2015年にProfound Lore Recordsからリリースされた。
プロデューサーはBilly Anderson。
2008年にリリースされた「Massive Conspiracy Against All Life」はブラックメタル界隈ではすごい評判よかったんだけどなんとなく聴かなかった私は今作が初Leviathan。
プログレッシブが何なのかということは到底理解できていないのだが、中々一筋縄でいかない内容になっている。
1曲1曲が比較的長めに取られていて(といっても5分から長くて10分なので長過ぎてだれる事は無い。)、展開も複雑と言っていい。所謂ギター、ベース、ドラムというバンド編成を基調としながら(全部自分一人でやっているんだけど)、それ以外にもアコースティックギターを始め、キーボード以外にもクワイアっぽい合唱や、ノイズ、人の声のサンプリングなど音の使い方種類も豊富である。凶暴な音楽性ははっきりとした特徴であるが、全編に渡って静寂のパートやスローパート、アンビエントパートにも贅沢に時間を裂いている。要するにいろいろやっている訳なのだが、芸術性というオブラートに包んだ曖昧性は皆無で、これが俺のやり方なんでと言わんばかりのLeviathan節を豪腕できっちり仕上げて来ているのがにくいところです。さてじゃあそのLeviathan節がなにかというとこれは相当鬱屈した位メタル音楽という事になると思う。一言で言うと攻撃性より気持ちの悪さが目立つ作風でもって、とにかくバンドサウンドではどう作ってもかっこ良くなってしまうところを不快感を演出するためにその範囲をぐぐっと広げている様な印象がある。前述の使用している音の多様さもそうだが、攻撃性の背後にある底意地の悪さと沈み込んでいく様な絶望感があって、それが単に音の数にとどまらず曲を深くしている。深いというのはとらえどころが無いという意味でもあるが、はっきりと言えないだけで滅茶苦茶色んな感情が渦巻いている濃密さがあって、これがはったりではないLeviathan節なんだと思う。私は彼の事は全く知らないが、なんとなく彼の作った曲を聴いて私の方は思うところがあるのである。それが彼の意図しているところとは全く関係ないのは勿論だが。
個人的には5曲目のうめき声をバックに妙にきれいな音で構成されたグルーミィなメロをのせてくるというフレーズがつぼ過ぎて辛い。これはえげつない。きゅんきゅんくる。
wikiによると一番ドラム歴が長いらしくたとえばズドドと踏まれるツーバスに代表されるようにどこかしらに若干オラついた聴きやすさみたいなのがあって、暗黒といえば暗黒でしかないのだが、意外に取っときやすいのが芸術を介さない私の頭にもすっと響いて来て良い。
Vice Japanというメディアが3人の一人ブラックメタラーを取り上げたというぼっちメタルという動画があってその中でLeviathanのWrestも取り上げられている。(動画はとても面白いで是非見てほしい。ほかにStriborgのSin NannaとXasthurのMaleficという濃すぎる面子。3人とも変わり者だがWrestは一番外交的な印象で(パソコン持ってないらしいです。)、逆にMaleficは健康面が心配になる。(誰か彼に腹一杯飯を食わせてくれ。))動画を見ると中々面白い彼の生い立ちがわかる。元々はストリートで滑るプロのスケーターだったとのこと。スケートはどちらかというとハードコア・パンクっぽいイメージ。調べると確かにLeviathan名義でBlack Flagのカバーをリリースしていたりとやはり根っこはハードコアなのかもしれない。バンドもやった事があるけどインスピレーションを得たときにメンバーを待つのが耐えられないということで一人でやっているそうな。正直かなりパンクからはかけ離れた曲調だが、確かに6曲目の跳ねる様なリフはパンキッシュさを見て取れる。
こんなにかっこ良かったのかといままで聴かなかったのを反省する出来。底意地の悪さが鈍くぎらりと光る気持ちの悪さ。とても良いじゃない!これはカッコいいですわ。こういうの大好きですわ。ネクラ野郎はマストで良いんじゃないでしょうか。オススメっす〜。
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