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2017年4月30日日曜日

The Bug VS Earth/Concrete Desert

イギリスのテクノプロデューサーとアメリカのギタードローンバンドのコラボレーションアルバム。
2017年にNinja Tuneから発売された。
Earthは1989年に結成され、中座もありつつも今尚活動するバンド。Sunn O)))などからもリスペクトされる決して一般の知名度がたいわけではないだろうが、与えた影響は大きいバンド。私は昨今のアルバムは聴いていないのだが、活動を停止する前のアルバムは何枚かレコードで持っている。
一方The BugはイギリスのKevin Martinのユニット。彼自身はいわゆる電子音楽の範疇に入る音楽を様々なユニットでプレイし続けているが、その活動範囲は広く、またアンダーグラウンドなメタル界隈にも触手を伸ばしており、Justin K BroardrickやAlec Empireなどのミュージシャンたちともバンドを組んだり共演していたりする。確かHydra HeadのAaron Tunerもプレイリストの中にThe Bugの楽曲をセレクトしていた。

そんな結構なベテランミュージシャンがタッグを組んだのが今作。
音楽性の編成はあれど一貫してギターを使っているEarth(というかその首魁であるDylan Carlson)といろいろな顔持ちつつも電子音楽をやってきたThe Bugということなるジャンルのミュージシャンががっぷり四つで組むわけだからその出来上がる音がどんなものになるかというのは気になるのが人情というもの。
最近のEarthは追えていないのでわからないが、このアルバムでのDylanはかつてのダウンチューニング著しいギターで分厚い低音を出す演奏方法はほぼ封印。その代わりに乾いたギターの音に空間的な効果を施し、ジャラーン、もしくはキャラーンと言った風情で引く。一つのアタックを効果的にひき伸ばしていく。弾き方自体は変わらないけれど、使っている音の種類というか、音の重量が圧倒的に軽くなっている。つまり空間と時間に対する音の密度と圧力減っている。緊張感というか張り詰めたテンション(文字通り弦による)は減じているどころか増しているが、窒息するような圧迫感は減っている。持ったりとした煙(実はスローモーションされているような)の奥に垣間見えるような、幽玄と言っても差し支えないような豊かで、しかし空虚な音が上物に使われている電子音楽というのがこの音源の方向性だろうか。The Bugが作る音は徹底的にロウだ。重量感があり、また低音が強調されている。リズムがないトラックと、持ったりとしたビートが刻まれるトラックが半々くらいだろうか。こちらもEarthと同様に余韻を強く意識したダブ的な音作りと曲作りになっているので、異なる個性が違った楽器を持ち同じ方向に向かっているという意味でそれぞれの音楽家が非常に尖った個性を活かしつつ、非常に統一感のある楽曲を作り出している。
明るいか暗いかと言われればもちろん暗い音楽だろうが、陰惨さを追求しているわけではない。(が、JK Fleshをゲストに迎えている曲も収録してくるあたりなかなか一筋縄ではいかない。)「コンクリートの砂漠」というタイトル通り、荒廃、つまり陰惨のその後を追求した音世界だ。尖った凶音というわけではなく、音は語弊があるかもしれないがオーカニックであって全体的に丸みを帯びた滑らかさを持っていて、例えるなら偶然世界の破滅を生き残って古いアメリカの車(決して大きくないやつ)で郊外のジャケットにあるような巨大なコンクリートの構造物の下を走っているような、茫漠とした夢の中のような聴き心地。個人的には優しく落ち込んでいく「Other Side of the World」が特に好き。

The Bug、Earthどちらの単語にも引っ掛かりを感じる人は是非どうぞ。また空虚な音楽フリークはマストでどうぞ。ninの一連のアンビエント作品が好きな人はハマると思います。

2015年12月31日木曜日

JK FLESH/Nothing is Free

イギリスのミュージシャンJustin K Broadrickによる電子音楽プロジェクトのEP。
2015年にAvalanche Recordingsからリリースされた。
「タダより高い物はない」というタイトルでBandcampでNYPで公開されている。
なんだかおっかないので幾らか払って購入。(基本NYPは払っていくスタイル)EPながらも9曲も入っている。(ので感想かいてみる)
しかしJKでFLESHときたもんだ。フヒヒさすが先生分かってらっしゃる!というクソみたいなネタを挟みつつ(盗んだ制服に身を包みながら)、このプロジェクトはHydra HeadからリリースされたPurientとのスプリットしか持っていない。本当は一個前に「Posthuman」というアルバムをリリースしているがこちらは未聴。

インダストリアルなノイズにまみれた硬質なダブというのが第一印象。さすがにもう元Napalm Deathという形容詞も微妙だが、メタル/ハードコアの轟音からjesuの美シューゲイザーやら、The Blood of Herosのダブヒップホップ、Grey Machineのノイズメタルなど五月蝿いという共通項でもって多彩なジャンルで八面六臂の活躍を見せる先生。そのノイズ才能を活かしたのがこのJK FLESH。御馴染みの地鳴りの様なノイズもキッチリ収録されていてニヤリ。(2曲目の冒頭など)
容赦のないインダストリアルな音にうおおと我が身をのけぞらせる事請け合いなのだが、この音源第一印象より大分聴きやすいから驚き。というのもリズムの概念が楽曲にかなりキッチリ組み込まれているので大変聴きやすい。分かりやすいメロディがある訳ではないので一般に言うところの聴きやすい殻は大分隔たっているものの、このバンドに興味を持たれている方ならすんなりと受け入れられると思う。
ぶわんぶわん振動しているようなダブ特有のキックを軸にブレイクビート風の硬質なマシンビートを合わせて来たりとかなり手の込んだ事をやっている。一方うわものは非常にシンプルで不穏なインダストリアルノイズが不穏さを煽る。だいたいがミニマルな展開だが、間とたまに展開を見せることもあって、そこらへんも聴きやすさに一役買っている。そんな構成だから基本的には無骨なビートが主役のプロジェクトだと思う。同じくNapalm Death繋がりのMick HarrisのScornというプロジェクトに相通じるところがあると思った。ビート主体だが、寡黙で流行とは無縁なところは特にそうだ。ただしこちらの方がダンサブルというかもう少し開けている感じだろうか。(特に4曲目なんかはビートが饒舌だからかなりカッコいい。踊れるダブ。)

一見無骨ながらもバランスがとれた良質なダブ。気になっているなら聴いてしまうのが良しと思います。

2015年12月28日月曜日

Shapednoise/Different Selves

イタリアはパレルモ出身、今はドイツのベルリンを中心に活動しているアーティストNino Pedoneによるノイズユニットの恐らく2ndアルバム。
2015年にType Recordsからリリースされた。
かのJustin K Broadrickが参加しているという事で興味を持ち買ってみた。アナログもあるらしいが私はデジタル形式で購入。

Ninoさんは若干20代ながらもレーベルを2つ立ち上げたり変名でリリースしたりと精力的に活動している人のようだ。2013年には来日経験もあるという。
ハーシュノイズを使ったハードな音楽を演奏しているが、テクノ的なアプローチによって聴きやすさを獲得しているというまさに私好みのスタイル。
その手法と言えばドラムとベースのリズムパターンを組み込む事でノイズがもたらすカオスに法則性を与える試みが一つと、さらにノイズ自体を切り刻むなどの処理を加えて制御しようという試み。さらにはともすると放っておくとどこまでも五月蝿くなろうとするノイズをうまくしぼる(音の数的にも、質的にも)ことで聴きやすさと面白さを、ノイズ自体の魅力を失う事無く獲得している。
例えば2曲目は歪みまくったキックを派手に導入することでダブ感のあるトラックを作り出し、そこに飛び交う妙に浮遊感のあるノイズを貼付ける事で、荒廃しきったSF的な音風景を現出させる事に成功している。妙に退廃的でロボットが人類を抹殺しきった後のような世紀末感がたまらん。
一方8分ある8曲目や続くラストを飾る9曲目なんかはリズムトラックは一切登場しないが、強力なハーシュノイズが刻一刻とその姿を変えていく。低音、中音、グリッチな高音を混ぜる事で多彩でありつつも、それぞれが非常に上手く音数がしぼられていてドローン的な側面が強い。ノイズの魅力の一つにはミニマルさとそれに相反するように形を変えていく不定形さがあると思うけど、そんなジャンルを非常に上手く深堀していると思う。
ノイズを軸にジャケットが表現する様な灰色の世界観を構築しているのだが、曲単位で結構バリエーションがあり聴いていて飽きない。
個人的にはノイズの使い方すごく上手くてかなり好きです。
まさに「整形されたノイズ」というユニット名にぴったりの音楽。変名も含めて他の音源が気になるところです。
インダストリアルなノイズにがつんとやられたい人は是非どうぞ。

2015年11月3日火曜日

Dead Fader/Glass Underworld

イギリスはブライトン生まれで現在はドイツ・ベルリンにて活動するJohn Cohenによるインダストリアルテクノユニットのミニアルバム。
2015年にRobot Elephant Recordsからリリースされた。
タイトル通り焦土としかいいようがない無慈悲なインダストリアル世界を提示した2014年発表の「Scorched」は衝撃だった。ボーカルが無い電子音楽でここまで凶暴な音楽を帆湯減できるのかと打ちのめされたものだった。しかし同時に発売した「Blood Forest」では一転してドリーミーでアンビエントな世界観を模索するという思考の多様性を魅せていた。そんな彼が2015年になってからは同じくRobot Elephant Recordsから「HYP30」、「Sun Copter」というEPを立て続けにリリース。「Blood Forest」方面をさらに突き詰めるという音楽活動に今は熱中しているようだ。前述の2枚に続いてリリースされた本作もほぼ同じベクトル上にあり、さらにその音楽性を進めた内容になっている。

こちらにのしかかるような極端に歪められた重低音ノイズはいかにもDead Fader節なんだが、そこにのっかるうわものに関しては音数の少ない余韻はあるが澄んだ音であってこの前者と後者の対比が独特の音世界を作り上げている。
どの曲でも中心にあるのは微妙なメロディなんだがあまり饒舌ではなくて、かすかなフレーズがひたすら反復される。どれも残響が意識され、ある程度の広さのある空間に放り出された音が余韻を残して消えていく様な儚さがあって、ここが好きだ。
その脆弱なフレーズを囲うのがお得意のインダストリアル要素なんだが、こうなってくると彼の独壇場というか、元々ノイズが上手いので、ミニマルさの中でも微妙に変化し続ける変幻自在さ(というかちょっとの居心地の悪さと言うか不穏さというか)がどの曲でも非常に活きて来ている。たしかにドリーミーなんだか、微妙にしみ込んでくるノイズが曲の雰囲気を刻一刻と変容させている。
インダストリアルさとアンビエント性が混ざり合わずに一体化した、というと変な表現なんだがこの音の共生関係が大変面白い。周りを囲う音は音量抑えめにしてあるから自然に粗野な音に挟まれた、フレーズが生きてくるという構造でアンビエントというには正直なところ音の数は多めなのだが、ある程度数のあるからこそ沁みてくる寂しさもあるものだなと感心。
個人的には1曲目がその方向性を一番分かりやすく突き詰めたもので白眉の出来かなと。
Dead Fader好きなら是非どうぞ。
ちなみにほぼ同時にTouchin'BassというレーベルからはDosage EPというインダストリアル路線の音源を出していてこちらもすこぶるカッコいい。ハードな路線が好みの方はチェックしてみてください。

2015年9月22日火曜日

Dooomboys/#Dooomboys

日本のヒップホップグループの1stアルバム。
2013年に自身のレーベルBlack Mob Addictからリリースされた。
なんとなくヒップホップが聴きたいなと思って前から気になっていたこの音源を買ってみた。
Dooomboysは日本のヒップホップ集団Think TankのラッパーBaba(こっから先は敬称略とさせてください。)と1992年から活動するバンドWrenchのドラマーMurochinが結成したバンド(もしくはユニット。)私はWrenchに至っては聴いた事が無い。Think Tankも「Black Smoker」しか持っていない位なんだが、学生時代に聴いてむむ?と思っていたその「Black Smoker」、今聴いたらやたらとカッコいい訳でそれで買った訳だ。

ドラムを生音にしたヒップホップというのもそこまで珍しくはないのだろうが、中々特徴的な音源になっている。全部で12曲のアルバムなのだが、内5曲は既存のリミックスである。そのリミックス参加アーティストはAudio Activeだったり、Devilmanから二人であったりとなかなかダブいことが分かるだろう。他にも歌詞でThink TankのK-Bombが参加していたりと、とにかく煙たく黒いヒップホップを演奏しているのだなと分かる面子である。
サンプリングという伝統的な手法に捕われない新しいヒップホップであるから、ラップ主体であってもその他の音が前面に出ている。Devilmanを引き合いに出すようなインダストリアルな、つまり金属管のある高音低音が残響反響処理を加えられてデカい音でサイレンのように鳴り響く。そして加工された生ドラムが入り込んでくるのだが、スネアが鋭くてこれだけで面白い。さすがにドラムの手数は多くないのだが、その分リズムが圧倒的にタイトである。タイトならそれこそ機械で良いのでは?と思うところだが、このインタビューを読んだいただきたいのだが、MPCからの音源に合わせる形で無理矢理生ドラムを叩いている。このある種の無理矢理さ、困難さが逆に曲作りの過程と曲自体を豊かに楽しくしている事が分かる。この手法で生まれたのがこの音楽なのだ。これは面白い。制限が芸術を生み出すのだ、自由な。
悪夢めいた金属質ダブトラックにのるBabaのラップも変わっている。Think Tankの時も思ったのだが、結構特徴的な声質で悪いヤバい雰囲気がありつつも自然体である。しゃがれていてちょっと酔っぱらっているようにふらっとぶれるところもある。ダブトラックに負けない個性を持っているから喧しさに負ける事が無い。
インタビューで語っている通り、The Blood of HeroesやDeath Grips(こっちはライバルとのこと)に共通点がある。こちらのバンドはもっと暗い印象でゆらゆら沈み込んでいく様な気持ちよさが持ち味。

紹介文をtoosmell Recordsの人が書いていたり(このCD以前にtoosmell限定で音源のリリースがあったそうな。因に私も特典がつくのでtoosmellで買った。)と色んな繋がりがあって、とにかくヒップホップ的なアプローチにとどまらないのでロック好きにもお勧めできる内容。現在活動しているかは不明瞭だが、自分としては是非次の音源を!と期待している。

2015年8月8日土曜日

2methyl/Layer 8

フランスはブザンソンのダブステップアーティストによる1stアルバム。
2015年にAd Noiseamよりリリースされた。
同レーベルからのメールで興味を持ってデジタルで購入。

methylとはメチルのことらしい。元は「2methylbulbe1ol」という名前で2008年から活動していたが最近改名したとの事。
ジャンル的には多分にインダストリアルな雰囲気のある無骨なダブステップという事になるだろうか。ダブステップと言いっても流行のそれととは一線を画す無愛想さ、呵責の無さである。金属質なぶっといビートの上に浮遊感のあるうわものが反響するように乗っかるスタイル。はっきりいってかなりダークな世界観で音色も低音に変更しているものの、音の種類は結構豊富でミニマルさをのこしつつ、結構豊かな音像になっている。結構やかましい。
歪みまくったキック音だが下品というよりは、完全にインダストリアルでこの硬質さはやかましくもどちらかというと不穏である。中速でずしずし進むそれは巨大な機械の足音にも思える。その周りを飛び回る小さく細かいオカズのようなビートはブレイクコアのそれを思わせて大変気持ちがよい。この大小2種類(時にはきっとそれ以上の)ビートの乱立する様がまず醍醐味の一つ。さらに上に乗っかる音色が豊富で金属で頭を殴られる様なギンギンしたもの。ダブ色を強める奥行きのあるぶわんぶわんしたもの。いずれも単音をぽこぽこ設置する様な”置き方”だが、たまにぐわーんと伸びる様なノイズを乗っけて着たりしてそれが大変気持ち悪くとても良い。メロディというよりはその音たちの配置によって曲を作る印象だから、ミニマルなパートはミニマルなんだが、漫然と聴いていると曲の展開が変化して印象ががらりと変わって面白い。
この間紹介した同じレーベルのGore Techに比べるとともに未来的(かなりディストピア感に満ち満ちている)な重金属ダブを演奏する共通項はありながらも、あからさまな攻撃性に関してはGore Techに分があるものの、空間的な広がりに関してはこちらに軍配が上がる印象。ぱっと見こちらの方がどうしても地味だが、一見漆黒な地味さもアルバムタイトル通りよくよく注目してみると色々な層(レイヤー)に分かれているのが見えて深みがある。繰り返して聴くとその美しさに気づく。9曲という長さも程よく、気持ちよく全編聞き通せる。

結構衝動買いだったけどかなりカッコいい。暗いビートに特化した音楽が好きな人は是非どうぞ。中々どうしてオススメ。

2015年4月26日日曜日

Gore Tech/Futurphobia

イギリスはマンチェスター出身のテクノアーティストによる2ndアルバム。
2015年にAd Noiseamからリリースされた。
Gore Techは出身はマンチェスターだが現在はドイツのベルリンで活動しているようだ。本名George Flettはオフィシャルサイトによるとサイバーパンク小説(!)と、日本のアニメーション(Manga Videosと書いてある)がお気に入りのアーティストで、Googleで調べてみるとなんと「Tragedy」や「Sleep」のキャップを被っている。Anaal Nathrakhのタンクトップも着ている。やっている音楽は電子音で構成されているが、趣味趣向はクラストハードコアやドゥームメタルなど中々多岐に渡るようだ。
日本のMurder Channelから1stアルバムがリリースされているが、私は今作で初めてGore Techの音楽に触れた。Twitterで言及されていたので発売前から気になっていたのだ。そのままデジタルで購入。デジタルだと発売と同時に聴けるのが良いな。結論から言うとアナログフォーマット(LPはオレンジで格好いいんだよね)が欲しくなってしまうような素晴らしい出来だった。

レーベルを見ても分かる通りブレイクコアの流れを汲む激しめのテクノという事は間違いないのだが、昨今の潮流を取り込みつつ自分なりの解釈を加えたスタイルで例えばDead Faderにはかなり似通ったところがあると思う。要するに細かくビートを刻む伝統のブレイクコアスタイルというよりは、ぶっと歪んだビートを中心にその周囲を手数の多いドラムがガッチリ固め、ベースはブリブリでメロディはほぼ無い。その硬質なドラムビートはインダストリアルを思わせる金属質なもので、極度に歪んだベースはダブ(ステップ)からの影響をもろに感じさせる。展開はあるものの基本はミニマルであって、うわモノはフレーズというよりは音のコラージュの様な無骨なもの。「昇竜拳!」のサンプリングなんかも入っている。ビートに乗って矢継ぎ早に目まぐるしく配置されているネタはその加速度もあって硬質な中にも悪夢的な幻想感を付与している。さらにハーシュなノイズをふんだんに使った耳に優しくないスタイルでその過激な暴力性はたしかにメタルに通じるものがある。(実際に歪んだメタリックなギターリフを大胆に取り込んだ曲もある。)
非常に面白いのは上記の様な攻撃性、ハードさを持った音楽でありながら非常に”踊れる”音楽である事。ぶっといビートが冗談のように跳ね回る(これはやはりブレイクコアの影響じゃないだろうか。)、その重さとリズム感のバランスが素晴らしい。ガムガムしたビートは一撃一撃で金属の板で頭をぶっ叩かれるような勢いがある。ぐわんぐわんとした残響を意識した様な音使いも素晴らしい。
またそっち一辺倒ではなく重さの空隙を埋めるようなパスパスタシタシする細かいリズムがなんとも小気味よい。回り込む様なタム回し(ポロロっとした例の奴)やダブいボーカルのサンプリングなどは確かに伝統的なブレイクコアを感じさせる。「未来恐怖症」というタイトルだが十分にハイブリッド且つフューチャーな内容になっていると思う。ビートのかっこよさを追求したまさに極北の様な尖りまくった音楽。

というわけでこれ本当すごいカッコいいアルバムなんで激(劇)音好きな人は是非どうぞ。メタル好きの人でもガッチリハマると思うっす。オススメ。
とにかくこの曲のキラーチューンぶりが半端無い。イントロだけで白米何杯もいける。

2014年12月6日土曜日

Zomby/With Love

イギリスはイングランド、ロンドンのテクノアーティストの4thアルバム。
2014年に4ADからリリースされた。
私は全く名前も知らなかったのだが、以前に感想を書いた日本のノイズバンドEndonのインタビューでボーカルの那倉さんが「嫉妬した」と紹介していたものが気になって買った次第。(ちなみに那倉さんは超強面だけどインタビューだと普通に受け答えしています。当たり前だけど。)

Zombyというアーティストはアノニマスの仮面を被ったりとあまりセルフイメージが露出しないようにしているらしい。(ググると普通に顔も出てくるけど積極的には出たくない、というスタンスとのこと。)結構謎か多い人みたい。
このアルバムは2枚組全33曲というかなりボリューミィなアルバムである。ほぼボーカルパートは無いので中々とらえどころの無い音楽性だが、まあここは一つ思った事を書いていきます。
まずジャンルはダブステップという事になっているが、はっきり言って想像とは違うダブステップだった。重量感のあるやや輪郭の曖昧なビート音は確かにダブステップだが、流行のスタイルとは一線を画す独自なもの。一言で言うともっとテクノっぽいな、という印象。ダブステップは機械で作っているから本当の意味では違うのだろうが、ちょっとファジーなところがあるんだけど、Zombyの音楽はもっとソリッドだ。まず音が鋭い。そして少ない。たしかにやり方はダブなのだろうが、音のパーツは音色がちょっとダブのそれとは異なる。ビート中心の音楽で前述の通りビートはダブいが、例えば跳ねる様なスネアなどの連打はやっぱりドラムンベースを彷彿とさせる。そして何よりミニマルである。基本ドラムとベースで構成されたループの上に、これまたループするうわモノが乗っかる。背後に流れるドローンめいた音が風に揺れるカーテンのように、よおく聴いていると次第にその形を変えていくのに気づく様な案配である。ダブ・ソリッド・ダブのサンドイッチ構造や〜と言わんばかりの中々のバランス感覚。完成された音は押さえつつも流行に迎合しないハードコアなものになっている。全体的な雰囲気は暗く沈み込んでいく様な陰鬱さがあって、所謂フロア向きで踊れるタイプの音ではない。(大音量でクラブで聴いたら格好いいのだろうが。)那倉さんも言っているがトリップホップに通じるものがある。悪ぶっているけど結構伝統に対してリスペクトがあるんじゃないの?という感じ。
曲は1分から2分台が多く33曲がテンポよく進む。印象的なのは曲の終わりがかなり唐突にぶったギっているものが何曲かある。これは一体どういう意図なのかわからん。お、と思ってリズムを取り出すとぶちっと終わってしまうのである。中々どうして捻くれた奴である。

ここで印象的な本人のインタビューが読める。人を食っているのか煙に巻いているのか、はたまた本当に性格が悪いのか判然としないのかやはり中々捻くれた兄さんのようである。
通して聴くとちょっと長いな…と思ったりもするがぼんやり聴いているとおお!っと思わせたりして中々どうしてなアルバム。仕事中に聴くと良い事を発見した。結構好きです。気になった人はどうぞ。

2014年10月5日日曜日

Kryptic Minds/One of Us

イギリスはイングランド、エセックスのダブステップミュージシャンの1stアルバム。
2009年にSwamp81というレーベルからリリースされた。
Kryptic MindsはBrett BigdenとSimon Shreeveからなる2人組でアルバムは今作を含めて2作しかリリースしていないもののディスコグラフィーを見るとかなりの量のEPなどをレコードの形で世に出しているようだ。なんとなく現場よりのハードコアさを感じる。
私は勿論彼らのことなんて全く知らなかったのだが、「第9地区」の監督ニール・ブロムカンプによるSF映画「エリジウム」を見ていたところ(主演がマット・デイモンで突っ込みどころはあるものの概ね大変面白く見れた。監督の未来の風景を描く手腕は流石であった。)、とあるシーンで何とも陰鬱なダブい音楽が流れているものだから、すかさずスマホで曲名を調べて、その曲が収録されているこのアルバムをかったという訳だ。(ネットの技術は特に音楽にはすごい影響力があるなと改めて実感。)

ダブステップは2000年代前半にイギリスから火がついたジャンルであって、 本当に一時期市場をせっけんしてSkrillexのようなアーティストがスターダムに上り詰めたりしていたようだ。私はと言えば何回か視聴してみたものの今一乗り切れない感じではあったが、いかに新しいジャンルとはいえ一言ではくくりきれない懐の広さがあって、このブログでも紹介したことがあるが、Burialやら日本のDevilmanのようなアーティストは本当楽しく聴いている。このKryptic Mindsもどちらかといえばその傾倒に属するアーティストで鳴らす音はと言えばひたすら低音が強調された陰鬱なもので、音の数は多くなく、ミニマルな展開に装飾する様な要素がいくらか付加されたわりかしストイックなものである。まず聴いてみたところ同じくイギリスのNapalm DeathのドラマーMick HarrisのプロジェクトScornとの類似性であった。あそこまで寡黙ではなかったが。陰鬱で音数の少ない、音のデカい割にアンビエンスを多大に意識したその作風はかなり似通ったところがあると思う。
ダブ特有の湿り気のある重々しいバス、対応するように乾いた無骨なスネア、チキチキいうシンバル。根幹と鳴る要素はほぼこれらのみ。ほぼミニマルに構成されたビートがどっしり中心にあって、 曲によってそれらに装飾が施されていくイメージ。
装飾といっても過剰さはいっさいなく、ひたすら低音を意識したベース音、ドローンめいた唸る低音、ジリジリ言うノイズ、エフェクトのかけられた人の声のサンプリング、単発のブリープ音が霧に中から現れる幽霊のように現れては通り過ぎていく。全体的にエコーがかったというか、残響が強く意識された音作りで、太いビートとそれにのる幽玄的なノイズたちが曲を潜行していく様な怪しい雰囲気を作り出している。ミニマルでビートを追っていくうちに不思議な酩酊感に誘われるから不思議。深夜車に乗ってどこまでも続くトンネルに潜っていく様な、そんな格好よさがある。ちょっと都会派なところというか洗練された感じも漂う。

決して取っ付きにくい音楽ではないが、無骨なダブが好きな人は是非どうぞ。
こちらが映画「エリジウム」でも使用された曲。

2014年1月11日土曜日

Burial/Rival Dealer

ちょっと前に異常な盛り上がりを見せたダブステップの大立物BurialのEP。
2013年にHyperdubからリリースされた。

BurialはなんだかEPを何枚か持っているんだけど、フルアルバムを1枚も持ってないな、と思ったらら、2007年の2ndアルバム以降はフルアルバムをリリースしてなかったようです。
BurialはイギリスのダブステップメイカーでRadioheadのトム・ヨークとコラボしたり、Massive Attackを始め様々なアーティストの楽曲をリミックスしたりと、この界隈を一気にオーバーグラウンドに持ち上げたアーティストの一人。

叩きのめして引き延ばしたような独特のシンセ音、冷たく重々しいビート、随所に挿入されるノイズ。歪められた声のサンプリング。
要素の一つ一つは確かにダブステップのそれなんだが、彼の手にかかると流行のダブステップのように下品な音にならないから不思議。どちらかというとノイジーな音を集めて曲を作っているのに、曲全体の雰囲気は驚くほど暗く、時に静寂性すら感じさせる。
全部で3曲のEPなのだが、間の曲が4分、その前後の曲は10分を超えるという大曲になっていて、面白いのはそれぞれの曲の途中で別の曲かというくらいの大胆な停止と転換がある。曲がゆっくりとフェードアウトしてまた再開するようなちょっと前衛的な作りになっている。再開するとそれまでの雰囲気とはがらりと変わっているから最初はちょっと戸惑うんだが、しばらくすると断絶前のフレーズがひょっこり顔を出してきたりして、あれれ元に戻った?と思うこともしばしば。反復性を強調するためにあえて異物を混入させたのかなとちょっと勘ぐってしまう。
変な表現だが、すべてが作り物めいたちょっと危うい脆さがあって、それが映画を見ているように魅力的だ。どの音も妙にくぐもっていて幻想的である。

Burialという人は基本的にライブもやらないし、積極的に声を上げる人ではないそうなのだが、珍しくこの音源をリリースする際にメッセージを発信したらしい。
“I put my heart into the new EP, I hope someone likes it. I wanted the tunes to be anti-bullying tunes that could maybe help someone to believe in themselves, to not be afraid, and to not give up, and to know that someone out there cares and is looking out for them. So it's like an angel's spell to protect them against the unkind people, the dark times, and the self-doubts.”
ここから引用)
新しいEPには心を込めた。誰かが気に入ってくれると嬉しい。
収録曲には聴いている人が自分を信じる手助けができるような、恐れずに、あきらめずに、そして向こうにいる人があなたを気にかけて注意しているということを知ってもらうための応援曲(意訳)になってほしい。つまりこの曲は悪いやつや暗い時間、そして自己疑問から人々を守るための天使の呪文なんだ。
我ながらひどい翻訳だが、前向きなBurialのメッセージの雰囲気が伝わればと。
このメッセージを聴くと確かにこの3つの曲が妙に心に優しく響いてくるから不思議なものだ。

というわけで謎のおおいBurialさんからの暖かいメッセージ。疲れたあなたにお勧めのダブステップです。