2015年3月15日日曜日

TechDiff/P.Conv

イギリスはシェフィールドのDave Forresterによるプロジェクトの2ndアルバム。
2012年にAd Noiseamからリリースされた。
この間紹介したEP「The BlackDog,Released」がとても良かったのでその後リリースされたフルアルバムを買ってみた次第。レーベルからデジタルで購入。

前作は暗い雰囲気でありつつもハチャメチャなビートを刻むオーソドックスなブレイクコアだったが、今作は少し趣が異なっている。
まず全体的にシリアスになった。元々複雑なリズムの上に乗っかるあまり主張しないメロディは暗いものだったが、今作はさらにそこが押し進められ、リズムを飲み込む勢いで領域を拡大して来た印象がある。相変わらずエコーのかかったシンセ音は無機質でメロディラインをなぞるのも難しいが、非常に効果的に耳に入ってくる。完全にエレクトロドローンな曲もあったりする。
理由はいくつかあると思うのだが、大きいのがリズムとなるビートの激烈さが抑制されている事。所謂ブレイクビーツに比較したら音の数自体は未だ多く、さらに複数のリズムを複合させたかの様な複雑なビート感も健在だが、たとえるならばお祭り騒ぎの様なハチャメチャさは鳴りを潜めている。音の数自体が減っている分一音自体の存在感は大分増している。これはビートだけの話ではないのだが、端的に言ってダブステップへの接近が見られると思う。太い歪んだビートがドゥンドゥン響き、びよんびよんうなる連続する歪んだベース音は確かにダブステップ風である。
元々どちらかというと寡黙なメロにリズム重視の楽曲を作成しているTechDiffにとっては安易に流行を追いかけたというより、自身の楽曲のキャパシティからそっちの方面に巧妙を見いだし比重を置いたというところだろうか。聴いていただければわかるのだが、所謂ダブステップにしてはやはりリズムの音が喧しすぎると思う。これをブレイクコアとダブステップのどっち付かずの半端ととらえるか良い所取りのハイブリッドとらえるかはひとえに聞き手次第だと思う。個人的には後者の方で初め戸惑ったもの、これはこれでアリだなと思う。煙に巻く様な”芸術性”という名の分かりにくさは皆無なのでだいたい3回くらい聴けば好きか嫌いかは判断できるはず。

2015年現在この音源以降Techdiff名義でのリリースは無いようだが、この音源が過渡期のものだとしたら次作が気になるのが心情というもの。つぎは一体どんな作風でくるのか楽しみである。
暗いテクノが好きな人、ダブステップが好きな人はどうぞ。

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