばわかるけど、ニューメタル的であるのは単に一個の要素としてそれを取り込んでいるに過ぎない。元々veinが特徴的だった(キャッチーな要素)というのは二つあって、一つはノイズの導入に抵抗がないこと。今回もブレイクコアめいたドラムパターンのサンプリングなども導入している。もう一つは結構オリジナリティがある「キューー」と絞るような高音の出し方。ニュースクール・ハードコアのハーモニクスを使った高音の使い方に似ているけどもっとそれを伸ばしたような感じで、飛び道具といえば飛び道具だが、EPの時点で非常に効果的に使っていた。今回のアルバムでももちろん健在である。表現的には器用なバンドで「その他」の新しさに果敢に挑戦する強さがある。人によってはカメレオン的あるいは鵺的で芯が無い、という気持ちもあるかもしれない。私はニューメタル世代というのはあるかもしれないけど、前述の通り素直にニューメタルリバイバルだとは思わないし、一番キャッチーである(ここら辺のグルーミーな感じはDeftonesに通じるかも)7曲め「doomtech」にしても同時にきっちりとハードコアを抑えてきていてすごく好きだ。確かに仕上がりがよけりゃなんでも良いのか?というのはあるかもしれないが、芳醇になった(最近はハードコアは盛り上がっているのかな?)ジャンルが生み出した次の世代の萌芽という形で、伝統を誇示するバンドがいる一方である意味健康的な動きでは、と思ってしまう。

調べてみるとアヴァンギャルドと称されているようだし、意図的な問題作だと思う。それも含めて全体的にキャッチーである。キャッチーとはわかりやすさだ。それは時に嫌われることはわかるど、個人的にはこの「errorzone」 とても好きです。

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