2017年にGOODWEATHERからリリースされた。
3枚組の重厚なアルバムでジャケット(沖縄のアーティストの手によるものだそうな)に惹かれて視聴すると格好良かったので本当になんとなく買ってみた。
みんなジュークって知っているかな?クラブで超流行っている音楽なんだけど…。ちなみに私は全然わかんない。このアルバムの説明で知ったもんね。ちなみにクラブで流行っているというのは適当だからね。本当は知らないです。ジュークというのはシカゴハウス(ってそもそもわかんないんだけど)から生まれたジャンルで重低音を効かせたビートでBPMが同じ曲中に急にそして大きく変わる。ダンサーがそのビートに合わせて足技に比重を置いたダンスを披露するらしい。だからジューク/フットワークというセットで呼ばれることも多いとか。音楽的には既存の曲のサンプリングを大胆に行い、ビートの調整をプロデューサーが行うみたい。
3枚組なので1枚目から聴くのは当然である。ノイズにまみれた中人の声が何かを喋る(裸絵札の人に似ている声でちょっとびっくりした)1曲目から、ブツブツしたグリッチノイズが入る2曲目。3曲目。4曲目。あれれ?CDがおかしいか?と思うくらいグリッチノイズである。一応曲が進むと背後に不穏なベースライン、ドローンめいた不協和音などの他の音が追加されていくが基本的にはずっとノイズ。グリッチをリズムと捉えることもできなくはないが、これを楽しめるのは相当な上級者かもしれない。ノイズにしても音が少ないので。青い顔で2枚目を再生するとビートが登場するので一安心。なんせ帯には「踊るか、叩き割るか、燃やせ」という煽りが入っているくらいだ。しかしやはりわかりやすい音とは言えない。ビートは明確でわかりやすく、音の数が少ない分一撃が重くなるように重低音が強調されている。それがミニマルに続いていく。あまりBPMの大胆な調整に関しては意識しなくて良いと思う。そこに明らかに存在感のあるノイズが上物として乗っていく。クラブミュージックにしては陰鬱すぎると思う。つまり音楽としてはめちゃかっこいい。流行りのジャンルにしてもこの人はちょっと立ち位置特殊なのではなかろうか。この不穏さはどうだ。ヒット曲を大胆にサンプリングすることもあるらしいジャンルなのだが、CRZKNYの場合はそのようなことはなく単体だとノイズにしか聞こえない音をうまく切りはりしてクラブミュージックを作っている。
ちょっと調べるとこの人はもともとMerzbowの影響でノイズをやっていたこともあるらしい。数年は作ったというからおそらくというか絶対その時の経験が生きているのだろう。なるほどしっとりとしたクラブミュージックとして見事に成立しているのだろうと思う。ビートが明確でとにかくかっこいいからオタクでも思わず体が動き出してくる。しかしただおしゃれなわけでなく、むしろオシャレとしては絶対成立しないようなノイズを曲に大胆に取り組んでいるところがすごい。時には音数の少ないインダストリアルミュージックにすら聞こえる。音の数を少なくすることで聴きやすさと踊りやすさを獲得していると思う。反響を効かせた空間的な音づかいは音数が少ないところで異常な魅力を放つ。それは空洞の音である。正確には空洞で起こる何かの運動の私はこの手の音には目がない。
個人的にはやはり2枚目のかっこよさが非常に良い。情報量の多いメタル/ハードコアで疲れた脳の隙間にリズムが麻薬のように入り込んでいくようで非常に快である。
ノイズやインダストリアルに興味がある、耐性がある人は結構ロック界隈に多いと思うが、そんな人なら結構バッチリはまるのではなかろうか。クラブで流行というとうーむ、となってしまう人でもまずは視聴してみると良いかもしれない。おすすめです。
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