2016年7月10日日曜日

NAILS/You Will Never Be One of Us

アメリカはカリフォルニア州オックスナードのパワーバイオレンスバンドの3rdアルバム。
2016年にNuclear Blast Recordsからリリースされた。
NAILSはロサンジェルスで活動するハードコアバンドTerrorに在籍していたTodd Jonesと同じくロサンジェルスで活動するこれまたハードコアバンドTwithing TonguesのTaylor Youngが中心になって結成されたパワーバイオレンス/グラインドコアバンド。
上記のTwitching Tounguesと一緒に来日にしたこもあって私も見に行ったりしました。その時は髪の長くて線の細い革ジャンに身を包んだ(Theメタラーという感じの)選任ギタリストがいたのだが、彼はその後脱退したようで現在は3人体制のようだ。
このアルバムのプロデューサーは売れっ子Kurt Ballou。何とも粗野でとにかく荒々しいアートワークは一人ブラックメタルバンドLeviathanのWrest(WHTHD名義)の手によるものとの事。シングルカットされているタイトル曲にはConvergeのJacobやNeurosisのScottも参加している。(各人一分だけだけど。)良い話じゃないですか。(つまり絶対に良い話じゃない的な意味で)

10曲で21分。ラストの1曲は8分あるからその他の曲はだいたい1分かそこら。とにかく猛スピードで突っ切るタイプの爆速バンド。選任ギタリストが不在ということでやけっぱちなソロはさらにコンパクトになり、その代わりに非常にノイジーな高音は増加。全体的には引き続き低音に振り切った真っ黒い音。ミュートを用いたリフはリズミカルに刻まれ、良く動くベース、強烈なアタックのドラムと相まって真っ黒い嵐の様な様相を呈している。ブラストもありつつ緩急付けた楽曲はスラッジの要素も強く、パワーバイオレンスのきな臭い香り。いわばメタリックに武装した非常にタフなハードコアと言った趣。高速と低速を神経症的に行き来する様はまさにバイオレンスの一言だが、間となる中速もどっしり構えた弦楽隊と、タンタンと打ち付ける口径の大きい機関銃の様なドラムがひたすら首を振らせてくる無慈悲なシステムでブルータルな事この上無し。
「俺らの苦痛はおまえらのそれではない」とポーザー(震えております)に叩き付けるような刺々しくヒリヒリした詩が突き刺さる呵責のない音楽性は、バンドがロゴ的に使っている鉄条網に囲まれた犬のドローイングにぴったり。めくれ上がった口に並ぶ歯が聴くものの首に深く食い込む殺傷力の高さ。英語力がないので何とも言えないのだが、歌詞をざっと見ると「God」などの単語は見当たらず、より身近な問題を身近な言葉で綴っているようだ。怒りに満ちたそれは現実的に力を持ち、血が通っており、彼らのハードコアなスタンスを表現しているのではなかろうか。

誤解を生んでしまうかもしれないがより排他的になった。ここまで来ると孤高という感じで、私の様なミーハーなリスナーが「わかるわかるよ」というのははばかられる。だがその毒性に意識を持っていかれてしまう楽しさがある。彼が釘ならきっとそれは錆びているのだろうと思います。非常にかっこ良し。オススメ。

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