2017年にNinja Tuneから発売された。
Earthは1989年に結成され、中座もありつつも今尚活動するバンド。Sunn O)))などからもリスペクトされる決して一般の知名度がたいわけではないだろうが、与えた影響は大きいバンド。私は昨今のアルバムは聴いていないのだが、活動を停止する前のアルバムは何枚かレコードで持っている。
一方The BugはイギリスのKevin Martinのユニット。彼自身はいわゆる電子音楽の範疇に入る音楽を様々なユニットでプレイし続けているが、その活動範囲は広く、またアンダーグラウンドなメタル界隈にも触手を伸ばしており、Justin K BroardrickやAlec Empireなどのミュージシャンたちともバンドを組んだり共演していたりする。確かHydra HeadのAaron Tunerもプレイリストの中にThe Bugの楽曲をセレクトしていた。
そんな結構なベテランミュージシャンがタッグを組んだのが今作。
音楽性の編成はあれど一貫してギターを使っているEarth(というかその首魁であるDylan Carlson)といろいろな顔持ちつつも電子音楽をやってきたThe Bugということなるジャンルのミュージシャンががっぷり四つで組むわけだからその出来上がる音がどんなものになるかというのは気になるのが人情というもの。
最近のEarthは追えていないのでわからないが、このアルバムでのDylanはかつてのダウンチューニング著しいギターで分厚い低音を出す演奏方法はほぼ封印。その代わりに乾いたギターの音に空間的な効果を施し、ジャラーン、もしくはキャラーンと言った風情で引く。一つのアタックを効果的にひき伸ばしていく。弾き方自体は変わらないけれど、使っている音の種類というか、音の重量が圧倒的に軽くなっている。つまり空間と時間に対する音の密度と圧力減っている。緊張感というか張り詰めたテンション(文字通り弦による)は減じているどころか増しているが、窒息するような圧迫感は減っている。持ったりとした煙(実はスローモーションされているような)の奥に垣間見えるような、幽玄と言っても差し支えないような豊かで、しかし空虚な音が上物に使われている電子音楽というのがこの音源の方向性だろうか。The Bugが作る音は徹底的にロウだ。重量感があり、また低音が強調されている。リズムがないトラックと、持ったりとしたビートが刻まれるトラックが半々くらいだろうか。こちらもEarthと同様に余韻を強く意識したダブ的な音作りと曲作りになっているので、異なる個性が違った楽器を持ち同じ方向に向かっているという意味でそれぞれの音楽家が非常に尖った個性を活かしつつ、非常に統一感のある楽曲を作り出している。
明るいか暗いかと言われればもちろん暗い音楽だろうが、陰惨さを追求しているわけではない。(が、JK Fleshをゲストに迎えている曲も収録してくるあたりなかなか一筋縄ではいかない。)「コンクリートの砂漠」というタイトル通り、荒廃、つまり陰惨のその後を追求した音世界だ。尖った凶音というわけではなく、音は語弊があるかもしれないがオーカニックであって全体的に丸みを帯びた滑らかさを持っていて、例えるなら偶然世界の破滅を生き残って古いアメリカの車(決して大きくないやつ)で郊外のジャケットにあるような巨大なコンクリートの構造物の下を走っているような、茫漠とした夢の中のような聴き心地。個人的には優しく落ち込んでいく「Other Side of the World」が特に好き。
The Bug、Earthどちらの単語にも引っ掛かりを感じる人は是非どうぞ。また空虚な音楽フリークはマストでどうぞ。ninの一連のアンビエント作品が好きな人はハマると思います。
最近のEarthは追えていないのでわからないが、このアルバムでのDylanはかつてのダウンチューニング著しいギターで分厚い低音を出す演奏方法はほぼ封印。その代わりに乾いたギターの音に空間的な効果を施し、ジャラーン、もしくはキャラーンと言った風情で引く。一つのアタックを効果的にひき伸ばしていく。弾き方自体は変わらないけれど、使っている音の種類というか、音の重量が圧倒的に軽くなっている。つまり空間と時間に対する音の密度と圧力減っている。緊張感というか張り詰めたテンション(文字通り弦による)は減じているどころか増しているが、窒息するような圧迫感は減っている。持ったりとした煙(実はスローモーションされているような)の奥に垣間見えるような、幽玄と言っても差し支えないような豊かで、しかし空虚な音が上物に使われている電子音楽というのがこの音源の方向性だろうか。The Bugが作る音は徹底的にロウだ。重量感があり、また低音が強調されている。リズムがないトラックと、持ったりとしたビートが刻まれるトラックが半々くらいだろうか。こちらもEarthと同様に余韻を強く意識したダブ的な音作りと曲作りになっているので、異なる個性が違った楽器を持ち同じ方向に向かっているという意味でそれぞれの音楽家が非常に尖った個性を活かしつつ、非常に統一感のある楽曲を作り出している。
明るいか暗いかと言われればもちろん暗い音楽だろうが、陰惨さを追求しているわけではない。(が、JK Fleshをゲストに迎えている曲も収録してくるあたりなかなか一筋縄ではいかない。)「コンクリートの砂漠」というタイトル通り、荒廃、つまり陰惨のその後を追求した音世界だ。尖った凶音というわけではなく、音は語弊があるかもしれないがオーカニックであって全体的に丸みを帯びた滑らかさを持っていて、例えるなら偶然世界の破滅を生き残って古いアメリカの車(決して大きくないやつ)で郊外のジャケットにあるような巨大なコンクリートの構造物の下を走っているような、茫漠とした夢の中のような聴き心地。個人的には優しく落ち込んでいく「Other Side of the World」が特に好き。
The Bug、Earthどちらの単語にも引っ掛かりを感じる人は是非どうぞ。また空虚な音楽フリークはマストでどうぞ。ninの一連のアンビエント作品が好きな人はハマると思います。