アメリカはカリフォルニア州オークランドのハードコアパンクバンドの1stアルバム。
2015年にイタリアのAgipunkというレーベルからリリースされた。
4人組のバンドでBandcampによるとヴィーガン(菜食主義)でストレートエッジとのこと。ボーカル含めて女性が2人在籍している。
アルバムのタイトルを翻訳すると「私は死ぬ準備ができています」と出る。アートワークは魔女裁判で火炙りにされている女性。
D-Beatハードコアと自称するくらいのオールドスクールなハードコアをプレイするバンド。全部で11曲で17分。長くても2分ちょいで大体1分台。疾走”感”って実際には必ずしも速度にイコールなわけではないと思うんだけど、このバンドの場合はD-Beatを主体に据えてその疾走感を演出している。もちろん遅いわけではないのだけど、じゃあファストコアばりに早いのかというとそうでもない。きっちり演奏の妙もバリエーションも詰め込める余裕のある”速さ”で勝負している。素材の音がかなり生かされたジャカジャカ感と厚みのあるギターに、非常によく動くベース(どうやらもう一人の女性はベース担当みたい)がツタツタ刻んでいくD-Beatに伸びやかに曲を織りあげていく。
ボーカルはほぼほぼ叫びっぱなし。いい感じにかすれた声だが女性のそれだってわかる。一緒にEP(2014)も買ったんだけどちょっと声質(録音状態かも)が変わっている。このアルバムの方が高音が強調されているかなと思う。
メンバーの半分が女性な訳なんだけど、じゃあ女性特有の〜というのがあるかというと音源を聞く限りはあまりそう行ったのは感じられなかった。分かりやすくメロディアスな訳でもないし、女性らしいボーカルの取り方もほぼなし。Oathbreakerみたいにフロントマンが女性であることを強みしている感じとは正反対だし、再結成したらしいGorilla Angrebみたいにそこはかとないミクスチャー感(かわいい感)はなくてよりハードコアだし。ハードコアバンドを組んだけどメンバーはたまたま女性だったくらいの感じ。ひたすらストレートを信条とするバンドらしく、いやらしいフックがない。EPのアートワークも女性が登場するし、性差については結構重要なファクターっぽいが音楽的には女性らしさはおそらく敢えてカットされているのでは。ハードコアという(おそらく)男性的なフィールドで一個のバンドとして勝負していく、という気概の表れだろうか、気迫めいたものを感じてそういった意味でも気合の入ったタイトルも納得感があるなと思う。
ちなみにEPから先に聞いたんだけど、このアルバム序盤だけ聞くとEPの方がいいかな?と思ったんだけど後半えらいテンションが上がってくる。普通冒頭にキラーチューン持ってきそうなもんだけど、このバンドは圧倒的に後半に入ってからの方がかっこいいと思う。
なんだか女性+ハードコアというのがトレンドなのかな?そんなことない?わからないけどそのフォーマットでも色々違うことをやるバンドがいて(当たり前なんだけど)、面白いなと思う。いわば女性の特異性があるわけでこれも男性優位社会の考え方なのかな…とか思う。まあそこらへんは置いておいてかっこいいハードコアバンドなので気になった人は是非どうぞ。
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