2013年12月29日日曜日

Cult of Luna/Vertikal

北欧はスウェーデンの7人組ポストメタルバンドの6thアルバム。
2013年にDensity Recordsからリリースされた。

私はこのアルバムの後にリリースされた「Vertikal 2」を始めに買って、その内容の良さに感動。順番が逆になってしまったが、この降るアルバムを購入した次第。

Cult of Lunaは1998年にスウェーデンで結成されたポストメタルバンドで 、リリースする作品には結構強いメッセージ性があるよう。今作は1927年に制作されたフリッツ・ラング監督作「メトロポリス」という映画に強く影響を受けているそうだ。
私はこの映画は見たことが無いから一体どのくらいこのアルバムに影響を与えているのかということをここで述べることは出来ないんだけど。
映画の動画をぺたっと。私も全部見てないけど、これって本編全部?

さて音の方はというと浮遊感のあるドゥームメタルといったイメージでしょうか。
ただしポストメタルというジャンルにカテゴライズされていることもあり、真性のドゥームメタルにある閉塞感や陰湿な攻撃性は希薄。音はヘヴィだしボーカルのスクリームには迫力があり、暴力性という意味では頷かされるものの、陰惨さは皆無。
ヘヴィである一方キーボードをかなり大胆に導入しており、独特の浮遊間を出すことに成功しているようだ。ポストメタルというのは勝手なイメージでは空間的な広がりのある感じ。
兎に角尺長い曲が多く、演奏スタイルも反復の多様や長い間の取り方など、かなり贅沢に使っているよう。とくにつま弾かれるようなギターの音はどうにも功にも北欧の厳しい冬をイメージさせるような冷たさがあってすばらしい。
反響やフィードバックノイズをキーボードに合わせて効果的に使っており、ボーカル特にスクリームはあくまでも1種類の楽器というような使い方をされていて、ここぞというところに登場しては曲を盛り上げる。随所に挿入されるクリーンボーカルはこらまた何とも言えない疲れたような途方に暮れたようなテンションの低さで私のような男には説得力抜群。
全体的に何とも言えないメランコリックさが曲を覆い、五月蝿いバンドアンサンブルなのに、雪が降り積もっていくような寂寞とした感じが私のつぼにはイチイチ入りまくりで困ります。大仰と言っても良いドラマティカルな感じも、派手さの無い音作りで非常に好感が持てる。
お前を殺してやるず、という排他的なメタルも良いけど、ただただひたすら沈み込むようなメタルもやっぱりいいなあと思う。心にしみ込むメタルですよ。

兎に角全体を覆うものすごいような寂しさがすばらしい作品。
わびさびを好む日本人にはこの北欧からの荒涼とした音が以外にもマッチするのではなかろうか。
まあ聴いている人はとっくに聴いていると思うんだが、まだ聴いてない人がいたら手に取ってください。
個人的には18分の大作「Vicarious Redemption」が兎に角すばらしいですわ。

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