イスラエルはテルアビブのパンクロックバンドの3rdアルバム。
2015年にPhobiact Recordsからリリースされた。
全然知らないバンドだったんだが3LAさんでの紹介文が気になって購入。私が買ったのはLPでダウンロードコードが入っておりました。
女性ボーカルを含む4人組のバンドで2009年に結成。地元の他のバンドがみんなツアーでいなかったため居残ったメンバー達がふざけて始めた自分たちのバンドを「Not on Tour(ツアーしてないよ)」にしたとの事。(彼らの2ndアルバムをリリースしている日本のInyafaceさんのバイオを勝手にそのまま参考にさせていただいております。)
80年代のパンクに影響を受けているという彼らがプレイするのはメロディックハードコア。私は30代なんだが、中学生高校生くらいの時はメロコア(後に青春パンクとか言ったりもしていましたが。)が隆盛を見せていた。Air JAM世代はもちっと上か?でもHi Standardを始め色んなメロコアバンドがいたもんでみんなそれに夢中でした。私は「Making the Road」を聴いていたくらいで、Nine Inch Nailsとニューメタルばかり聴いていたんだが。(そういえば何故かPennywiseだけは何枚かレンタルして聴いてた。)だからこの手のバンドサウンドにはあまり馴染みが無い。(メロコアとメロディックハードコアはちょっと違うんだろうなと思うんだけど。)そんな私が聴いてもカッコいいのがこのバンド。
全部で16曲あるが全部1分台におさまる。めっちゃ短い。メタラーだとすわグラインドコアか!?といきり立つところ。(もしくはパワーバイオレンスか!といきりたつハードコアフリークスか。)勿論速度はかなりあるものの、ブラストビートはないし、激速爆速ではありません。単に曲が短いんだ。ただそのショートカットの中に、極上のメロディにあふれた通常のバンドが曲に込める要素をぎゅっと濃縮して詰め込んでいる印象。
スタスタ軽快にリズムを刻んでいくドラム。唸るというよりはゴロゴロ硬質でたまにパーカッションかと思うくらいトンガって聴こえる特徴的なベース。中音域の強調されたギターは程よい重さで弾き倒すようなリフはいかにもって感じでカッコいい。
ボーカルがまた良い。思うにこういったメロディックなハードコアというのはボーカルがとても大切。強さが売りのハードコアでもだめだし、ひたすらメロディアスなポップ一辺倒でもやっぱり駄目。伸びやかで強さがないといけない。そしてどこかやんちゃさがある事が個人的には大切かも。諧謔と反抗心。そういった意味ではこのバンドの女性ボーカルは完璧。艶やかというよりは何にもとらわれない自由な感じでカッコいい。ちょっと憧れを持って聴いてしまう感じ。
とにかく全体的なアンサンブルは疾走感(実際の速度とはちょっと違う。)が意識されていて耳にすっと入ってくる。前楽器はからっと乾いた印象でどこまでもポジティブだ。ただし攻撃性が無い訳では勿論無い。何と言ったってパンクだから悪ふざけのような余裕のあるいたずら心と反骨精神がハードな演奏とボーカルにはっきりと見て取れる。それらがなんともメロディアスにせめてくる訳なんだが、微妙に影のあるメロディアスさ。あくまでも楽しく、でもそれじゃないです、という感じ。#9のアルバムタイトルになっている曲とか特にそう。なんだかギターの音一つとっても妙に切なくさせるような響きがあってそこが大変な魅力になっている。勿論コーラスも多めで男女混声の分なんだかと得した気分。
ちょっとデンマークの「Gorilla Angreb」を思い出したけどあそこまで野性的ではないかな。こちらの方が大分メロディアス。
という訳で30代の方はまず視聴していただければ何かしら感じるところがあるのではと。当時メロコア聴いてたかどうかあまり関係ないと思います。今のところレコードが買えるのは日本では3LAさんだけらしいですよ。是非どうぞ〜。オススメっす。
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