2016年10月9日日曜日

Trap Them/Crown Feral

アメリカはマサチューセッツ州ボストン、ワシントン州シアトルのハードコアバンドの5枚目のアルバム。
2016年にProsthetic Recordsからリリースされた。
前作「Blissfucker」から2年ぶりで私は今作と前作のみ聴いたことがある。
2001年に結成されたバンドで、バンド名は映画からとったとのこと。今作のタイトルは「野生の王冠」かな?

ジャンルとしてはクラスト・ハードコアという事になるのだと思うが、北欧デスメタル、いわゆるスウェディッシュデスメタルに影響を受けた音楽性が特徴的。調べてみると元々スウェディッシュデスメタルはハードコアパンクに親和性を持ったジャンルらしい。また特定のエフェクターを用いた独特のギター音が特徴で、勿論このTrap Themもそんな特徴を持っている。
糜爛した金属みたいな汚い音のギターはハードコアとメタルの良いとこ取りで、疾走する弾き倒すリフト刻んでくるリフを織り交ぜてくる。低音一辺倒かと思いきや良く伸びる中音〜高音フレーズやらやけっぱちな短いソロも入れてくる。
ドラムはとにかく回転が良くてどんな速度でもリズミカルにビートを刻みつつもう一音くらい足してくる印象で、ブラストやらD-ビートやらでも乾いた重量のある音で気持ちがよい。シンバルをキンキン鳴らすのも結構多くて個人的にはかなり好き。結構ドラムを追って聴いていると同じ曲中でも速度を頻繁に買えるのもそうだし色んな事をやっているのが分かる。速度を上げるにしても(ゆっくり)スタスタ、(速く)ズダダダダみたいに疾走前に印象的なフレーズを入れて来てそこがかっこいい。
曲中に速度を頻繁に買えるのはこの手のジャンルでは珍しくはないが、分かりやすく低速モッシュパートみたいのや、頭良さげなドゥームパートとかは一切無しなのも良い。徹頭徹尾ハードコアという感じで。非常に真面目でおもねらないタイプ。
攻撃的ながらどこかしらグルーミィな雰囲気があって、そこに向かって引きずられていくように引っ張られる様な暗さがあって、それがアコースティックだったり、キャラキャラした高音リフだったりに垣間見えて、ハードコアの男らしさと意外に良くあって良いと思う。
個人的には中盤の高音で歌に絡んでくるギターが印象的な2曲目「Helluionaires」とか、明快なパンキッシュリフがストレートにハードコアな9曲目「Stray of The Tongue」とかがお気に入り。

まったり濃厚なジャケットのアートワークはメタル的だが、過去作は結構ハードコア的だったりもする。アウトプット的にはやはりハードコア的な様式になっていると思うけど、メタルの要素を非常に上手く飲み込んでいるので、どちらのジャンルのファンにも訴えかける様なきがする。そういった意味では音楽的には結構違うけどConvergeにちょっと似てるかもと思った。

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