2016年にDeathwish Inc.からリリースされた。このバンドの事は全く知らなかったのだが、Deathwishからのメルマガで紹介されていてMVも作られている「Purge」を聴いたらとっても良かったので購入。Bandcampでデジタル版!
2011年に結成されたバンドで今までに1枚のアルバムと複数のEPやスプリットをリリースしている。アルバムのsmotherというのは窒息死させるという意味の動詞のようだ。タールの様な黒い海から指が飛び出ているアートワークはまさに窒息死を象徴的に閉じ込めているようで不吉だ。
音の方はというと非常にエモいハードコア。wikiのジャンルはスクリーモになっている。かつて一世を風靡したジャンルではあるが私はほぼほぼ聴いてこなかったから、その系譜の最先端にいるこのバンドを包括的に見れてはいないのだと思うが、思った事を書いていく。(このブログは感想を書くブログだ。レビューとはちょっと違うんだ。申し訳ない。)
まずエモとはエモーショナルの事だと思う(違ったら恥ずかしいな)、一体この世の音楽にエモーショナルでないものなんてあるのだろうか。何かしらの感情の発露としてはじまった(と思うんだけど)歌が情熱的でないなんてちょっと考えられない。電子音で飲み構成された冷徹なミニマルテクノがあそこまで人を熱狂し、踊らせるなんて私はいつも不思議でそして面白いと思っている。もちろんミニマルテクノもエモーショナルだ。そんな音楽で敢えて感情的というのがエモだ。
まずFrameworksでいうとその溢れ出る感情をボーカルが良く表現している。叫んでいる。常に叫んでいる訳ではない。激しさ自慢じゃあないのだ。このジャンルは。あくまでも感情があって、だからムラがあってしかるべきだし、気持ちが高ぶってくると声がのどに引っかかってくる、掠れてくる、そして叫ぶ!この走る感じ、これが良い。常に叫んでたらそれが普通になってしまう。
次にギターの音が情熱的だ。一人がガシャガシャした生々しい音でコード感のあるバッキングをかまし、それは時にトレモロ奏法を大胆に取り入れほとばしる感情を途切れない事で表現している。非常にポストハードコア的だ。そこにこれまたクリーンめな細かい音が乗ってくる。まるで晴れた日の湖の水面のように煌めいている。ミラーボールのギラギラした感じではない。陽炎の様な、思い出の一日をとらえた写真、そいつが動き出した、そんな感じの優しさ、そして切なさだ。ノスタルジー、郷愁といっていいい。思うに少なくともこのバンドにはそういった懐かしさの要素がある。郷愁だから多分過去を見ている。だからちょっと後ろ向きだし、同時に甘い感じがある。視線の先のそれはもう過ぎ去っているからだ。
Deathwishのバンドは大好きだ。彼らは激烈な音をならす事が多い。それはとてもカッコいいが非日常でもある。一方このFrameworksのならす音はある意味では地に足がついている。クリーンなトーンも感情的な振れ幅があるボーカルも、毎日に立脚している感じがある。
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