2017年1月29日日曜日

Harm Done/The First 3 Years

フランスはナントのパワーバイオレンスバンドのディスコグラフィー。
2016年に日本のStand For Unityからリリースされた。2016年には来日しており、おそらく連動して作られた音源かなと思う。私は来日ライブに入っていないのだが音源だけ購入してみた。
2013年にSex Prisonerを聴いて衝撃を受けたメンバーを受けた比較的新しいバンドでメンバーチェンジがありつつも(現在は4人体制とのこと。)いくつかの音源をリリースしている。それらの音源をまとめたのがこの音源。

28曲で28分ということで1曲ほぼ平均1分という清く正しいパワーバイオレンスバンド。
目まぐるしく嵐のように暴走してあっけにとられているとあっという間に通り過ぎていくのはパワーバイオレンスなのだが、よくよく聴いてみると結構変わった音楽性をしている。
私高校生くらいの時にミクスチャーという音楽があって、それは過去にもあったのだろうけど(Red Hot Chili Peppersとかを指していたのかな?)、改めてニューメタルというフォーマットでヒップホップとラウドロックを混ぜたりしてミクスチャーなんて言葉がまた使われだしたのだろうと思う。あの頃のミクスチャーとは全く異なった音楽をやっているHarm Doneだが聴いているとなぜかミクスチャー感があるなと思ってしまう。
ボーカルはハリのあるハードコアスタイルで個人的にはこの人は徹頭徹尾ハードコア。かなりマッチョい。こういうタイプは結構高音が出ているのだが強そうで一体それが発声の仕方なのか、勢いなのかはわからない。曲が早いからまくし立てるようなスタイルで普通に考えると単語ごとの力はそんなにかからない(かけられない)と思うのだが、この人の場合はどの言葉も力強い。
がっちり硬質なソリッド(とんがっていて鈍器というよりは刃物のような)な音が特徴的なベースも確かにハードコア。この人はなぜか中速くらいの時に音の数が多くて低速、もしくは高速にしのぎを削るパワーバイオレンスに合間(中間の速度)のかっこよさを投入しているHarm Doneの結構なキーマン的な存在かなと思う。
パワーバイオレンスなのでもちろん速いパートはあるし、それはそれでかっこいいのだがとにかく中速以下にフォーカスしたバンドで被せていくように刻んでいくパートはかなりモッシュに適しているのではと思わせる気持ち良さがある。いい感じにあったまってきたところに(といっても時間的には10秒くらいなんじゃないのかという気がしてきた)満をじして低音パートに移行していく様はもはやあざとい。体感速度という意味で低音を、ダウンテンポを意識させる対象物として高速パートを入れているのではと思うくらい。

パワーバイオレンスというと曲が短いことが多いので当然制限も多いのだが、意外にその中でもできることはたくさんあるなと思う。このHarm Doneというバンドはハードコアの正当進化系というよりは結構いろんな音楽の面白いところを持ってきてハードコアを接着剤に固めましたという感じ。もちろんハリボテ感はなくて鵺みたいな異形のかっこよさ。ミクスチャー世代だった私にはかなりいい感じに突き刺さっている。ライブ行けばよかったなーと思ってしまう。ミクスチャー世代(そんなのあったのか自信なくなってきたけど)の人はぜひどうぞ。オススメっす。

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