Bong-Raといえば日本盤もリリースされるくらい本邦では知名度があるブレイクコアアーティストだが、彼は元々メタルバンドでベースを弾いていた事もあり生音を用いたバンドやプロジェクトをいくつかやっている。その中でもThe Kilimanjaro Darkjazz Ensembleというバンドではダークジャズという新しい音楽を追究していて、それはもう言葉通りに暗いドローンめいたジャズを演奏しているのだが、私はこのバンドがかなり好きで、関連するインプロゼーションバンドThe Mount Fuji Doomjazz Corporationも含めていくつか音源を持っている。ただGhzのインタビューを読むと(すごく面白いので是非どうぞ。)残念ながらこの一連のバンドは既に解散してしまっているそうだ。残念無念。ただ同じ志でもってJasonが始めたのがこのThe Thing With Five Eyesという訳だ。「5つ目のもの」のはなんとも恐ろしいネーミングだ。速攻デジタルで買った訳だ。
タイトルは「نور」アラビア語?と思ったのだがどうやらペルシア語のようだ。google翻訳すると「ライト」と出た。多分だから「光」という意味だと思う。違ったらすまないが。そういわれると納得感のあるジャケットのアートワークである。
ベースとなるのはゆったりと暗いジャズで、アンビエント、ドローンの要素を持つ遅いもの。やや中東っぽい雰囲気もある様な淡ーいメロディラインらしきものがたまーに水面に浮かび上がる。
忍び寄ってくるような軽くて乾いたスネアや、控えめに鳴るシンバルなどジャズっぽいドラム。ただ場所によっては手数が多くてブレイクビーツを分解して再構築した様な、または極端に速度を落とした様な印象があって流石Bong-Raと思わせる。ただあくまでも喧しさは皆無である。ベースは暖かみのある甘く重たいもので、こちら滑るようにスライドが唸る様な双方がジャズを思わせる。パートによってはこちらも非常に良く動く。ジャズと行っても勇壮や軽快なホーンは導入されておらず、代わりにつま弾かれるアコースティックギターやたまに跳ねる様なピアノが多用されている。やはりドローン要素が重要なプロジェクトの用で全体の背景を低音が支配している様な趣がある。柔らかくも重量感のある伸びやかな音がずーん、ぶーんと高くなり低くなり鳴っている。これが不思議なもので時には不安感をあおったり、時には勇壮な感じで曲を盛り上げたりする。
全体的にはやはりダークジャズという感じで暗いのだが、例えば1曲目なんかはピアノが表に出ていて結構聴きやすい。The Kilimanjaro Darkjazz Ensembleときもそうだったが、霧にような湿っぽい雰囲気があって、ゆっくり始まった曲がそれでも少し盛り上がってくるとその霧がすーっと密度を増してくるようで、これがとにかく気持ちよい。曲が終わるとそれがすっと無くなってしまう。まるで夢のよう模糊としているのだけど、例えば聴いていてねむくなる様な凡庸さはないのである。何度も聴いてしまいたくなる不思議な魅力が確かにある。
The Kilimanjaro Darkjazz Ensembleではボーカルが乗る事もあったが、今回は完全にインストのみ。完全にJason一人でやっている事もあってThe Kilimanjaro Darkjazz Ensembleとはやっぱり違うところもあるなと思った。個人的な趣向もあってか大変気に入りました。非常にオススメ。 マニアックな音楽なんで視聴して気に入ったらどうぞぞ。
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