2016年12月31日土曜日

Ruinous/Graves of Ceaseless Death

アメリカはニュージャージー州のデスメタルバンドの1stアルバム。
2016年にDark Descents Recordsからリリースされた。
比較的新しいバンドだが3人組でボーカルも務めるギタリストが元Funebrarum、もう一人のギタリストがImmolation(このバンドは聴いたことがない)、ドラマー(調べたらまだ31歳だとか)が元Disma。共通して過去Funebrarumで活動したことがあるようだ。(Metallumより。)私はFunebrarumの「Sleep of Morbid Deams」が結構お気に入りなので買って見た。知るきっかけはみちのくさんの年間ベストで。

まず1曲めのイントロのギターのフレーズからしてFunebrarum感満載で楽しくなってくる。ベースレスの3人組としてはちょっと考えられないくらい音の密度が濃いバンドで(ただしベースは録音していると思う。徹底的にダウンチューニングしたギターかもだが。)、漆黒のオールドスクールなデスメタルを演奏している。がっつり金属的なバキバキメタリックサウンドでうねうね動くような気持ちの悪い定温リフをこれでもかというくらい詰め込んでいる。弾き方としてはそこまでではないけどPortalのようなリフの気持ち悪さ。ギターソロは短めなものがかなりテクニカルに鳴らされるが、かろうじて暗黒の霧を払うよすがにはならない程度。ブリッジミュートの使用頻度がそこまで高くないのでスラッシュ的な爽快感はほぼ皆無で、溜めがあって乗りやすいわけでもなく、さらにBPMはそこまで速くないので正直聴きやすいバンドではないかもしれない。
ボーカルはギャウギャウ喚き声と地に這う低音を使い分けるタイプでこれもFunebrarumを感じさせるもの。ドラムは突っ走るにしてもバタバタ位だけどやはりテクニカルで手数が多く、瞬間的に破裂するようなスネアの連打が印象的。
やはりFunebrarumの系譜を感じさせ、ドゥーミィな要素も非常に色濃く、悪夢的にねっとりと蠢いていく楽曲はコズミック・ホラー的な気持ちの悪さ。沈み込む低音の波濤に思い出したように細かく動く触腕的な高音ギターリフを重ねてくるパートが個人的にはお気に入り。
密室感というか真綿で首を絞められているような閉塞感が売りのバンドで曲の密度も濃い。金属質で確実に肉体を伴ったような攻撃的なサウンドなのだが、それを外に放出するというよりはうちにうちに落ち込んでいくような負の螺旋サウンド。それこそ悪夢に囚われたような感覚に浸ることができる。好きな人にはたまらないやつ。

デスメタルに一種の爽快感を求める人にはなかなか難しいかもしれないが、ひねくれた気持ちの悪さに居心地の良さを感じてしまうような人にはバッチリはまるのではなかろうか。Funebrarum好きな人は是非どうぞ。

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