2015年にRelapse Recordsからリリースされた。
ポップなストーナー音楽をならすという事で本邦でも知名度があるバンドの3年目の新作。
ミックスは売れっ子Kart Ballouが担当。
私が買ったのは2012年に発表されたシングルが2曲追加されたデラックスバージョンの方。アートワークは色使いがキュートだが、窓からは光沢のある触手の様なものが入り込んでいる(始めは猫のしっぽかと思ったのだけど)毒のあるもの。
基本的な音楽性は以前から変わらず。
ヘヴィな演奏をバックにポップとも言えるメロディが乗るスタイル。ただし、特にアルバムの後半については演奏面のヘヴィさが増しているように思える。
ドラムはあまり手数が多くなく、正確にリズムキープに徹するタイプ。とにかく乾いて尖ったスネアの音が特徴的で低音が強調される全体の演奏感でバシっと強い力で刻まれるスネア音が跳ねるように目立つ。
ベースはグルグル唸るように演奏するタイプ。運指が激しいのかぬるぬる動く。
ギターは相変わらず疾走感があって弾きまくるスタイル。やや丸みのある重量感のある音で、基本的には低音のリフをグイグイ引っ張るようにぶん回す重量感のありつつ爽快感のあるもの。対照的に余韻を残すように引っ張るような高音の単音リフが格好いい。
ボーカル/ギターのSteve Brooksの厳つい外見からは想像できない甘くて良く通る声が伸びやかに歌う。
何と言ってもヘヴィさとポップさのバランス感覚に優れている訳だけど、例えばブラックメタルの一部のバンドのようにメロディを一手にギターにずらしている訳ではなくて、あくまでも人の声で表現しているのが面白い。よくよく考えればこっちの方が圧倒的に普通なんだけど…この界隈では潔い位歌わせるもんだから逆に特異な存在になっているという。まるで違和感なく硬質さと伸びやかなボーカルが混じり合っている訳なんだけど、シーンを見てみるとなかなかにたバンドがいない事を考えると(私が知らないだけというのは大いになると思うけど。)やはりとても難しい事なのかもしれない。
7曲目の「Blasted」のTorche節!とも言うべき重たくポップな爽快感、速度を落として「No Servants」のノイズにまみれた影のあるややくらいメロディ、「Believe It」のさらに速度を落とした圧倒的な重量感とギターの音の密度の濃さ、という3曲の流れがたまらない。アルバムの流れがとても良い。
個人的には後半の縦線者の様な低音感も格好いいのだけれど、これ以上重くなるとメンバーの別バンドFloorに接近しすぎてしまうのでは…と危惧。(ズゥムっとためるようにぶった切る鈍器の様な低音リフはFloorっぽいなと。)アルバム前半くらいのバランス感覚がちょうど良いかなと思います。ここら辺はバンドに何を求めるかという問題かも。
相変わらずのクオリティを保ちつつ、低音にやや舵を取った感のあるアルバム。まだ買っていない人は是非どうぞ。
ちなみにオフィシャルサイトではかなり丁寧に書き込まれたドット絵のミニゲームが公開されている。プロモーション用という事で作られたとの事。結構難しい。気になる人はこちらもどうぞ。
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