日本は東京都中野区(新井薬師一万尺と書いてあるので多分)のハードコアバンドの1stアルバム。
2018年にBandcamp上で自主リリースされた。
4人組のバンドということしか分からない。1枚目のアルバムからグレイテスト・ヒッツとはなかなか人を食ったタイトルだと思う。なんでもiPhone4台で録音されたとのこと。(どうやって取ったんだろう?楽器別に別々に取ったのか?ひょっとして同時に取ったのだろうか。)
録音方法がそんなわけだから非常にロウだが、スカムというほどではなく耳には痛いのが(このバンドに興味を持つ人なら)全然聞けるレベルだと思う。練習スタジオの部屋にお邪魔して聞いているみたいに生々しい。(曲によってはアウトロ的に演奏の出来に言及するメンバーの声が入っている。)ギターは高音が強く出ているけど、その分ベースと分離しているので役割分担という感じで良い。
1曲めに「First Song」、他にも「骨Against」「PAJERO」(若い人はわかるのだろうか)など各曲のタイトルもユーモア溢れるもの。中身の方も全力でふざけているのだろうが、何もシリアスなだけがリアルなわけではない。ある意味ではメッセージ性の強い重たいバンドを揶揄しているようでもある。メッセージ性が強いだけがハードコアなのか?そのメッセージは誰かに届いているのか?という。
テンションの高さとボーカルの低音具合もあって初めはSpazzを連想してしまったけど、よくよく聞いているとかなり趣は異なる。ショートカットを連発するパワーバイオレンスといよりは、短く速いけどよく構成が練られたハードコア・パンクという感じ。最初っから最後まで劇速も良いのだけど、体感速度でコントロールするのも非常に良い。説教コアみたいなやり口や、ワウを噛ませたギターが胡散臭い偽ファンク調など、積極的に脇道にも逸れていく。引き出しの多さを披露するというよりは単純にふざけているようでもある。どうしても一発どりしたかのような音質と、ユーモアセンスと、勢いに乗せられて騙されてしまうのだが、単に既存のハードコアのファニーなパロディではない。足腰が強いと言うか、ドラムの叩き方はシンプルだけど、バリエーションがあってまたガチャガチャした音像の中でひたすら抜けが良くて爽快。そこにミュートを使ったギターが乗って、存在感のあるベースが絡んでくる。まず自分たちが演奏することに楽しみを見出している、と言う感じがして、それは最後の「Burn"em All」によく表れている。真偽のほどはわからないが、おおよそ2〜3時間くらいひたすら同じフレーズを反復しているそうだ。このフレーズも思わず口ずさんでしまうほどグルーヴィだから、ここに単にファニーという以上の面白さがある。
BabdcampでNYPで公開が再開されているので気になっている人はこのアルプスに登頂してみはいかがだろうか。
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