2017年にMatador Recordsからリリースされた。
元Kyussのなんていう言葉はもはや不要になっているJosh Homme率いるロックバンドの最新作。ビルボードで3位、英国では1位、iTunesでは日本含む各国で1位になっているらしい。要するにとても売れている。この夏にはFujiRockに出演して大いに聴衆を沸かせたそうだ。
元々私は学生時代に友達から教えてもらったのが知ったきっかけ。「Songs for the Deaf」の頃で「Go with the Flow」はいいけど、友達が押している「No One Knows」はそこまで…って感じだった。(当時はグラインドコアとかを好んで聞いていた。)それがなんのきっかけかは忘れたけど再発された1stを買ったらこれにハマって、結局アルバムを買い揃えることになった。なので新作出たら買うぜとなったわけ。
プロデューサーにMark Ronsonという人を迎えていてどうもそれが結構な驚きとともに迎えられたらしい。私は知らない人なのだが調べてみるとヒットチャートによく出るような音楽を主にプロデュースしている人らしい。QotSAはいってもその出自はアンダーグラウンドであるから、そうやって表舞台の仕事をこなしている人を起用するというのは結構意外な出来事だったのかと思う。
さて多分山崎さんのサイトで見たのだと思うけど、JoshはQotSAの音楽をストーナーと評されるのをたいへん嫌っており、ロボットロックだよ!と彼の作った言葉で読んでくれといっているらしい。このロボットロックというのは機械的にという意味で確かにリフをリフレインしていく様はロボットのようだ。QotSAは面白いバンドでどんどんメジャーになっていく(というか私が知った3rdの頃は(その時点でKyussは知らなかった)とっくにメジャーなバンドだったんだけど)けどどこかのアルバムの時点で強烈にその音楽性を変えたわけではないけど、自然に少しずつ洗練されていって表舞台に出てきた、というイメージが有る。私は1stでハマッているから懐古主義者というわけではないけど「Avon」や「The Bronze」(ギターソロがめちゃかっこいい)、それから一番が「In the Shade」(ちなみに歌詞もすごく良いのだ)ってな具合で昔の曲のほうが好きかも。そんなもんで長くなってしまったけどもうロボットロックではないかな〜なんて思っていたのだが、いざ買って聞いてみると「Feet Don't Fail Me」のイントロなんてまさにロボットロックじゃん!音こそ初期のそれとは違う軽くて乾いたものだけど、まるで戯画化された工場の流れ作業を視覚的に聞いているようだ。
Joshはもっと光の中に出ていきたかったのかもしれない。7枚というアルバムの中で初期のこもって埃っぽく重量感のある、いわばストーナーの幽霊というか呪いを引きずった音(私はこの音も超好きなのだが)が徐々にJoshとバンドから落ちていき、そして残ったのが、もっと普遍的に”楽しい”(このバンドは暗い曲はいっぱいあるけど陰鬱とまで突き抜けた、あるいは落ち込んだ曲はないし、アルバムで見ればどれもやはり楽しい。)ビートがそのままリフになり、それを繰り返していくような”ロック”が残ったのかもしれない。「悪者たち」というタイトルには「ロックって悪いものでしょ」というJoshの思いが込められているとのこと。このアルバムの音は枯れたように軽く、ゆったりとしており、そしてとにかくJoshの声は演奏に縛られないくらい(音を軽くして更に歌が自由になった印象)自由だ。楽しくて、しかしでもやっぱり鈍く光るロックのかっこよさがある。それは枠にとらわれない”悪さ”でもあるのだ。演奏はソリッドだが、歌う声の艶もあって出来上がった局は非常に幻想的で浮遊感すらある。ソリッドでかつ浮遊感があるのだ。この相反する2つの要素を徐々に完成させていったのがQotSAなのだ。バンドからしたらこれはまだ通過点だろうがそれでもやはり初期から聞いていると、その進化っぷりにすげーなと思わせる。革ジャンをきて荒野を歩く大きい背中のJoshのバンドの最新作である。かっこいいぜ。
ハーメルンの笛吹き男のように男の子(と女の子)を惹き寄せてやまないQueens of the Stone Ageの新作。ロックが好きな人は是非どうぞ。おすすめ。
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