アメリカはアリゾナ州ツーソンのハードコアバンドの1stアルバム。
2016年にDeep Six Recordsからリリースされた。
あまり情報がネットにないバンド(こういったところからもバンドの姿勢がなんとなーく伺える。FBの影響を受けたものにはビールの銘柄を挙げている。)で4人組で、最初の音源は2010年にリリースされている。惜しくもこの間解散したAntichrist Demoncoreと(Magnumforceというバンド含めた3バンドによる)スプリットもリリースしている。満を辞してということでリリースされたのがこのアルバムなのかも。私は全く知らなかったがみちのくさんの年間ベストに入っていたのをきっかけに購入。
「Tannhäuser Gate」ってなんだっけ?「ハルシオンランチ」?と思って調べたらどうも元ネタは映画「ブレードランナー」みたいだ。とはいっても音の方はSF感は全くないパワーバイオレンス。全部で16曲、トータルタイムは23分弱。平均1曲あたり1分ちょい。
ざらついたロウな音、つまり生々しく、そして低音が強調された音で例えば前述のACxDCなんかに比べるともっともこっとしてざらついている。メタリックさはあまり感じられず、ギターソロなんかもなし。
パワーバイオレンスらしいスットプアンドゴーはあるものの、わかりやすいブレイクというよりは真綿で締めるようなビートダウンがえげつない。ファストな時はファストだが、忙しないというよりはどっしり構えていて(ブラストというよりはズタズタ刻むのが主体のドラムはかなりハードコアな感じ。)音の少ないパートは鈍器で後頭部を強烈に打ち付けれているように頭が触れる気持ちの良さ。速度のコントロールが上手いのと溢れ出るブルータリティをタメのあるリフに打ち込んでいるので結果手に非常に踊れる(=モッシュできる)おっかない音楽になっている。
ボーカルはやはりハードコアらしい、野太いマッチョなもの。エネルギッシュで悪い感じ。思ったのだがこういったボーカルの金切り声みたいな歌い方は結構つぼだ。やや声の質が違うバッキングボーカルも良い。
全編にわたって飾らない粗野なハードコアかと思いきや、中盤やや長い尺の2曲(といっても2分半もないんだけど)が結構異色。1曲はフィードバックノイズとブレイクを合わせたハードコア新機軸で、もう一方はアコギのインストからややブラッケンドなリフとモッシュパートを合体させたみたいなメタリックな曲でどちらもめちゃかっこいい。
今かっこいいという現行のブルータルなパワーバイオレンスを聞きたい人は是非どうぞ。
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