2015年3月7日土曜日

Planning for Burial/Desideratum

アメリカはニュージャージー州マタワンのシューゲイザーアーティストによる2ndアルバム。2014年にThe Flenserからリリースされた。
Plannning for Burialはこれが聴くの初めてだが、調べてみるとThom Wasluckという方のソロプロジェクトらしい。
アルバムのタイトル「Desideratum」どこかで見た事あるなと思ったら、この間紹介したAnaal Nathrakhの最新アルバムでも同じタイトルが冠せられていた。調べると意味は「切実な要求」という事らしい。

さて音楽の方はというとジャンルで言えばポストメタルなんだろうが、シューゲイザーとカテゴライズしても遜色の無い音楽であると思う。音的には確かにそうだし、シューゲイザーの持つドリーミーな雰囲気を内省的で暗い方向性に思い切り舵を取った作風になっている。こう書くと昨今流行のブラックメタルへの影響が気になるところではある。たしかにブラックメタルを彷彿とさせる箇所も部分部分であるが、どちらかというと個人的にはドゥームメタルっぽいな、と。曲の速度が遅めというよりは独特のもったりとしたギターの運び方間の取り方がドゥームメタル。
ただブラックメタルにしてもドゥームメタルにしてもそれらの攻撃性は期待できない。攻撃性が無い訳ではないのだが、それも内側にめり込んでいく様なメランコリックなもので、外的なものではない。轟音の中にゆったりと沈んでいく様な、そんな音楽である。
空間性が意識された音楽で、一番目立つのはやはりギターの分厚く、やや粒子の粗い音だろ。もっと繊細な音にも出来るのだろうが、敢えてこのように若干荒々しさを持った音を選択しているのだろうと思う。フィードバックノイズはほぼ必須という感じで全編程よく彩っている。エコーのかかった気怠いボーカル、良く唸り伸びる様なベース、そして霧のように静かに足下に停滞しているシンセ音。ボーカルは一歩に弾いた感じで、どの曲も声が入らないパートの方が圧倒的に長いと思う。

個人的にはラストを飾る16分の大曲「Golden」が筆舌に尽くせないほど美しい。ノイズから始まった曲がミニマルなリフを繰り返しながら次第にその音を厚く厚くさせていく。ボーカルは呟く様なものが入るだけで歌は皆無である。耳障りな様々なノイズの洪水にぶわーーっと浸っている様な気持ちよさである。たまらん。桃源郷。

全5曲でその内間に挟まれた2曲はインタールード的なもんだからちょい物足りない。まあでも自己紹介的にはすっと聴ける良い音源ではなかろうか。次回作がどんなもんか速くも気になりますね。暗くて五月蝿いけど独特の美しさがキラリと光る良い音源だと思います。メランコリック轟音。オススメっす。

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