2014年日本四国のDan-Doh(男道)Recordsからリリースされた。バンド名は「ダイオード」と読む。
AcuteのSivaaaaaさんによるコッテリ過ぎなアートワークが印象的。
2016年には姫路のネオクラストバンドsekienのメンバーらによる新バンドKuguridoとスプリットをリリース。東京は新宿のAntiknockでリリースライブを開催。私はそこでこのバンドのライブを目の当たりにして大変かっこよかったので物販でこの音源を購入。このアルバムをリリースした当時は5人編成だが、今はギターが一人抜けて4人編成のようだ。
いかにも不器用な感じのMCも含めて決して器用なバンドではないのだろうが、ライブは楽しかった。一緒に出ていた東京のNoLAはわかりやすく派手なステージングだった。一方のDIEAUDEはなるほど動きこそ控えめだったが、(特にボーカルの人の不敵な面構えもあってか)凄みのあるものだった。リリースパーティということもあって「主役は俺らでしょ」という自負と自身で持ってフロアもそれまでにない盛り上がりを見せていた。それは音楽的にもそうで、多様なバンドが様々な音を鳴らしている中ストレートなハードコアを鳴らしているのは異様に目立っていた。私の目にはその異質さが「ヤンキー感」に見えてしまったのだった。マイナーな音楽にしても流行や時代の潮流があって、それに迎合しにくい土壌があったとしても(フラフラ流行を追いかければコマーシャル、中身がないと批判されがち)、多かれ少なかれ影響はされるものだと思う。(”ブラッケンド”なんてのはまさにそうではと思う。新しい可能性の伝播なのでそれ自体は良し悪しではないかなと思います。)ところがこのDIEAUDEというバンドはあまりそう言った感じがしない。一緒に見たKUGURIDOはTragedy型のクラストを自分たちなりに解釈、構築するバンドだったというのもあって、このバンドのブレなさは逆に異質に見えたのだと思う。
日本の伝統的なハードコアスタイルに則った音楽を演奏している。ここら辺は私PaintoboxとThink Againくらいしか聴いてないのだけど、この二つのバンドに比べるともっと勢いがあってその代わりメロディアスさは減退している。ほぼシャウトで構成されたボーカルはなかなか歌詞が聞き取りにくい。コーラスは多めだが例えばライブで初見で乗れるようなキャッチーさはない。言葉で説明するととっつきにくい音楽性だけど、実際に見てみるとこれがひたすらかっこ良い。一つは(どうも独特のコード進行らしいのだが)構成と進行が明快でわかりやすい。ひたすらストレート。ドカドカ蹴り込むドラムにギロギロに硬質なベースが勢いを出してくて、ギターもそれに乗っかる形だがここがかなり凝っていて勢いに程よく感情の色を乗せている。つんざくようなソロ、中音域の分厚いトレモロ、実はかなり感情的だ。そこに乗っかるボーカルに再度注目してみると勢いの中にも。耳に馴染むメロディがある。演歌とまではいかないが哀愁のある儚いメロディ。それゆえに尖った強いメッセージ性も胸に突き刺さってくるのだなと思う。
KUGURIDOとのスプリットではさらにアルペジオを取り入れたりと時にグルーミィな叙情性を激しい曲に溶け込ませていくわけなんだが、なるほどその萌芽をこの音源でも聞き取ることができると思う。
既存の曲の完全なコピーをやっているのでなければ新しい要素の入る余地がないわけがない。温故知新に見えてこのバンドにしても必ず独自の要素が入っている。東京を一つの地方とすれば、それとは別系統の音を鳴らしているのがDIEAUDEを含む地方のバンドであって、それを体験する時に単にオールドスクールだというのはちょっと変だ。(まるで東京はその地点を通り過ぎて最先端だといわんばかりの傲慢さがある。)独自の進化系統にる、もう一つの可能性じゃんと思ってしまう。少なくともこのバンドにはそう思わせるかっこよさがある。ヤンキーが強いのはそう言った別の可能性の楽しさがあるなと思った。
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