2015年にRelapse Recordsからリリースされた。
バンド名「Myrkur」はアイスランド語で「闇」とのこと。2014年にデビュー。ワンマンブラックはこの界隈ではそこまで目を引くものではないのだろうが、女性となるとやはり事情は別で当時はそれなりに話題になったのだと思う。私は何となく今までのリリースはスルーしてしまっていたが、シングルカットされた楽曲が良かったのでアルバムを購入した次第である。
Amalie Bruunという女性が一人でやっているバンドなんだが、調べてみるとこのバンド(プロジェクト?)の前(ひょっとしたら同時進行かもだけど)は本名でアメリカで音楽活動をやっていたみたいでその頃の楽曲というのは結構ゆったりとしたポップい音楽であっておおお??と中々のギャップがあって面白い。元々ブラックメタルがやりたかったのかな?まあそこら辺は分からない。
1曲目は彼女の面白い音楽性を結構分かりやすく表現していると思う。クワイアというよりは民族音楽っぽいアカペラにリバーブをかけたものから、どんどん響く太鼓が印象的なこれもバイキングっぽい弦楽を取り入れたイントロ、一点イーヴィルな叫びが入ってギターが楽曲を導いていくオペラっぽいクワイアが入って盛り上げて、不穏なドローンで締め。いわばイントロ何だけど私こういうものです、っていう名刺っぽさがある。先達に敬意を払いつつも結構色々な要素を取り入れたブラックメタルという訳で、良く言えば新しいブラックメタルの形を提示しているし、悪く言えばいいとこ取りでちょっとまとまりが無い。
ブラックメタルのもつ陰惨なパートを土台に結構豊かな音色を取り入れるのが特徴でもって、分かりやすく言えば黎明期のメタルコアみたいにごりごり、メロディアスなサビみたいな。2曲とかは露骨にそんな感じ。ただわかりやすいサビだといかにもすぎるのでそこはペイガンっぽい民族間をやや神秘的なベールに包んだ様に押し出してくる。結構正直あざといな〜と思わせるくらいなんだけど、中々堂に入っていてまあこれはこれでと思わせる力量は持っている。色々取り込みつつも方向性を灰色に舵を切ったのは個人的には好印象で、女性らしさも活きてくるのではと。となるとつぎはぎ感はちょっと気になるところ。7曲目のスラッシーなイントロとかはちょっとむむ?という感じ。速さ(あるいは遅さ)と重さで勝負すると中々厳しいところがあるのかなと。4曲目の独唱っぽいインタールードとか6曲目のピアノとかは良いと思う。あとはコーラスワーク。なのでブラックメタル感は保ちつつそちら方面もうちょっと民族感、フワフワ感のあるフォークっぽさに舵を切りきっても良いのではと思う。個人的にはトレモロがメロい9曲目はわかりやすくポップなんだけどいっそこのくらいの方が好きです。
ちょっと意地悪な書き方をしてしまったかもですが、要素要素きらりと光るところがあると思うので、その面白い音楽経験を生かして次作以降に期待という感じでここは一つ。コマーシャルな存在と切り捨てる前に視聴してみるのはいかがでしょうか。
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