2015年8月23日日曜日

Grief/Turbulent Times

アメリカはマサチューセッツ州ボストンのスラッジバンドの編集版。
2002年にSouthern Lord Recordingsからリリースされた。
1991年にDisruptというバンドの元メンバーらに結成され、度重なるメンバーチェンジを繰り返しつつ5枚のアルバムと数々のスプリット(本邦とのCorruptedとの音源もアリ)を発表し、2001年に解散。その後再結成や再解散を経て、今では名前を書いて再結成しているらしい。
この音源は一度目の解散後にリリースされたもので、全スプリットの曲を網羅したアルバムとの事。いわゆるベストアルバムな訳ではないが、バンドのサウンドをほぼ活動次期全体を通じて追う事が出来そうだ。前々から気になっていたのだがマテリアルは見つけられなかったのでiTuensで購入。ジャケットがお洒落。タイトルは「騒々しい時代」。

音楽評論家のyamazakiさんの所の紹介ページにはスイサイド・トーチュア・スラッジ・ドゥームコアと呼ばれると書いてある。なるほど。あまりの激烈な音楽性に私はリリース元のSouthern Lord RecordingsのStephen O'MalleyがやっていたバンドKhanateの1stを想起した。あれもトーチャースラッジだったはず。すごく似ている。Khanateは結成が2001年だからどう考えても彼らに影響を与えたのがGriefってことになるだろう。(直接影響を受けたか確認した訳ではないけど、自身のレーベルから音源を出した事からきっとリスペクトしているに違いないと思う。Khanateの音源はドゥームじゃないのかな?と買った当時は思ったんだけどなるほどどう見てもスラッジ要素の方が濃いね。)

要するに”拷問”という形容詞がふさわしい、聴くのが苦痛なんじゃねーのってくらいの長く引き延ばされた音楽が延々と続く凄まじいバンドである。
リフは鈍器で徹底的に叩きのめされたように爛れ、崩れ、そして引き延ばされている。特に長い尺の曲では最早リフとリフの感覚が長く、輪郭が曖昧になっており、融解したという表現が非常にしっくり来る。フィードバックにまみれた弦楽器隊がズルズルズルズル一音一音が狂気の様な衝撃を持った音を出す。ギターはざらついたヤスリの様な音だが、下品な重さは無い。もっと生々しく汚らしい。その分ベースは低い低音を奏でている。ドラムの乾ききったタムが唯一の清涼剤でかろうじてそこにリズム、つまりルールを見いだし、安心する事が出来るだろう。ふらふらした頭に内蔵を吐き出す様なしゃがれた、この手のジャンルのお手本の様な邪悪なボーカルが乗ってくる。こうなると完全に追い込まれる。貴方はいつ終わるのだと曲の長さを見る。また2分しか経っていない。曲は後7分は続く。とてもそれまで持ちそうにない、とそんな感じの音楽である。こんな曲を何回か無理してでも聴いてみると良い。何故だか分からないがたまらなく気持ちよくなってくる。どんな性癖だといわれそうだが、意外にも曲は難解さとは皆無だ。そこがスラッジの良さかもしれないと思う。とにかく極端なリフのアタックが明確なので実は頭を振るには最適なんだ。二日酔いのようにふらふら→ゴン!ゴン!とまあこんな感じ。こりゃあ気持ちよい。それから一番長い曲でも実は9分。平均するとだいたい6分くらいかな?意外にコンパクトにまとめている。それから特にギターリフには例えばBlack Sabbath系と言われる様なヴィンテージロックっぽさがたまーーーに見え隠れする事があってそこも面白い。ただ一方で極端にハードコアで徹頭徹尾容赦がない。曲の緊張感は最後まで途切れる事が無く、Eyehategodのように曲中で疾走する様なパートもこの音源に関して言えばほぼ皆無。(#10の途中がかろうじて?)本当に最初から最後まで遅い。マジで地獄。たまらん。

という訳で個人的には非常に良かった。Khanateの1stが大好きな人にはたまらないはず!トーチャーされたい貴方は買って聴きましょう。一部の人にはとてもオススメ。


0 件のコメント:

コメントを投稿