2017年3月4日土曜日

Code Orange/Forever

アメリカはペンシルベニア州ピッツバーグのハードコアバンドの3rdアルバム。
2017年にRoadrunner Recordsからリリースされた。
2008年にまだ高校生だったメンバーらにより結成。当初はCode Orange Kidsというバンド名だった。メキメキ頭角を現したのだろう4年後にはConvergeのフロントマンJacobのレーベルDeathwishから1stをリリース。バンド名からkidsの文字を消し去り、2014年には2nd「I Am King」をリリース。おそらくこのアルバムで幅広く知られるようになったのだろうと思うが、3rdアルバムのリリースがアナウンスされ、先行MVが公開されると結構盛り上がりを見せていた。私は2ndから聞いている。Roadrunnerの音源を買うのはかなり久しぶりだ。

明らかに同じテイストで作られたアートワークが象徴しているように前作を踏襲した作りになっている。プロデューサーは前作から引き続き売れっ子Kurt Ballou。Convergeとは音の種類はだいぶ違うが、メタリックに武装したハードコアという意味ではやはりその影響は大きいのではないだろうか。音はクリアで重低音はすでに強烈だった前作からさらに強化されている。
事前に公開されている2曲はもうほぼメロディといったものが排除されている。リズムでできているというとダンスミュージックになるのだろうが、それは例えば4つ打ちのわかりやすさなんてものはないわけで、走ったと思ったら止まる、これはハードコアでは割と一つの方法として大雑把に確立されているわけだけど、それを割と長いスパンでやるとパワーバイオレンスみたいになるけど、最も次回スパンでぶった斬りにやるとCode Orangeみたいになる。要するにつんのめるようなあの特徴的なリフだ。昨今いろんなところで耳にすることも多いが、Code Orangeはその使い方がうまい。リフ自体はかなりシンプルに削ぎ落とされているなと思う。せっかく作るんだから装飾性を音の数やメロディに籠めてくる作り手は多いし、それは多くの場合歓迎すべきことなのだが、逆に無慈悲に削ぎ落として異常なリズムで演奏するとまた別のかっこよさが生まれてくる。
そうかと思えば曲間の不穏さを演出するためにノイズも導入している。例えばFull of Hellのようにノイズを楽器の一つとして前面に出してくるのではなくあくまでもバネのような強靭な筋肉を補強するためにしようしている。言い方は悪いが結構あざとい、というか単なる脳筋っぽく見えるが実はそうではない。コマーシャルになっているかというとそうでもなくてそれが分断された曲に現れている。というのもこのバンドはハードコアの塊みたいな曲と妙に不吉なメロディが主役になる曲を同じアルバムにぶち込んでくる。前作でいうとMVも作られた「Dreams in Inertia」なんかもそう。両者を融合させるのではなくもうアルバムを分断している。この思い切りの良さはいいなと思う。どちらの曲もかっこいいので。ここら辺はほぼ同じメンバーでやっているオルタナティブ・ロックバンドAdventuresでの経験が活かされているのかなと思う。ちなみにAdventuresはとてもかっこいいのでこのバンドが好きな人は是非どうぞ。

バンド名からKidsを取ったのは単に歳をとったからというより、若いという色眼鏡で見られたくないという覚悟からだろうと思う。自ら「王」と称する前作のアルバムを聞けば歳を感じさせないサウンドで、それは今作もそうだが1曲めで高らかに(すごい低音だけど)「Code Orange is Forever」と歌うあたりにまっすぐさを感じられるなと思った。手っ取り早く格好いいハードコア聞かせろ〜という人の手にそっと握らせたいアルバム。

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