2017年3月25日土曜日

Fall Silent/Drunken Violence

アメリカはネヴァダ州リノのハードコアバンドの3rdアルバム。
2002年にRevelation Recordsからリリースされた。
1994年に結成されたバンドで3枚のオリジナルアルバム、その他の音源をリリース。2003年ごろに解散したのだが、どうも最近再結成したようで7インチを15年ぶりの2017年にリリース。それが話題になりバンドを知った私がなんとなく買ったのがこのアルバム。新作のEPは聴いていないです。

酒ビンを呷る兵士が運転する戦車(馬で動くやつ)が天使をひいているものや、同じく酔っ払いが酔いつぶれているのかと思いきや自分の頭をでっかい銃で打ち抜いているものなど、なんともファニーかつ不穏なアートワークが大胆に使用されている。タイトルは「酔っ払った暴力」、なんとも嫌な結果しか引き起こさなそうな言葉だ。
中身の方はというとハードコアなんだけどかなりメタリック。90年代〜00年代の音だからもちろんハードコアといえど明確に音楽としてのメタルから影響を受けているのは珍しくないのだけど、このバンドはかなりメタリック。どこかというとギターの音が。艶のあるソリッドな音に仕上げられていて、ハードコア特有のざらついた荒々しさがあまりない。それがとにかく刻みまくる。当時の特有の音の質感もあってスラッシュメタルみたいにグイグイ刻んでくる。グルーヴというかひたすら高速に刻んでくる。勢いがあるのが醍醐味だったスラッシュメタルにしても色々な多様性を技巧でアピールしてきたんだろうから、ここまで極端なのは個人的にはジャンルに関係なく新鮮に聞こえた。どっちかというと速さと重さを追求したオールドスクールなデスメタルっぽさも感じられるかもしれない。そういった身ではメタルの音をハードコアのテクスチャに貼り付けた(コピペって意味ではないです)のかな?って気もする。というのも、まとめて聞くと(デス)メタルっぽくは聞こえないのだ。これはハードコアだなとわかる。ギターがメタリックなのだけど、軽く抜けの良いドラムと、ゴロゴロ尖ったベースはハードコアの香りがするし、何より甲高いボーカルはメタルにはあまりないのでは。メタルのとにかくハイトーンなそれとは違う。声がクリアなので時に非常に幼く聞こえる。順序が逆だけど現行の日本のハードコアバンドShut Your Mouthのボーカルに似ている。メタル要素を「貼り付け」たというのはギター以外もあいまってハードコアでまとめられているから。ミクスチャー感、ごった煮感はあまりない感じ。跳ねるような縦ノリ。速度の頻繁な変更(例えばパワーバイオレンスなど現行の激しい音楽と比べるとその以降は非常にスムーズ)など、ハードコアの醍醐味がこれでもかというくらい曲の中に詰め込まれている。
ここら辺の多ジャンルの要素を取り込みつつ、どこまで行ってもハードコアというのはやっぱりニュースクール・ハードコアという感じがする。
ちなみにアルバムの中でも異色なHeartというバンドのカバー曲「Barracuda」ではバンドのメタリック成分をややユーモアを交えて誇張して表現しているようでそこら辺も面白い。(ただ結構原曲に忠実。)

ちなみにブックレットのノーサンクスリストには「テレビゲーム」とか「Puff Duddy」とかあって面白かった。「アル中」ともあるから結構厳格なハードコアなのではと思う。かなりかっこいい。新作も聞いてみるつもり。

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