アメリカ合衆国コロラド州デンバーのデスメタル/パンクバンドの2ndアルバム。
2013年にHells Headbangers Recordsからリリースされた。
Nekrofilthは2008年に結成されたバンドで現在はドラム、ベース、ギターの三人組。
ギター/ボーカルのZack Roseはデスメタル(本人たちは「Devil Metal」を自称している)バンドNunslaughterのメンバー。
Nunslaughterも聞いたことがないのだが、来日するというきっかけで音源を買ってみた。
聴いてみると慌てて来日公演に足を運んだくらいかっこよかった。
ジャケットやマーチャンダイズのアートワークはいかにもデスメタル的だ。
それもオールドスクールなやつ。死体、骸骨、ゾンビ、蛆虫のおどろおどろしさ。
オールドスクールにはそういった”汚さ”(これは決して演奏とはイコールではない)があると思うが、この汚さをハードコアパンクのRawなラフさに結びつけたのがこのバンド。
初っ端はその勢いに圧倒されてパンクだぜ…!になってしまうのだが、何回か聴いてみるとリフの構造的には結構メタルというか、スラッシーであることに気がつく。ミュートを多用しているので流れるように引き倒すパンクとはちょっと異なる。ただしキャッチーであることと、反復性があること。曲の展開がシンプルかつ速度が早くで短い尺でストレートに進行することで”パンキッシュ”になっているのだと思う。スラッシーなパンクである。つたつた刻むドラム(ライブ見たらすごかった。リズムには結構バリエーションがある。)も硬質で前にガツガツ出てくるベースも非常にかっこいい。リフがかっこよいのでメタル的な楽しさに横溢している。そういう意味ではいわゆるMotorhead的なロックンロール要素が強いと思う。やけっぱちなロックンロールはなにかに追われているように前のめりで性急なギターソロにあらわれている。ダミ声というかいい感じにしゃがれた声のボーカルは汚い単語が聞き取れる感じで明らかにデスメタルの歌唱法とは異なる。酔っぱらいのガナリ声という感じで非常に味がある。「まくし立てる」という表現がぴったりで、グラインドコアのマシーン的な正確さとは対極にあるような”生々しさ”がなんといっても魅力。ビールが燃料で、オールドスクールなゾンビ映画について延々と安酒場でまくし立てる、困ったやつだけど一緒にいるとこの上なく楽しい男、そんなイメージ。非常によくキャラクターが立っている。VHSで見るゾンビ映画的な楽しさに満ちている。
Petar Pan SpeedrockとかZekeとか好きな人は意外にハマるかもしれないドライブ感。もちろんオールドスクールなデスメタルが好きな人はその腐臭をやさぐれたハードコア間の中に嗅ぎ取れるだろう。非常にかっこよかった。既に来日公演は終了してしまったが、気になっている人は音源で是非どうぞ。
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