2013年2月23日土曜日

Gaza/No Absolutes in Human Suffering


始めにいってしまうとこのアルバム、買って聴いてください。
2004年結成のアメリカユタ州はソルトレイクシティのグラインドコアバンド、2012年発表3rdアルバム。

このバンドのアルバムはすべて持っているけど、1st「I Don't Care Where I Go When I Die」に出会ったときは衝撃だった。「死んだらどこに行こうが知ったこっちゃねえ」という破滅的に冒涜的なこのタイトル。壁にぶつかっても容赦なく激走する狂犬病を患った犬のようなグラインドコアなのだが、急にすべてを投げ出したようなスラッジパートに沈み込んだりする。いわば躁うつ病を患ったノイズコアで音楽性はちょっと違うがToday is the Day(ちなみにこちらも私は大好き)に通じる陰鬱さがある。ジャケット通り真っ黒であった。なかでも「Hospital Fat Bags」という曲は阿呆ほど聴きまくった。


その後2009年に2nd「He Is Never Coming Back」をリリース。
このアルバム決して悪くはないのだが、妙に整合性が取れてしまっており、曲のクオリティは高いのだけど、1stの異常なテンションが少なからず失われている感じが個人的にはした。聴きなおしてみると録音状態が少しおとなしいのかなあ、という気もする。

そしてこの3rdアルバム 「No Absolutes in Human Suffering」である。
あまり期待せずに買ったが、これがもう、これがもう大当たりである。
1stのぐちゃぐちゃ感が5割増しで戻ってきた!!カオスである!!こりゃあもう騒音である!!
爆音だが、次の瞬間にはどこに行っているのか全くわからない、予想がつかない。
このバンドの特徴的なこじるようなギターリフ、もはや打楽器かというほど暴力的である。
そしてボーカル、これはもう咆哮である、野獣である。誰にでも噛みつく病んだ狂犬だ。
そしてまた沈み込むようなスラッジパート。
ひょっとしたらこのバンドなにかから逃げているのかもしれない。こっちに向かっているのかと思ったら実は死に物狂いで逃げているのかもしれない。そうして巨大な影についに捕まってしまうのかもしれない。陰惨で狂暴なのだが、とにかくそのようなどうしようもない暗闇を抱えているような印象がある。どうしようもない、諦観に満ち溢れた、コールタールのような粘度の高い闇に取りつかれたような悲しさや寂しさといったらない。こんな音楽本当にあまりない。
「Mostly Hair And Bones Now」(なんとも恐ろしげなタイトルだ、死体なのか?)からジェットコースタのようにはじまり、最後「Routine And Then Death」(これまた悲哀に富んだタイトルだ)はじっくり地獄に着陸するようだ。
素晴らしいとしか言いようがない。
最後に繰り返すが、このアルバム是非買って聴いてみてください。
本当にお勧めです。

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