アメリカ/ベルギーのハードコアバンドのおそらく10枚目のアルバム。
2013年にA389 Recordsからリリースされた。
1988年にアメリカ合衆国オハイオ州クリーヴランドで結成されたバンドで、今はベルギーに活動の拠点を移しているらしい。メンバーチェンジは激しいようだが、ボーカリストのDwid Hellionだけは不動。いわゆる生けるレジェンド的なバンドなのだろう。私もバンド名だけ知っていたものの聞かずにいたが、来日が決まったということで慌ててデジタル版を購入した。
およそ30年近く切れ目なく活動しているバンドということでその音楽性も変化しているのではないだろうか。このアルバムで初めて聴くからわからないが、思っていたハードコアとはだいぶ違ったスタイルの音楽をやっていて驚いた。
色々なスタイルはあれど基本スタイルというよりいわゆるプリミティブなものとしては、早い、重たい、そして無駄があまりないというところがあると思うけど、このアルバムに関してはそのスタイルの範疇には止まらない。メタルっぽいなというのが1周した時の印象。メタルというのはメタルコア(メタリックなハードコアという意味での)というのもそうだが、クラシカルなギターソロが結構多め。ロックンロールの影響を感じさせる短くてやたらと高音の聞いたやけっぱちなソロを決めてくるバンドは多いけど(同じレーベルのPulling TeethとかDeathwishのRise and Fallとか思い浮かんだ)、このバンドのそれはもっとハードロック〜メタルっぽい音がクリアで綺麗、そしてそれなりに尺(といっても長いということはないんだけど)をとっていることが面白い。じゃあメタルかと言われると全然そんなことはなく、曲によってはスラッシーに刻みまくってくるハードコアを演奏している。ただこれもオールドスクールのリバイバルというよりは、それを30年間やってたら変化するのが自然な流れだよね、という圧倒的な経験と進化を感じさせる独自なもの。ミクスチャーというとあまりよろしくない言葉かもしれないが、こういうった具合にハードコア(を基調としながら)とメタルを混合させるバンドというのはちょっと珍しいのでは。Dwid(読み方はデヴィッドなのかな)のボーカルは唸りあげるようなストロングスタイルで完全にハードコア。ボーカルには一切メロディを持ち込まないいさぎの良さ。単にメロディアスさを追求したいわけではない。ただ表現の仕方としてハードコアの外に可能性を求めたのだろうか。
全力で特攻するような前半と早弾きソロの後半が一つの完成系ではと思わせる「+Orrchida」、アコギとボソボソウィスパーからやはりギターソロで感情豊かさを表現する(後半はボーカルの登場頻度がさらに落ちる)「There's Ain't No Living In Life」なんかはこのバンドではなくてはできない曲だなと思って面白い。リユニオンでかつての曲をやるバンドと違って、最前線でずっと活動していたのがこのサウンドに現れているのだと思う。
来日するのは今年の10月初旬。こうなると俄然初期の曲もきになるところ。
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