解散したBOMBORIのメンバーらによって結成された新バンドGranule。2017年に音源「AURORA」をリリース。それに合わせていくつかのライブを主催。その中の1日に行ってきた。音源が良かったGranuleを見たいというのもちろんだけどDooomboysが個人的にとても見たかったのが決め手。
場所は渋谷Ruby Room。最近よく聞くライブハウスだが行くのは初めて。渋谷の道玄坂の手前?らへん。ライブハウス(もうちょっとこうイベントスペースという雰囲気でもあった)にしては珍しく2階にある。扉を開けるとどちらかというと狭いくらいのライブハウスだと思うんだけど、奥の壁が斜めになって屋根裏感がある。薄暗い照明や凝った内装も秘密基地めいていて狭いことを逆手に取った良い雰囲気の場所。なんとなく女性のお客さんが多かったのは場所のせいだろうか?
Friendship
一番手は待望の1stフルがいよいよ発売間近のFriendship。フロアにアンプが積み上がっている。ライブハウスが狭いのでいつもより密度がびっしりでアンプのすぐ前がドラムセット。ちなみにこの時点でもう結構人が入っている。Sunn O)))を思わせる低音が売りのバンドなのだが、この日はヒュンヒュン不安定に飛び回る高音フィードバックノイズが強め。多分新作からの楽曲を中心にしたセットだと思うが、曲中にもフィードバックを活かしていてちょっとした新機軸ではなかろうか。強烈な低音をソリッドかつ正確なドラムがビシッと引き締めている。ドラミングについても新曲はフィルインが多めでミニマルで非常にモッシーな曲をドラムが車輪になって重量感をそのままに回している感じ。どのパートもかっこいいが個人的にはやはりドラムに目と耳が行きがち。ただこの日ボーカルも鬼気迫る勢いでかっこよかった。
この日アルバムを先行発売していたのだが、特典付きのを予約していたので泣く泣くスルー。はよ聞きたいものです。
アンプの壁を除けると奥にステージがあったのか〜とちょっとびっくりした。多分アンプが多すぎてステージに乗らないからステージでやったんだね。
HIMO
続いては北新宿ハードコア、HIMO。ここからバンドはステージに乗る。名前は知っているが見るのも聞くのも初めてなので楽しみだった。メンバー4人のうち3人が坊主頭で、ちょっと他にない見た目のインパクトがある。かなり強面なので一体どんな音なのだろうか、きっとめっちゃ無愛想な日本的なハードコアに違いないと思っていたのだが、果たして実際は全然違って良い意味で期待を裏切られた。低音に偏向しない、非常に生々しい音を主体にフリーキーな楽曲。パワーバイオレンスとは全く異なるストップアンドゴー、というよりは休符、休止を強烈に意識した(恐らく、というのも音源は聞いたことないので)短い曲。ボーカルは勢いがあるが、節をつけて歌うというよりは言葉を早口にどんどんまくし立て、吐き出していくのでラップに聞こえる。曲が短く、反復やわかりやすい王道な構造性も希薄なので掴み所がない。爪弾くように引くギターは突然ギターとは思えない強烈なエフェクトをかけて引きまくったりする。パッと思い浮かんだのは54-71だが、シャウトも入るし曲がフリーキーだからむしろへんな例えだが、あぶらだこがRage Against the Maschineをやったかのようだ。つまりめちゃかっこいい。唯一無二の音であること自体難しいと思うが、それがかっこいいというのは奇跡めいている。見た目に反して熱く、血の通ったバンドだった。いい意味で本当に期待が裏切られた。そんな熱量がストレートに表れているMCも良かった。(ちなみにこの日まともなMCをやったのはHIMOだけ。)
音源を買ったが、メンバーの方はとても人の良い方だった。
Dooomboys
続いてはDooomboys。この日一番異色のヒップホップユニット。Wrenchなどで活躍するドラマーMurochinさんと、Think TankのメンバーでもあるBkack SmokerのBabaさんの二人組。電子ドラムを追加したドラムキットに、恐らくサンプラーなどを配線しまくった電子機器をBabaさんが操作しながらラップする。
Murochinさんがドラムを叩き、その上に上物を乗せてラップをしていく。この上物はジャズやダブ、ノイズをサンプリングし、音を加工し、ドロドロに溶かしたものを即興で再構築していくような技で再生というよりは再構成、生成されていく。音源に入っている曲もやったが、やはり生で再現するともっと生々しく少し様子が違う。ラップはエコーがかけられてすでに煙たい。電子機器でドラム音も入れたりするから、生のドラムとダブルになってそういった意味ではかなりテクノっぽい要素もある。よくもまあこう言葉が淀みなく流れ出ていくものだと感心する。非常に特徴的な声質だが、ライブで聴くとなめらかでかっこよかった。目配せで曲を制御するその様は即興性が強く、ゆえに二人のメンバーの間にはバチバチ火花が散るよう。Murochinさんのドラムはとにかく正確でタイト。だからヒップホップのフォーマットにぴったりはまる。マシンぽいドラムというとともすると批判的な文脈になってしまうが、とんでもない。めちゃかっこいいぜ。ヒップホップにしてはビートがかなり複雑かつ多様なんだけどまさにそこが二人でやる由縁なのだろう。黒煙に巻かれて非常に気持ちよかった。また見たいし、音源も新しいのを出して欲しい!12インチとかで新曲とか!
Granule
トリは東京のGranule。こちらは音源を聴いているからだいたいどんな音かわかっている、と思ったけど生で見るとかなり印象と違って面白かった。上背のあるメンバーは挑発も多くてこの日一番アングラメタル感出てた。音源を聴いた印象は長尺の強烈なスラッジだが、ワウを効かせたソロなどサイケデリックで地獄感と同時に煌びやかさもある音という感じ。ところがライブだともっと肉体的でおぞましかった。オールドスクールなスラッジをもっとでかい音で、もっと音の数を減らし、もっと一つの音を伸ばす、そんな音像。一撃をこれでもかというくらい強調するあたりはフランスのMonarch!っぽくもある。窒息するような緊張感も似ているがあちらは魔術的なドゥームだが、こちらはもっとハードコアっぽいスラッジ。ボーカルもどんどん喉があったまったのか最終的には低音、高音どちらも迫力が出て怖かった。途中で暴れる場面もあって音源よりよっぽど剣呑だった。しかしかっちりあったアンサンブル、何より引きずりのたうちまわるようなフィードバックノイズにその美学が込められており、無心に頭を振るうちにも退廃的な美しさを感じられてよかった。
ライブに行くと音源を持っているバンドでもそうでないバンドでも、大抵こうだろうな〜と思っていたことが違うので面白い。この日は特にそんなことが多かった。あと結構通ぶって楽器の方がきになる風でいるんだけど、最近はボーカルがすげえな!と思うことが多い。主催のGranuleに比べるとFriendship以外のバンドは結構音楽性が異なるんだけど、その違いが結果的にとても楽しかった。
あとHIMOとDooomboysの間に女性のDJが曲をかけていたのだけど、かかる曲がハードなテクノばかりでどれも非常にかっこよかった。全部曲名教えてくれろ!という感じ。
週末の渋谷には色々な人がいる…と思いながら帰宅。
2017年6月5日月曜日
2017年4月2日日曜日
Granule/AURORA
日本は東京のドゥーム/スラッジメタルバンドの1stアルバム。
2017年にBandcampでフリーダウンロード形式(NYPではなくフリー)でリリースされた。
2016年に解散したバンドBOMBORIのメンバーによって結成されたバンド。
Granuleというのは「顆粒」という意味らしい。聴いたことはないがBOMBORIの音源に同名の曲がある。
BOMBORI最終作となった3rd「we are cured, fuck you」の延長線上にある「今これをやるのかよ?」というくらいのオールドスクール・スラッジを展開している。ただ同じバンドではないわけで音の方にも結構変化が見られる。
ベースはGriefの系譜にあるようなひたすら低音に特化した、聴いているのが苦しいと言った趣のトーチャー・スラッジ。遅い。重たい。不穏なサンプリング。フィードバックノイズにまみれた一音をこれでもかというくらいに伸ばす、伸ばす。そこに金切り声のボーカルが乗る。それをだいたい10分越えでやるわけなので非常にとっつきにくいマニア向けの音楽になりそうなのだが、そのフォーマットの中でもある種のききやすさ、というより聴きどころか、絶壁におけるかすかな足がかりのようなものが設定されていて、オリジナリティに溢れたエクストリーム・ミュージックを展開している。
「we are cured, fuck you」ではEyehategodを思わせる疾走パートがあったが、今作でもはほぼその要素は生かされていない。明確にBOMBORIにけりをつけて新しいバンドを始める、という意思が感じられる。代わりに長い尺の中盤以降にワウを噛ませたサイケデリックなギターパートが大胆に導入されている。もともと地の音の数が多くないので、この組み合わせはかなり映える。殺伐とした漆黒の世界に異形の命の芽吹きが注ぎ込まれているようで、まさしくミュータントな生命力が付加されている。Griefなら「Dismal」の廃墟のアートワークなどが象徴するように概ね死と破壊に向かいがちなスラッジコア界隈では、Granuleのこのような蠢く生命の(暗い)躍動、というか蠢動を感じさせる楽曲はベクトルが逆というか、異質で非常に面白いのでは!と思う。そう言った感覚というのは他にも表れていて、長い尺の曲の他にイントロ、インタールード的な「Esoterica」、そしてアルバムのラストを飾る6分足らずの「Whale Song」。これらの曲に関してはヘヴィネスが抑制されており、かわりに空間系のエフェクトがかけられた模糊として奥行きのある風景である。女性ボーカルが導く「Whale Song」はソリッドなアコースティックギターと裏で響くアンビエントなドローンがあいまって絶滅した地球で生き残ったクジラが深海を一人でどこかに泳いでいくような、寂寞とした感じ。残響が想像力を掻き立てる音でそう言った意味で非常にクリエイティブだ。
Grief大好きなスラッジ・フリークなら迷わずだし、単に音の表現形式ではなくて感覚的にポスト系が好きな人も激音の向こう側にそんな精神を垣間見ることができるかもしれない。ぜひどうぞ。
2017年にBandcampでフリーダウンロード形式(NYPではなくフリー)でリリースされた。
2016年に解散したバンドBOMBORIのメンバーによって結成されたバンド。
Granuleというのは「顆粒」という意味らしい。聴いたことはないがBOMBORIの音源に同名の曲がある。
BOMBORI最終作となった3rd「we are cured, fuck you」の延長線上にある「今これをやるのかよ?」というくらいのオールドスクール・スラッジを展開している。ただ同じバンドではないわけで音の方にも結構変化が見られる。
ベースはGriefの系譜にあるようなひたすら低音に特化した、聴いているのが苦しいと言った趣のトーチャー・スラッジ。遅い。重たい。不穏なサンプリング。フィードバックノイズにまみれた一音をこれでもかというくらいに伸ばす、伸ばす。そこに金切り声のボーカルが乗る。それをだいたい10分越えでやるわけなので非常にとっつきにくいマニア向けの音楽になりそうなのだが、そのフォーマットの中でもある種のききやすさ、というより聴きどころか、絶壁におけるかすかな足がかりのようなものが設定されていて、オリジナリティに溢れたエクストリーム・ミュージックを展開している。
「we are cured, fuck you」ではEyehategodを思わせる疾走パートがあったが、今作でもはほぼその要素は生かされていない。明確にBOMBORIにけりをつけて新しいバンドを始める、という意思が感じられる。代わりに長い尺の中盤以降にワウを噛ませたサイケデリックなギターパートが大胆に導入されている。もともと地の音の数が多くないので、この組み合わせはかなり映える。殺伐とした漆黒の世界に異形の命の芽吹きが注ぎ込まれているようで、まさしくミュータントな生命力が付加されている。Griefなら「Dismal」の廃墟のアートワークなどが象徴するように概ね死と破壊に向かいがちなスラッジコア界隈では、Granuleのこのような蠢く生命の(暗い)躍動、というか蠢動を感じさせる楽曲はベクトルが逆というか、異質で非常に面白いのでは!と思う。そう言った感覚というのは他にも表れていて、長い尺の曲の他にイントロ、インタールード的な「Esoterica」、そしてアルバムのラストを飾る6分足らずの「Whale Song」。これらの曲に関してはヘヴィネスが抑制されており、かわりに空間系のエフェクトがかけられた模糊として奥行きのある風景である。女性ボーカルが導く「Whale Song」はソリッドなアコースティックギターと裏で響くアンビエントなドローンがあいまって絶滅した地球で生き残ったクジラが深海を一人でどこかに泳いでいくような、寂寞とした感じ。残響が想像力を掻き立てる音でそう言った意味で非常にクリエイティブだ。
Grief大好きなスラッジ・フリークなら迷わずだし、単に音の表現形式ではなくて感覚的にポスト系が好きな人も激音の向こう側にそんな精神を垣間見ることができるかもしれない。ぜひどうぞ。
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