2015年4月19日日曜日

Yvonxhe/Multicolored Libricide

日本のブラックメタルバンドの2ndEP。
2014年にZero Dimensional Recordsからリリースされた。
前々から気になっていたバンドなのでHurusoma買う時に一緒に買ってみた。
日本の3人組のバンドでいままでに今作を含めて2枚のEPと1枚のアルバムをリリースしている。目下最新作を製作中との事。
バンド名はイヴォンクシェと読むらしい。インタビュー(大変面白いです。)によると字面だけで選んだという事で意味は無いらしい。
「Multicolored Libricide」は直訳すると「多彩な色の焚書」?になるのかな…帯には「異端讃歌」と書いてありますな。

ギター、ベース、ドラムという基本的な楽器を押さえた最小人数である事を隠そうとしないプリミティブなブラックメタルをやっている。とはいえ録音状態は悪くなく、音は迫力満点。あくまでもバンドの出せる音で勝負!という感じでよけいな音や追加の音は(多分)なし。
乾いて抜けの良いドラムがスタスタリズムを刻み、重苦しいベースが唸る。ギターは中音を意識した厚みのある音でベースとの対比でかなり柔軟なリフをトレモロ主体で弾いていく。とはいえ結構モダンな低音主体のリフが飛び出して来たりとプリミティブ命という信条とうよりはプリミティブなスタイルを基調としつつもどん欲に新しい要素を取り込んでいく姿勢が垣間見える。ボーカルはイーヴィルなスタイルに則りつつも低音の迫力があるものでギャアギャアとグワグワの中間くらい。
5曲で8分という構成で曲は全部1分台で短いのだが速度が速い訳ではない。むしろ中速くらいで密度が異様に濃いイメージ。というのも短い曲の中にもドラマティックな展開があって例えば1曲目は露骨に加速しだす後半のかっこよさ。2曲目ならメロディアスと言っても良いくらいの叙情性。(ギターのトレモロがメロい。)3曲目の陰鬱かつ芸術的な美しさを感じさせるリフ。4曲目の低音主体の邪悪な攻撃性。5曲目の激しさと寂しげ単音リフとの対比。ざっと挙げてもこんな感じでまるでブラックメタルというフォーマットの中で3人組というフォーマットの限界に挑戦していくようなラディカルさがあってそれが面白い。
やはりインタビューでも出ているが「曲が短い!」というのは恐らく聴いている人がこんな格好いいのに勿体ない!もっと聴きたい!という感想から着ているのだと思う。というか私もそう思ってしまった。まあそれだったら同じ曲を何回も聞き直せば良いんだけど。
ちなみにアートワークは日本の伝統的でおどろおどろしい絵画から取って来ているが、曲の中ではそこまで和のテイストが色濃く反映されている訳ではない感じ。

難点はどうしてもEPというフォーマットなので物足りないことか。もっと曲が聴きたいすね。気になる人は是非買ってどーぞ。

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