2017年1月22日日曜日

Struggle for Pride/FIGHT IT OUT/Friendship/Shut Your Mouth/Dreadeye@小岩Bushbash

最近興味のあるハードコアというジャンルでいくつも気になるバンドが出演するバンドがあるので小岩まで行ってみることに。
アンプタワーを積み上げる暗黒ハードコアFriendshipは前見たライブが良かったし、昨年アルバムをリリースしてTLでも話題になっていたShut Your Mouthも気になる。そして最近活動を再開したStruggle for Prideによる東京でのライブということでおっかなびっくり行って見た。私は完全にハードコアなイベントに入ったことがない。なんか超怖そうじゃないですか。しかしマジで恐ろしいと評判のFIGHT IT OUTのインタビューではボーカルの方が「ハードコアじゃない人も来て、もやしなんて思わんよ」と仰っていたので勇気を鼓舞して行ってみることに。(私はもやしどころか微笑みデブと言った容姿なんだが。)
小岩Bushbashは初めて言ったけど変わったところでフロアと同じ奥行きの広めのスペースがあって物販、バーはもちろん椅子とテーブルもある。カレーが有名なのかな?食べている人もいました。フロアはステージと高さが一緒。コンクリ打ちっぱなしのような無骨なもの。
そしてハードコアのライブに来る人は皆さんおしゃれ。体格もいいし、格好もかっこいい。大抵フードをかぶるか帽子をかぶっている。可愛い女の子もおりました。怖そうな人たちもいっぱいいて「おまえ、ハードコアじゃねえな」と身元がバレてボコボコにされた挙句つまみ出されるかヒヤヒヤもんでした。客の入りは相当でチケットはソールドアウトになったとのこと。

Friendship
トップバッターはFriendship。ライブを見るのは2回目。Orangeのみで構成されたアンプがタワーをなしている。まだお若いというのに完全にアウトロー系のメンバーが音を出し始めると、デケエ。マーチでもネタにしているがギターは完全にSunn O)))を意識しているのか「ぐもー」とした残響(これは残響と言っていいのか?いい意味で余韻なんて皆無だ。)の伸びが半端無い。面白いのはアタック音は強烈でソリッドだが、鉄の塊のような音の隙間にフィードバックノイズやドローン要素を打ち出して来る。何より印象的なのはドラム。バスドラムの中速くらいの連打が打ち出される軽機関銃のようだ。ドスドスドスかなりの長さで感覚を正確に打ち出していく様はまさに大口径の銃弾がそれなりの速度で持って打ち出されていくイメージ。大量虐殺だ。顔を真っ赤にして喉から絶叫を振り絞るボーカル。フロアの全面真ん中が開けられているのはこういうことか、というくらいボーカルはほぼフロアでパフォーマンス。ハードコアなのにとにかく黒い。物理的な轟音で溺死させられる。米軍でヘヴィメタルを大音量で流す拷問がなされたということなのだが、一部のマニアは金を払ってそれ以上の拷問を嬉々として受けるから不思議だ。超楽しい。ラストに彼らの曲で一番好きな「R」をやってくれた。最高だ。

Dreadeye
続いてはDreadeye。いくつかのフライヤーやインターネットでその名を見たことがあるが見るのは初めて。音源も持っておらず。どうしてこうハードコアに関わる人はこう強面なのか。メンバーが怖い。ハードコア好きな人は自分の強さの延長線上にハードコアの表現する強さを見ているのかもしれない。
調べて見ると自らの音楽性をTokyo Power Violence、Hate Coreと称しており、Friendshipに比べると圧倒的にストップ&ゴーが特徴的で明確で曲は(おそらく)かなり短い。特徴的なのはボーカルがハードコア的なシャウトに加えて超低音のグロウルを用いる。これをここぞって時、つまり曲が一気にスピードアップするときに使うのだけどこれがかっこいい。うおおおってなると一気にバン!!!って叩きつけるようにスローになる。間にフィードバックノイズを満載にしつつ、叩きつけるようなリフが続いていく。いわゆるモッシュパートなのかとも思ったけど、もうちょっと無愛想で無骨なイメージ。あっという間に終わってしまった。これがパワーバイオレンス…と茫然とした。Powerで「力」のところなぜさらにViolenceってつけるのかと思っていたが、聞いているお前も安全じゃ無いぜという危険さから来ているのかもしれない。

Shut Your Mouth
続いてはShut Your Mouth。去年の暮れごろにアルバムをリリースして話題になっておりました。密かに楽しみしていた。ギターが2本。狭いステージに入るものだ。ここら辺からフロアの人がもうすごい過密状態。
始まって見るとまぎれもないハードコアなのだが、自分的にはかなり新しかった。ブルータルでシンプルな楽曲をベースに高音シャウトのボーカルが乗っかる。ここまではストレートなハードコアというイメージだが、2本いるギターの片方がガツンガツンとしたリフを担当し、もう一方がときにかなりメロディアスなフレーズを中音〜高音で入れて来る。確かソロもあったと思う。この要素で感情的に共感しやすくなっている。やりすぎるとせっかくのハードコアさが薄れてしまう(エモすぎになってしまう)のかもしれないが、Shut Your Mouthはあくまでも効果的なフレーバーとしてそれらを使いつつ、キッチハードコア。ベース(むきむき上半身裸)とギターの一人が一部ボーカルを担当するのだが、これがボーカルにない低音を補っておりブルータルこの上ない。初めて聞くバンドだったのだけど、前述のちょっと激情というか叙情的なところがあってかなりしっくり来た。終演後音源を購入。ちなみにこの日唯一MCらしいMCをした。ボーカルの方はなんとも柔和な雰囲気を持っており(ボーカルは半端無いよ)この殺伐とした日唯一の癒しと言っても良かったのでは。

FIGHT IT OUT
とにかく恐ろしいライブをすると評判のバンドでビビりまくっていたのだが、果たしてライブが始まるとピットができる、クラウドサーフが始まる、腕をブンブンする、足を高く上げる、とまさにハードコア祭りの様相を呈して来た。ピット外もおしくらまんじゅう状態で暑い!
音楽的にはピュアなハードコアの伝統を受け継ぎつつモダンにアップデートしたと言ったイメージでもっとモッシュパート、スローになるビートダウンパートが下品にゴリゴリ押し出されているのかと勝手に思っていたのだが、それらがありつつももっと突き抜けるような爽快感を持ったハードコアだった。このバンドもとにかく音がでかくて細かいところは結構判別できなかったりだったんだけど、やはりドラムが強いバンドでタイトに曲を引き締めていた。ボーカルは絶叫なんだけど轟音に負けないくらいの存在感がある。ハードコアというのは没入させ煽る音楽だ、という感じで、ボーカルの人は熱い想いを短い言葉で吐き出し、自分もすごく楽しそうだった。フロアもそんな熱に浮かされてどんどんヒートアップして行った。曲を覚えている人が多くて一緒に盛り上がっていた。

Struggle for Pride
トリはStruggle for Pride。このバンドはしばらく活動休止中だったけど最近再始動をしたようだ。極端に音がでかい演奏に反面ボリュームを下げたボーカルが乗るという特異なスタイルでハードコア・シーンだけでなくクラブ・シーンにも接近してカヒミ・カリイと共演したり、クラブ・イベントにも出たそうな。私は完全に乗り遅れたファンでいくつか音源を持っている。中でもGuitar Wolfとのスプリットが大好きで結構事あるごとに聞いている。暴力的なノイズで体の中のフラストレーションが一気に曲によって引っ張り出されて消化されるような気持ち良さがある。
フロアは本当に超満員。例えるなら朝の田園都市線くらいの乗車率。ぎゅーぎゅー。私は背が低いこともあってほぼほぼステージが見えない。曲が始まると、ウルセーーー。音がでかい上にFriendshipと違ってこちらは高音もカバーしているために耳にもろに突き刺さって来る。初めてライブで耳栓買わないとダメだ、と思った。耳が壊れちまう。ギター・ベースはほぼハーシュノイズで常に(最後演奏終わるまで一度もこの音が止むことはなかった。)音が全開状態でなっている。フィードバックノイズではないと思う、音の主体がノイズなんだもん。自分がいた位置の関係かもしれないが曲の区別もほぼつかず、ドラムが一度鳴り止んだから次の曲に行ったかな?と思うくらい。で人の頭(もしくは飛んでいる体)の間からボーカルの今里さんが見える。めっちゃ叫んでいる。お???そういえば強烈なノイズの隙間に今里さんの声が聴こえるような??気のせいか???そんな感じ。(私の耳がバカなせいかもしれない。)フロアはというと盛り上がりが半端無い。FIGHT iT OUTもすごかったがそれ以上。人がどんどん飛んで来る。人満載した朝の田園都市線がたまに急停車するじゃないですか、人がグワーッと動きますよね?あれがずっと続くのがSFPのライブです。寄せる波、返す波のように人の流れがぶつかってひどいことに。私も始めいた位置からかなり動いていた。とにかくこのハーシュノイズのようなハードコアは不思議に人の気持ちを引っ張り出す力を持っていてそれが集団で炸裂する。小規模な暴動化。言葉でなく(ボーカル小さいので)、音で持って人をアジテートする。暴力的だがみんなすごい笑顔。すごかった。

ハードコアのライブって怖そうだな、と思っていたけど実際行ってみたらやっぱり怖かった。楽しかったけど。殴られないで良かったです。DreadeyeとFIGHT IT OUTは音源欲しかったけど残念ながらなかった。(売り切れてたのかも)
個人的に思ったのはハードコアは速度の変更・調整が超重要。お酒は飲まなかったがふらふら帰宅。

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