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2017年9月18日月曜日

Queens of the Stone Age/Villains

アメリカ合衆国カリフォルニア州パームデザートのロックバンドの7枚目のアルバム。
2017年にMatador Recordsからリリースされた。
元Kyussのなんていう言葉はもはや不要になっているJosh Homme率いるロックバンドの最新作。ビルボードで3位、英国では1位、iTunesでは日本含む各国で1位になっているらしい。要するにとても売れている。この夏にはFujiRockに出演して大いに聴衆を沸かせたそうだ。
元々私は学生時代に友達から教えてもらったのが知ったきっかけ。「Songs for the Deaf」の頃で「Go with the Flow」はいいけど、友達が押している「No One Knows」はそこまで…って感じだった。(当時はグラインドコアとかを好んで聞いていた。)それがなんのきっかけかは忘れたけど再発された1stを買ったらこれにハマって、結局アルバムを買い揃えることになった。なので新作出たら買うぜとなったわけ。

プロデューサーにMark Ronsonという人を迎えていてどうもそれが結構な驚きとともに迎えられたらしい。私は知らない人なのだが調べてみるとヒットチャートによく出るような音楽を主にプロデュースしている人らしい。QotSAはいってもその出自はアンダーグラウンドであるから、そうやって表舞台の仕事をこなしている人を起用するというのは結構意外な出来事だったのかと思う。
さて多分山崎さんのサイトで見たのだと思うけど、JoshはQotSAの音楽をストーナーと評されるのをたいへん嫌っており、ロボットロックだよ!と彼の作った言葉で読んでくれといっているらしい。このロボットロックというのは機械的にという意味で確かにリフをリフレインしていく様はロボットのようだ。QotSAは面白いバンドでどんどんメジャーになっていく(というか私が知った3rdの頃は(その時点でKyussは知らなかった)とっくにメジャーなバンドだったんだけど)けどどこかのアルバムの時点で強烈にその音楽性を変えたわけではないけど、自然に少しずつ洗練されていって表舞台に出てきた、というイメージが有る。私は1stでハマッているから懐古主義者というわけではないけど「Avon」や「The Bronze」(ギターソロがめちゃかっこいい)、それから一番が「In the Shade」(ちなみに歌詞もすごく良いのだ)ってな具合で昔の曲のほうが好きかも。そんなもんで長くなってしまったけどもうロボットロックではないかな〜なんて思っていたのだが、いざ買って聞いてみると「Feet Don't Fail Me」のイントロなんてまさにロボットロックじゃん!音こそ初期のそれとは違う軽くて乾いたものだけど、まるで戯画化された工場の流れ作業を視覚的に聞いているようだ。
Joshはもっと光の中に出ていきたかったのかもしれない。7枚というアルバムの中で初期のこもって埃っぽく重量感のある、いわばストーナーの幽霊というか呪いを引きずった音(私はこの音も超好きなのだが)が徐々にJoshとバンドから落ちていき、そして残ったのが、もっと普遍的に”楽しい”(このバンドは暗い曲はいっぱいあるけど陰鬱とまで突き抜けた、あるいは落ち込んだ曲はないし、アルバムで見ればどれもやはり楽しい。)ビートがそのままリフになり、それを繰り返していくような”ロック”が残ったのかもしれない。「悪者たち」というタイトルには「ロックって悪いものでしょ」というJoshの思いが込められているとのこと。このアルバムの音は枯れたように軽く、ゆったりとしており、そしてとにかくJoshの声は演奏に縛られないくらい(音を軽くして更に歌が自由になった印象)自由だ。楽しくて、しかしでもやっぱり鈍く光るロックのかっこよさがある。それは枠にとらわれない”悪さ”でもあるのだ。演奏はソリッドだが、歌う声の艶もあって出来上がった局は非常に幻想的で浮遊感すらある。ソリッドでかつ浮遊感があるのだ。この相反する2つの要素を徐々に完成させていったのがQotSAなのだ。バンドからしたらこれはまだ通過点だろうがそれでもやはり初期から聞いていると、その進化っぷりにすげーなと思わせる。革ジャンをきて荒野を歩く大きい背中のJoshのバンドの最新作である。かっこいいぜ。

ハーメルンの笛吹き男のように男の子(と女の子)を惹き寄せてやまないQueens of the Stone Ageの新作。ロックが好きな人は是非どうぞ。おすすめ。

2017年7月5日水曜日

Mutoid Man/War Moans

アメリカはニューヨーク州ニューヨークのロックバンドの2ndアルバム。
2017年にSargent House Recordsからリリースされた。Sargent Houseは最近The Bodyなんかの音源もリリースしている。
Mutoid Manは2012年にCave InのSteve BrodskyとConvergeのBen Kollerにより結成されたバンド。翌年にSaint Vitus Bar(海外の気になったバンドをyoutubeで検索するとよくこのバーでのライブ映像が引っ掛かるあるある)の店員Nick Cageaoが加入。現在はスリーピースで活動中。言わずもがなのConverge、それからCave Inはキャリアの中で音楽性を変遷させていったが、当初はいわゆるカオティック・ハードコア(向こうで言うところのマスコアでしょうか)の文脈で語られる音楽をやっていた。私も2chのカオティックスレッドで基本と紹介されていた「Until Your Heart Stops」
(あとはBotchのとかも)を購入した思い出。

そんなカオティックなハードコアに関係するメンバーが在籍するこのバンドなのでどんな音を出すのか非常にきになるところ。ところが1stが出た際には私視聴してスルーしてしまった。今作もふーんと言う気持ちで視聴したところあれれ?となって購入した。結果非常に格好良くなぜ1stの時にこのバンドの魅力に気がつかなかったんだろうと後悔している。
今作にはレーベルメイトでもあるChelsea WolfeやCave Inのメンバー、それから元Megadethのマーティ・フリードマンも参加しているとのこと。
鳴らしている音はハードコアの要素を感じさせつつもCave InともConvergeの音楽とも異なるもの。あえて言うならストーナー・ロック(メタル)だろうか。ただ気だるさやサイケデリックさはそこまででもなくもっと直感的に楽しいロックに聞こえる。一打一打が明確で乾いた音がバネのように跳ね返ってくるBenのドラムは相変わらずリズミカルでかっこいい。この人のドラムは特別うるさいと言うわけではないけどバネが仕込まれているようなしなやかさがあるような気がする。ソリッドな音に仕上げたうねりとコシのあるベースは中速以下の曲でよく映えている。そこにギターが乗るんだけどこのギター、ストーナーというにはもうちょっと湿っている。埃っぽくも結構ぶっとい感じで艶っぽい音がぎゅっと詰まっている。ボーカルも兼任するのだがかなり動きが激しく激しく刻んでくる、フリーキーナソロを弾くと縦横無尽。常にせわしなく動き回っている。ボーカルは基本的にはクリーンできちんとメロディのついた歌を歌う。Steveの声は非常に魅力的で子供っぽすら感じさせるハリとツヤのある甘く伸びやかな声を中心に、ハイトーンに叫んだりと技を見せていく。ストーナーでくくるには結構テクニカルでグルーヴィな演奏に節のある歌が乗るわけでかなり盛りだくさんなのだが、そのぶん曲から無駄な部分、冗長な部分を全て省いてコンパクトにまとめている(だいたい3分くらい)ため、程よくあっという間に終わってしまう。ミニマルの要素は少なめで展開がコロコロ変わっていって面白い。どれもMutoid Manらしさがあるのに表情豊かに曲単位で個性が出ていて面白い。これはハードコアの範疇をあえて外していて、型にはまらない自由さをロックのフォーマットで獲得しようとしている(そしてその試みは間違いなく成功している)ように思える。「Irons on Fire」のイントロ、「Open Flame」のアウトロなどとにかくギターのフレーズ、リフがかっこよい。ロックに浮かされたメロディアスさがとにかく楽しい。自身の出自であるハードコアの残り香というかタフさが背骨のように楽曲を貫いているので楽しくも全く軽薄でないタフな音楽になっているのが良い。

こりゃ非常にかっこいい。ConvergeやCave Inが好きは人は音楽性が違ってもハマるだろうし、メロディの要素が色濃いので単にかっこいい音楽を探している人なら是非。非常にオススメ。

2016年12月4日日曜日

Mantra/鼻とゆめ

日本は福岡のロックバンドの3rdアルバム。
2016年にPops Academy Recordsからリリースされた。
「何だかよく分からないけれど、とにかくすごい。」がコンセプトのバンドだそうで2007年から活動している。メンバーは3人だが、ライブ時などはそこに各種メンバーを迎える形で活動している模様。その活動は楽曲制作にとどまらずバンドのMV、絵画(オフィシャルでいくつか見ることができる)などの芸術領域で活動しているとのこと。天狗に思い入れがあるらしく、メンバーが天狗ということなのだろうか。
私は何をきっかけで知ったのか忘れたが、とにかくこのバンドの「鼻男」という曲が気に入っていたので、その曲が収録されているというこのアルバムを買った次第。

コラージュがなんともヒドイ特徴的なジャケットで私が買ったCDにはなんと特典として退職届がついている。帯にはこう書いてある「全ビジネスパーソン必聴!!〜御社の利益に貢献する珠玉の15曲〜」なんとも嫌な煽りである。通常ビジネスから逃げる手段としての音楽ではないのだろうか。凝ったやたらと厚みのあるインナーを開くと「休みなんていならない 人生の全てはビジネスにコミットしてしている」とかどこかで聞いたことのある様な嫌なワードが散りばめれている。
どうもとある疲れた「ビジネスパーソン」の心の様、その移り用を時系列におったコンセプチュアルなアルバムらしく、ある楽曲に出てくるワードが以降の曲にも引き継がれていたりと全体が一つの流れになっている。楽曲自体はかなり縦横無尽で、ロックにしてもその感覚は広く開かれており、ドゥーワップ(違うかも)だったり、重さのあるハードロックだったり、いかにもなポップスだったりとその守備範囲はとんでもなく広い。まるで表情豊かな劇を見ているかの様なバラエティ感と、それを突き通すコンセプトが作る統一感を楽しめる。
全体的に”いかがわしさ”が多分に含まれた楽曲であって、それが毒となり、ユーモアとなりのフックとなり、形態的にはやたらとレトロなアレンジだったり、逆にめちゃくちゃキャッチーでJ-popを感じさせるメロディラインやギターソロに現れている。やけに朗々とした良い声のボーカルや、バンドアンサンブルに加えてパーカッションやピアノ・シンセサイザーを取り入れた表情豊かな技術でもってその”いかがわしさ”を贅沢に表現している。
ビジネスパーソンという概念を用いることで人を過労死させる現代社会をネタにしつつ、次第に疲弊していき心を壊されていくその過程を物語的に見せていくことで、その過酷さを強烈に皮肉、批判しているレベル・ミュージックだ(と思う)。特にその”病み”を表現するのがボーカルでこの人が老婆の声から、切羽詰まったビジネスパーソンの声、完全に正気をうしなった鼻男の声と、完全にどうかしている感を一手に担う。現実から目を背けさせずに、あえて”ユーモア”という糖衣に包みつつリスナーにビジネスパーソン界隈の非情さに直面させるその姿勢は真面目かつ、なかなかラディカルであると思う。ラスト「終幕」の穏やかさは一体何を表現しているのか。その安らぎが何によって得られたのか、と考えると怖くなってしまう。
「営業日誌」なんかを会社で聴いているとなんとも背徳的な気分になって面白いし、実際「老婆の店」なんかを聞くと笑いが漏れて同僚に変な顔をされること請け合いである。
個人的にはルーツであるRammstein(コピーバンドだったらしい)を感じさせる「鼻男」の様なヘヴィさを備えた楽曲がもう何曲か聞きたいところ。

という訳で終わりのない日常に忙殺されているビジネスパーソンはまさに必聴。「コミット」に代表される横文字に殺意と吐き気を催す社畜の皆様はこのアルバムを聴いてサディステックな(あるいはマゾヒスティックな)笑みを浮かべて見るのはいかがでしょうか。私は非常に楽しんで聴いている。おすすめ。

2014年3月30日日曜日

Motörhead/Bastards

イギリスはロンドンのロックバンドの11thアルバム。
1993年にZYX Musicからリリースされた。
Motörheadである。1975年に結成されたバンドでコンスタントに活動を継続し、勿論未だ現役。創立者のベーシスト兼ボーカリストのレミー・キルミスターは様々な逸話もあって最早ロック界の生ける伝説になっていて、顔を見ればあ、知っている、となる人も多いだろう。
私も勿論Motörheadのことは知っているが、ぼんやりと人生を過ごしているうちに遂に彼らの音楽については触れることなく今まで来てしまった。Foo Fightersのフロントマンで他にも様々バンドでドラムを叩いているデイブ・グロールのSouthern Lordからでたソロプロジェクト「Probot」のCDを持っていて、その中にデイブとMotörheadのレミーのコラボレーション曲「Shake Your Blood」が入っていて、それでけは聴いたことがあった。

この間メタルに関係するドキュメント映画を取っているサム・ダン氏のドキュメンタリーを見る機会があり、それはメタルの歴史を年代とカテゴリに切り分けて、その時その時活躍したいろんなバンドや関係者にインタビューしていくというものでとても面白かった。でその中にMotörheadのレミーのインタビューがあって、うーんやっぱり格好よいな、と思ったものである。当然一枚くらい買ってみようとなるのだが、何せキャリアが長いバンドだから多数ある音源からどれを買うか迷う。どれにすべいかと思っていると偶々「On Your  Feet or On Your Knees」という曲を耳にして、これは格好よいな!と感動。その曲が収録されているこのアルバム「Bastards」を買ったという訳。

真っ黒いバックにバンド名とアルバムタイトル、スペードのマーク(MotörheadにはAce of Spadesという超有名な曲がある。)を背後にあしらわれたイメージキャラクターであるWar-Pigが中央に鎮座するというシンプルなジャケットが如何にも格好よい。
Motörheadはレミーは不動だが、他のメンバーについては結構変動があるようで、基本はシンプルな3人体制だが、このアルバムを出したときは4人体制だったようで、なるほどギターが2本な分音の厚さや曲の作り方はどっしりしたもの。
WikiによるとMotörheadの音楽性はなかなかどうしてカテゴライズが難しいそうだ。確かに「爆走ロックンロール」みたいに紹介されているような印象があって、実際に聴いてみるとパンッキシュだがパンクではないし、メタルの成分はあるがそれでは何メタルなのだ?という感じでなるほど、たしかにちょっとコレだ!というのは難しい。

ギターはハードロック然とした音作りでギラリとしてちょっと湿り気のある音で艶っぽい。たまに挿入されるギターソロもクラシカルなハードロックの要素があるが、全体的にメタルほどゴテゴテやり過ぎない様なバランス感覚。メタリックなリフにパンキッシュな疾走パートの組み合わせが自然で格好いい。
ベースはソリッドな低音でよく聴いていると結構動き激しい。ギターミュートを使ったメタリックなリフで緩急をつけるが、ベースはシンプルかつ大胆に動き回る印象。ただしこちらもテクニックのひけらかしは皆無のいぶし銀なスタイル。
ドラムは力強く重々しいが、メタルのそれほど低音重視ではなく、徹底的にノリ重視。爆走ロックンロールの由来はドラムとベースの気持ちよさじゃないかと思う。バスンバスン兎に角気持ちよい。ちなみに前述のサム・ダン監督のドキュメンタリーだと確かツーバスを踏むのはMotörheadが一番最初!(このアルバムでは多分ドラマーはその人じゃないんだろうけど。)と紹介されていた。オリジネイター!
ボーカルは言わずと知れたバンドの顔役レミー。何ともいえない年季の入っただみ声で酒焼けなのかわからないが、兎に角独特。吐き出すように歌うそのスタイルは男臭いが、不思議と耳になじむように心地よい。渋く老獪な反面ちょっと年を感じさせないやんちゃな感じもして格好よい。
曲の方は結構その作りに幅があって、スピードが速めで爆走ロックンロールを体現したように突っ走る曲。中速でずっしりしつつもノリとグルーブで体を跳ねさせる様なハードロック調の曲。アコースティックギターを大胆に取り入れたしっとりしたバラード。ジャケットはシンプルながらも内容は結構バラエティに富んでいる。共通しているのは爆音で暴力的な中にもポジティブなエネルギーが横溢していることで、その音楽性たるやテクニカルにして単純明快、その中心には心臓を飛び跳ねさせる様なノリが鎮座している様な作りで、聴いていると元気になってくる。自然とからが動いて頭を振ってしまう。こりゃー気持ちがよいぜ。

というわけで言わずと知れたMotörheadは噂に違わずすばらしく、その巨人っぷりにただただ圧倒された次第。名前は知っているけど聴いたことないや、という人は是非どうぞ。