2016年1月23日土曜日

Blanck Mass/Dumb Flesh

イギリスはイングランド、ブリストルのテクノプロジェクトの2ndアルバム。
2015年にSacred Bones Recordsからリリースされた。
Blanck Massはイギリスの2人組エレクトロニックグループFuck Buttonsの片割れBenjamin John Powerによるソロユニット。聴くのはこのアルバムが初めてで勿論Fuck Buttonsも聴いた事が無かったが、こちらもよそ様の2015ベストに入っていたのを視聴して気に入り購入。全くこの時期は本当に人のベストを見て音楽を買うマシーンと化している、いつも以上に。

音的には電子音で構成されたテクノ(余談だが電子音で構成されてもテクノにならない音楽が今ではもう余裕で作れるようになっているんだろうね。)ってことになるのだろう。ふっといビートの上にうわものがのっかるのは大まかにいって確かにテクノ的だが、聴いた印象はかなりロック的なアプローチで曲が作られている。ミニマルテクノの逆を行く様な饒舌さがある。はっきりとしたボーカルが入らない事、それから曲を構成する音がはっきりそれと分かる電子音である事、逆にそれらの要素をのぞくと(それらの二つが超重要な訳だけど)、曲の構成は曲によって結構ロック的だ。別にAメロがあって、サビがあるとか、そういった訳でもないのだけど、曲によっては結構明確に展開があって曲はその姿を変えていっている。それからメインとなる音自体が結構分厚くてシューゲイザー的な要素もちょっとあって、その豊富な粒子で持って空間を埋めていく様な趣がある。他の音もテクノにしては感情的というか豊かで血が通っている(それゆえ不気味でもある)暖かいものが多い。
ビートがはっきりしている分踊れる音楽ではあるのだろうけど、結構実験的な要素もあって面白い。一つは音自体が面白くてエフェクトをかけて溶解させた様な人の声だったり、結構露骨にノイズだったりを大胆に曲に用いている。それがコラージュのようなごった煮感であったり、飛び道具的な使い方ではなくて、それらの良くも悪くも強烈な音をキチンと分かった上で曲に組み込んでいると思う。だから実験的であっても曲自体は奇抜というよりはもっとしっかりしている。小器用というよりは、技術の革新によって溢れ出している音から効果的に自分の武器を選んで使っている印象だ。
前述の声のサンプリングもあって露悪的とは言わないが、奇形めいたところがあってこれは好みだろうが個人的には結構好きだ。(アートワークにもその精神が遺憾なく反映されている。)特にやっぱり2曲目は完全にキラーチューンだろうと思う。ねっとりとした嫌らしさはあまりなくてもっとからっとしている。ちゃんと人を踊らせる音をつくるぞ!というコンセプトがあるのかもしれない。

「しゃべらない肉」というタイトルは結構面白い。一つはタイトル通り肉体的な音で構成された肉体的な音楽である事。それからタイトルに反して非常に饒舌である事という観点で。ロック好きな人にも余裕でお勧めできる不気味でありつつも楽しい音楽。

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