2017年5月20日土曜日

M.G.T./M to tha G-13

日本は東京のハードコアバンドの2ndアルバム。
2017年にDEATH BLOW MUSICからリリースされた。
印象的なアートワークはイラストレーターのUsugrow氏の手によるもの。
トリプルボーカルが特徴的なバンドで、マイナーリーグ、元YKZ、ジェロニモのメンバーが名を連ねている。1998年に結成し、メンバーチェンジもありながらマイペースに活動。
私はマイナーリーグが好きなのでこのバンドに興味を持った次第。
2004年にリリースされた1stアルバム「9 Songs Terror」とアメリカの二人組ハードコアバンドBattletornとのスプリット音源を持っている。サイドプロジェクト的なバンドなのかなと思っていたが、今回新作が出たのは嬉しい限り。

レイジング・スラッシュ・ハードコア・パンクと称されるようだが、なるほど「レイジング」という形容詞がぴったり来るストレートなハードコア。13曲で23分ないくらい。
ベースの主張が激しくて、重くはないのが印象的な音でガロンガロン弾きまくる。恐らく複数の弦をギターのようにコードで音をだすような弾き方もしている。
レイジングと言ってもいわゆるバーニングスピリッツ的な日本のハードコアとは一線を画す内容で、胸を突くような哀愁のメロディ、高揚させるコーラスワークと言ったものは少なめ。荒々しいオールドスクールなハードコアを日本語で再現したような音楽性。ボーカルが3人在籍しているのが一番特徴的だが、同じ曲の中で掛け合いをするのは意外にもあまりやらなくて、この曲はだれ、あの曲はだれという感じで基本的には住み分けができている。この形式は結構珍しいと思うのだけどアルバムを通して聴くとかなり起伏があって面白い。とっつきの印象は結構ボーカリストによって変わるのだけど、もちろんバックの演奏は共通した世界観なのでコンピレーションを聴いている感覚とも異なる。
攻撃性に満ちているが、徹底的にダウンチューニングを施した今風の壁のようなハードコアとは一線を画した、ざらついたギターの音も生々しい耳元で叫ばれているような、ハードコア。攻撃性はその直接的に中指立てる歌詞にも表れている。曲の方も荒々しいのだが、実は結構フックが効いていて、例えば元YKZのTatsuzoneさんがラップを通過したまくし立てるボーカルを披露しているときはその魅力が伝わるように抑え気味、テンポチェンジも多用しているし、意外にメロディアス(曲というよりはボーカルのメロディラインが映えるパターンが多い。)だったりと結構工夫や配慮が感じられるいぶし銀の作り。
私はなんとなく不穏な感じにトーンダウンしたラストを飾る「Never No More」が良い。この曲は3人のボーカリストが多分そろい踏みでラストっぽい劇的な感じ。

マイナーリーグが好きな人はもちろん、YKZとかジェロニモというバンドに引っ掛かりがある人は是非どうぞ。怒れるハードコア好きな人もぴったりはまるんじゃないかと。

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