2004年にVictory Recordsからリリースされた。
Martyr A.D.はこの間紹介した同じくミネアポリスのハードコアバンドDisembodiedが解散後に、楽器隊(ギター、ベース、ドラム)の3人が新しく1999年に始めたバンド。残念ながら2005年には解散してしまっている。(かわりにDisembodiedが再結成している模様。)Disembodiedがかっこよかったので買った次第です。
いわゆるメタルコアというジャンルに属するバンドで、この場合のメタルコアその名の通りメタルとハードコアをくっつけた、1990年台後半にアメリカで勃興した音楽のことを指す。とにかくガッチリ金属質に武装したギターが装飾性のない鉄塊のようなリフを刻みまくるハードコアで、ハードコアの一つの信条であるスピードを犠牲にしてでもハードコアにはなかった重さを獲得しにいっている。メタルにありがちなこってりとした様式美はなく、良くも悪くも形を強引に拝借してきたようなストレートなブルータルさが特徴だろうか。どうしてもメインストリームに躍り出た激しい演奏と一点メロディアスなサビの対比が思い浮かんでしまうが、このバンドはそのようなキャッチーさとは無縁。
Disembodiedと何が違うかというとブルータルながらひたすら内にこもるような陰鬱さ、暗さがあったそちらと違って、どう聞いても明るいとはいえないのだがそれでもやや外向きに開かれた音楽を演奏しているのがこちらのバンド。なので聞きやすいというかとっつきやすいのはこちらかな?と思う。ボーカルは前バンドから人が変わっていてこの人は基本的にほぼスクリームしかしていない。いい感じに汚さのある荒々しいボーカルはやはりハードコアで、Disembodiedのボーカルの用いていたボソボソクリーン(ほぼ聞き取れない)のような技は使わないのでもっとピュアで攻撃的なハードコア。ほぼリズムだけで構成されているような、低音プラス(おそらく)ハーモニクスを聞かせた超高音の対比をバリバリに聞かせたモッシュパート(尺的には結構短い)も健在というか、より磨いてきていて、その他のリフもハードコア文脈的にひたすら攻撃的なので自然と体が暴れだす危険な音楽になっている。基本的には圧殺するような低音リフを中速で刻みまくり、曲によってはツーバスを踏んだりしてかなりデスメタリック。中音厚みがあり抜けのあるドラムの音と、ギロギロしたベース、吐き捨て型のボーカルでハードコアらしさを保っている。曲の方もよくよく練られているものの(テンポチェンジだけでない展開の妙がある)、無駄を削ぎ落とした非常に肉体的なものできっちりメタル”コア”をやっている印象。
ゴリゴリのメタルコアを聞きたい人は是非どうぞ。非常に筋肉質であくまでもハードコア。Disembodiedであったややドリーミィな陰鬱さはきれいに払拭されてよりピュアになった印象。
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