アメリカはカリフォルニア州ロサンジェルスのスラッジメタルバンドの3rdアルバム。
2016年にRelapse Recordsからリリースされた。
タイトルの「Ezekiel's Hags」は恐らく旧約聖書のエゼキエル書のことではなかろうか。そもそも眠りの七姉妹というバンド名もカッコよくて好きなんだが、これも何か由来があるのだろうか。七姉妹というとプレイアデスがでてくるのだがひょっとしたらこれが元ネタなのかもしれぬ。
2ndアルバム「Opium Morals」が日本でもかなり評判だったので購入して好きになり、その流れで購入。私が買ったのはデジタル版。
方向性としては2ndの時とは変わらず、荒々しい極悪スラッジメタルをプレイしている。うざい言い方で申し訳ないのだが、1曲目「Jones」を聴いた時にこれはとんでもないかも、と思ってしまった。どこがというのが難しいのだが基本的に前作からすべてがパワーアップしている印象。記事を読む暇があったら今すぐ買ってほしいのだが、まあ自分なりにここがすごいんだよ、というところを書いていきたいと思います。
音質はクリアで楽器の分離も気持ちよい、ややこもった感じがするけどひたすらアングラ臭ただようスラッジなのでむしろ丁度良いくらい。
この手のジャンルにしては曲は長くなく(短いという訳ではないはず)3分から4分。思ったのだけどこのバンドのすごさは徹頭徹尾仮借ないはずなのに非常に聴きやすい。別にポップでも何でもないのだが。ひとつは曲の尺も沿うだろうし、たとえば曲の展開がそこまで複雑ではないのもあるかもしれない。さらに曲のフレーズやギターのリフが非常に明快にキャッチーである。スラッジ特有のタメのあるグルーヴィさ、そして引きずりたおしたような唸りのあるリズムは非常に頭を振るのに適している。
曲の速度は中速程度なのだが、曲によってはドラムの手数がぐわっと増す疾走パート(それでも速くはないのだが体感的には大分違う)を導入していてこれが鬱屈した雰囲気の中でも不思議な清涼感が、いや清涼感は無いですね。でもカタルシスになって気持ちよい。
ボーカルがすさまじく、明らかに迫力が増している。べつに歌が上手くなったとか(そもそもわかりやすいメロディーなんて無いので)、色々なオクターブで声が出せるようになったとか、全くそんな事はなく。相変わらず噛みつくように歌っている。このしゃがれたのどをしぼる様な歌い方はなるほどスラッジ特有のものだが、誰かに似ているかというとかなりオリジナリティがある。ちょっとつぶれた様な危うさがあって(後ろに伸びるシャウトはいかにもささくれ立っていて滅茶カッコいい。)、それが自暴自棄な歌い方にぴったりハマっている。ギャーギャー叫ぶのと、低音でごろごろ唸るような歌い方があってそれぞれドスが利いている。
濃厚な煙の向こうで繰り広げられる地獄絵巻めいていて完全にどうかしている。殺気に満ち満ちているのだが、スラッジ特有の放心した様な悪意のある停滞があってそれが殺伐とした雰囲気の中で不思議な気持ちよさを生み出している。低速でビリビリしたフィードバックに脳みそがしびれる。完全に悪い振動。
2ndもヤバかったけど余裕でその上を行くスラッジ地獄。まさに大胆不敵でもはや笑みしか出ない。とにかく荒涼としてもはや手遅れですという感じなので、現実が辛い人の手にそっと渡してあげたい1枚。優れた特効薬、さあいますぐ買うのです。
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