2013年12月8日日曜日

Avatarium/Avatarium

北欧はスウェーデンのドゥームメタルバンドの1stアルバム。
2013年にNuclear Blastからリリースされた。
CandlemassのベーシストLeif Edlingを中心に結成されたボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムの5人編成のバンド。Metallumを参照するとボーカル以外は元々同じバンドだったりでつながりがある面々で結成されているようだ。ボーカリストはJennie-Ann Smithという女性でこのバンド以前のデータは上記サイトには明記されていなかった。

さて女性ボーカルのドゥームメタルバンドというと今や珍しくはないよね。このブログでも以前紹介したJuciferやWindhand、個人的にはThe Riverというバンドも大好きです。(現在は女性のボーカルは残念ながら脱退してしまっているのだが。)
とはいえこのバンドは上記あげたバンドとはちょっと趣が異なる。
なんでかというとボーカルがとても歌っている。メロディックドゥームメタルと行っても良いかもしれない。基本的にはクリーンなボーカルでメロディアスに歌い上げるスタイル。ドゥームメタルというとその他のメタルに比べると閉鎖的でおどろおどろしい感じがするが、このバンドに関してはもちろん決して明るい楽曲はやっていないが、底の見えないような真っ暗闇のような感じはない。情念たっぷりのしかし、あくまでも普通の声でもって歌い上げさせることで、ドゥーム特有の妖しい感じを見事に聴きやすさと両立させていると思う。マニアックさとメロディアスさの融合なんだが、非常にバランス感覚に優れている。ほんとに自由奔放に歌うような感じで、様式をとっても大切にするマニアックなメタル界隈だとちょっと珍しいんじゃないかな。

バックの演奏陣は非常にどっしりとしていて、アンサンブルはまさにドゥームメタルのそれである。楽曲はかなり凝っていて、ただリフを反復的に奏でるというよりは、1曲の中でも様々な展開を見せるタイプ。個人的にはギターの変幻自在さが気に入った。重々しいリフ、引き延ばしたような不穏なアルペジオや随所に入るノイズ、ワウのかかった突発的なフレーズとかなり芸達者。曲中に挿入される妙にクラシカルなメタルスタイルのギターソロも哀愁たっぷりでとても良い。キーボードも背後で不安感をあおるようなスタイルから、乾いたピアノがぽつりぽつりとメロディを奏でるようなスタイルまで結構幅広い。作曲は楽曲中心のスタイルでどの楽器も多彩ながら走りすぎないスタイルもいいね。

重々しい楽曲にメロディアスな歌唱を重ねるスタイル自体は目新しいものではないのだが、とにかくバランスが良いのとメンバーの技量が図抜けているのか、頭一つ抜きん出ているような印象。
悪魔を呼び出すようなスタイルでも、お前をのろい殺してやるという呪怨スタイルでもない、念のこもったしかし全体的には何ともいえない寂しさを感じさせるような音楽性。
妖しい深い森に迷い込んだようなちょっとミステリアスな感じがたまりません。
これは良いアルバム。大変オススメ。ロックと言っても良いくらいの音楽性なので、メタルはちょっと重すぎるな、という人も安心して聴けるのではなかろうか。

個人的にはこの曲にやられてCDを買ったね。すごい妖しい。これはやっぱり女性ボーカルでないと出せない世界観だと思う。

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