日本は東京のハードコアバンドの1stアルバム。
2016年にtoosmell Recordsからリリースされた。
現在は5人組のバンドで2013年にデモを発表していることから結成はそれ以前ということになる。私は小岩で彼らのライブを見て格好良かったのでその場で音源を買った次第。
その日はハードコアバンドが多く出演しており、その中でも音楽性の違いはあれどどれも結構無慈悲な音を鳴らしていた。その中でShut Your Mouthはブルータルなハードコアを鳴らしながらも感情に訴えかけるフレーズが織り込まれていて異彩を放っていた。ハードコアの魅力の一つにタフさがあるとしたら、そのタフさを損なわずに色彩を豊かにしている、そんな印象だった。
改めて音源を聴くと感情的な部分はもちろんあるが、それ以上に滅茶苦茶かっちりしたハードコアを演奏していることに驚く。うわおこんなに激しかったっけ。
低音が強調され、ミュートで区切られた鉄の塊のような音(音質とタメを効かせた弾き方という意味で非常にメタリック)をしたギターがドラム、ベースと合間って巨大なビートを作っていく。時に抉るような、猛獣が押さえつけられてもがくようなフレーズが飛び出し、それがたまらない。ハードコアで遅いということはかっこいい。遅さを生かすために遅さ一辺倒ではなく速度のコントロールにも気を配られていて同じ曲の中でも走るところ、溜めるところ、暴れるところとメリハリがきっちり。
低音ギターに被せてくるもう一本、ライブではキャッチーさを曲に添加していると思ったが、音源を聴くとそれ以外にも低音を這い回る蜘蛛のような不吉な雰囲気を作ったりして非常に面白い。低音に特化した暴れるためにはもってこいの音楽だが(ライブはもちろん部屋で一人でも楽しめる)、改めて聞いてみるとやはり表現力の豊かさに心が動く。
歌詞は日本語と英語を併用したもので時に同一の曲の中でも共存している。概ね「私」の独白という形で決意を秘めた日記を読んでいるようなイメージ。ラストを飾る「Grey Flag」の「クソみたいに生きてる」というワードが分厚い音の壁を抜けて胸に突き刺さる。
フラストレーションをピュアに音楽に昇華した音楽。日常を彩る感情も感じることができる。ハードコア好きな人でまだ聞いていない人は是非どうぞ。
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