オランダのS.さんなるひとによるブラックメタル/シューゲイザープロジェクトの2ndアルバム。
2011年発表。
ジャケットがかっこいいなあと思っていたのですが、ゼロ次元さんに入荷されていたので、ここぞとばかりに購入しました。
内容はというと全編インストのポストブラックというやつだろうか。
艶っぽいベース、回転の良い(結構手数が多いというか)ドラム。かすみがかった雰囲気のキーボード。そしてギターはシューゲイザーっぽいノイジーな音が売りなんだろうけど、乾いたアルペジオもあるし、ノイジーさも高音が強調されていたり、じりじりしていたりと芸が細かい。
なんといっても展開が素晴らしく、しずかにゆっくり始まる前半、突然ドラムが乱打され、ノイジーな(うるさいわけではない)トレモロリフが加速する。シューゲイザー色強めのポストブラックというとここ最近かなりの隆盛を見せるジャンルで、はいはいお洒落お洒落というバンドも少なくないのだけれど、このS.さん、クールでシャレオツに見えて実はアッツい激情家であることはもはや疑いなし。いったん火がつくともうトレモロリフの加速が止まらない止まらない。暗いのだがどこかしらノスタルジーを感じさせる美しいトレモロリフにただただ涙が止まりません。
全5曲でどの曲も捨て曲なしでかっこいいのだが、特に最後の2曲の破壊力が半端ない。
「A City in Mono」アルバムタイトルにもなってる9分弱の曲で、静かに始まり徐々に音が加わっていく感じ。中盤で加速して、いったんブレイク、再加速で一気にクライマックスに流れ込む。
「A City in Stereo」ラストを飾る10分20秒。アンビエントパートを挟んでの後半でもう滂沱の落涙。こんなに切ないのに、こんなに熱い展開があるだろうか。
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